所作四十八手 その二十一
That’s one small step for a man, one giant leap for mankind.と云ったのは、月面着陸した直後のアームストロング船長であった。ご存知、ひとりの人間にとっては小さな一歩であるが、人類にとっては大きな一歩といった訳で通っている台詞である。私が生まれる十年まえのことなので、よくはわからないけれども、言の葉のセンスもないし、なにより
嗚呼、やっちゃった
と感じた人も少なくなかったのではないだろうか。月、あれは踏まずにとっておくべきthereであった。似たような感覚に、神がいる。あの霊的存在にも、なかには選ばれし者が足を踏みいれることができるのはわかるが、そこへ自慢氣に着陸されては神も月もすべからく地元のコンビニ化してしまう。たどり着けるのに、あえて行かないというのは智慧というより色氣の問題になる。すなわち、色氣があるから月や女神に愛されるのだ。兎にも角にも、月や神はハリボテに限る。