モンマルトルの麓、パリ市立ロマン主義美術館(9区) | PARISから遠く離れていても…

PARISから遠く離れていても…

わが心の故郷であるパリを廻って触発される数々の思い。
文学、美術、映画などの芸術や、最近では哲学についてのエッセイなども。
時々はタイル絵付けの仕事の様子についても記していきます。

今回はパリの穴場的な?ハナマルおススメの美術館を御紹介しよう。

 

モンマルトルのピガールと聞けば真っ先に頭に浮かぶのは

赤い風車で有名なムーラン・ルージュ。

でも周辺は夜の大歓楽街でもあるいわゆるピンクゾーン地帯。

女性にとっては近寄るのを躊躇ってしまう場所なのかもしれない…

そんな一画に程近いパリ市立ロマン主義美術館に思い切って足を延ばしてみた。

最寄り駅はメトロ12号線(またはメトロ2号線)のピガールかお隣のサン・ジョルジュ駅。

この日の午前中にマドレーヌ方面へと出かけたこともあり

乗り換えに便利な12号線のサン・ジョルジュ駅で下車してみた。

 

こちらはサン・ジョルジュ駅前のサン・ジョルジュ広場

 

初めて降りる駅というのは私の街歩きの楽しみの一つでもある。

広場は小さな円形ロータリーになっていて