前回「私は何で出来ているか?」という独自の構成表をお伝えしました。
いわゆるThis is meというやつですね。
:結果はコチラでした。
芸術60%哲学&思想20%宗教20%
(これらは株のように随時変動制で、現在の状況を表しています)
いちばんの割合を占めているのが芸術ですが、
一口に芸術と言ってもいろいろなジャンルがあるので
それをさらに分けるとこうなりました。
文学60%美術30%映画10%
前回は文学を取り上げましたが
まだの方はぜひご覧下さい。
そういうわけで
本日は第二弾として<美術>から
好きな絵をベスト10形式でご紹介します。
※ 順不同。一人の作家で一作品限定?としました
※海外での美術館や展覧会で実際に鑑賞したものをベースに選びました。
まず筆頭に挙げるのは※『ベルギー象徴派』の画家
(※19世紀後半にフランスやベルギーを中心にして起きた芸術運動のこと)
ギュスターヴ・モロー、フェリシアン・ロップス、ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ、ウィリアム・モリス
などのそうそうたる顔ぶれが並ぶ中で選んだのは
まずこの画家のこの作品
フェルナン・クノップフ(ベルギー)
「ヴェラーレンとともに―天使」
鉛筆、白のハイライ・紙/1889
(この他にも木炭とパステル、採色写真と2点のバージョンがある)
ヴェラーレンとは彼が終生の友である詩人の名。
毅然とした騎士の態度と相反するケンタウロス的合成獣の恍惚とした表情。
いろいろな解釈があるのは別にしても心を捉えて離さない。
1990年6月にBunkamuraザ・ミュージアムにて。
展覧会で買ったポスターに特注フレームをオーダーし
飾り場所がなく長らくしまったままだったが
今回新しく買い求めた小さな本棚の上に飾った。
私が額装しいつも眺めていたいと思った唯一の絵である。
続いてやはりベルギー象徴派の一人、ルドンの作品から
オディロン・ルドン(フランス)
「アネモネ」
パステル,紙 /制作年不詳
ルドンと言えばモノクロで奇怪なリトグラフを思い浮かべる人も多いだろうが
あえて色あざやかな静物画の方を選んだ。
アネモネの絵が好きなのか彼は他にもたくさん描いている。
背景から漂う空気感、存在感は妖しい魅力があって
ふわふわと酩酊した気分に包まれる。
こんな静物画を描いてみたかった。
1989年3月に東京国立近代美術館にて。
次にウィーン分離派で象徴派でもある
この画家の作品も忘れるわけにはいかない
グスタフ・クリムト(オーストリア)
「接吻」
油彩,金箔,キャンバス/1907-1908
あまりにも有名でいまさら語る必要もないだろう。
写実と装飾が鬩ぎ合う世界、男女のデフォルメされたシルエットが織りなす
愛の世界は意外とシンプルなものなのかもしれない。
ウィーンのべルヴェデーレ宮殿にて。
もう一つ『成就』という題で似たような構図?(テーマ的に)の作品がある。
こちらはストックレー・フリーズ邸の壁画のための
モザイクの下絵として書かれたものでこちらは未見。
画集などで見ているがぜひ実物を見てみたい!!
(参考としてコチラを)
「抱擁」というタイトルで流通しているのは通販向けとして、
あるいは「接吻」に対して付けられたものかもしれない。
次にクノップフと同じベルギー出身でもシュルレアリズムの画家
マグリットと双璧を成すと言われるこの人物の作品から
ポール・デルヴォー(ベルギー)
「人魚の村」
油彩キャンバス/1942
最初にデルヴォーの絵に出合ったのは
いつだったかもう覚えていないがとにかく衝撃的だった。
夢の中の世界のようだとよく評されるけど
実際にそのような風景に夢の中で出会ったことはない。
それでもそんな風に感じるのは何故なのか。
それはたぶん夢を見ているときの特殊な自分の気分とか精神状態が
彼の絵を見た時と似ているからだろうか。
昔、ベルギーのオステンドという町へ出かけたことがある。
残念なことに目指すデルヴォー美術館は休館していた。
それから機会ある度に何度も彼の絵は観ている。
この絵の女性たちは見れば見るほど全部同じ女性に見えてくる。
反復。円環のように際限なく。それともただの増殖?
ああ、もう彼女らから目を離せない…
ヴィルヘルム・ハンマースホイ(デンマーク)
「室内、ストランゲーゼ30番地」
油彩、カンヴァス/1980
静寂さが漂う室内、開いたドアの向うから入ってくる穏やかな光。
彼女は一人で背を向け読書でもしているのだろうか。
フェルメールとも引き合いに出されることもある彼の絵。
自分が彼の絵に感じるのはもっと違う“静謐”さに満ちたもの。
つい今しがたまで“誰か”がいたような“気配”とでもいうものなのだ。
2008年の秋頃に国立西洋美術館へ出かけた。
観ている間、ずっと教会の中にいるようだと思った。
涙が溢れてきそうだったことだけ覚えている。
アラン・マルゴトン(フランス)
「デッサン」/1988
『現代パリの幻想画家たち』1994.4/朝日新聞社主催の展覧会にて。
5人の画家たちの中で一瞬で私好みの世界だと釘付けになった。
シュールレアリズムの影響を受けた時期もあるというが
ベルギー象徴派クノップフの世界と通じるものを大いに感じた。
絵画でしか表現できない幻視的光景は
太古の世界、或いは未来の地球の姿なのか。
ヴェスビオス火山の爆発で一瞬にして化石になったような人物
恍惚の、エクスタシーの一瞬において。
ベルナール・ビュッフェ(フランス)
(左)ル・ムーラン・ド・ラ・ギャレット、ラ・トゥール・サン=ジャック
(右)エッフェル塔、モンマルトルのサクレ=クール
油彩 キャンバス/1970
本来は基本的に一人一作品が限定なのだが
これは画集でも左右ともに2枚ずつ印刷されていることもあり
勝手に4枚併せて連作の<パリ風景>とさせてもらった。
もちろんモンマルトルを描いたユトリロの風景画もいいけれど
私にとってはビュッフェの風景画ほど
PARISへのノスタルジーを覚えるものはない。
どこがどうだからと口で説明はできないが
力強く真っ直ぐで鋭いこの黒い輪郭線が
ただただ自分は理屈なしに好きなだけなのかもしれない。
1987年に小田急グランドギャラリーの回顧展、その他の展覧会でも…
静岡のベルナール・ビュッフェ美術館にも足を延ばした。
有本利夫(日本)
「花降る日」
絵画(タブロー)/1977
お気付きの方もいるだろうが、今回初登場の日本人画家だ。
「ああ、この絵の前を素通りはできない!!」
旅先の乗り換えで時間潰しにフラフラしていてふと見かけたポスター。
1988年静岡アートギャラリー(現在は閉館)で開館一周記念の催しにて。
“一目惚れ”とはこういうことをいうのだろうか。
その後2002年の東京ステーションギャラリーでの展覧会にも。
岩絵具と+フレスコ画と仏画が奏でる世界。
そう、彼は音楽も大好きだった。
クロード・モネ(フランス)
「ルーアン大聖堂: ファサード(日没) 」
油彩/1892-1894
モネが好きな人は多いだろう。
印象派は特に魅かれないのだがモネは少し例外かもしれない。。
睡蓮のシリーズや特にこの絵は特別なもの。
30近いヴァージョンがあり世界各国の美術館で所蔵されている。
それまで何度もモネの他の絵は観ているのに
不思議にもこの絵を見た記憶がない。
だが実際に僅かな時間だがルーアン大聖堂の広場に立ってから
今度こそちゃんとこの目でモネの実物を観てみたいと思ったのだ。
何年か前にやっとPARISのマルモッタン美術館で思いが叶った。
思ったより小さな絵だが…ほとんど独り占めだった。
いつかルーアン大聖堂だけのバージョンが集められた展覧会というものが
観てみたいというのは贅沢な夢だろうか。
そして最後の一人は…
ヴェラ・レーンドルフ+ホルガ―・トリュルシュ
「閉じられた表入り口ドア、パロスにて」 チバクローム/1977
最初に断っておくとこれは正確に言えば<絵>ではない。
ボディペインティングと写真との合成作品だ。
ヴェラ・レーンドルフが主に自分の身体にペインティングを施し
ホルガ―・トリュルシュが写真とペインティングも担当。
1986年にスーザン・ソンタグが序文を書いた
『ヴェル―シュカ―変容』という写真集。
今はもうない池袋西部のリブロという名の本屋で
画集や写真集のコーナーでこの表紙を見て
買わずにはいられなかった思い出がある。
― 背景に溶け込んで自分を消してしまいたいという欲望
それは裏を返せば自らの全てをかなぐり捨てたい
見てほしいという欲望と同じではないのか
ある時は動物に、人間以外のものに
とにかくヒト以外のものに―
(以上はスーザン・ソンタグの言葉を要約したものである)
(感想)久しぶりに持っている画集を引っ張り出し
積み上げての大変な作業になったが
初めての試みでもあり思ったよりワクワクして楽しめた
皆さんはこの中でどの絵がお好きですか
良かったら教えて下さいね~
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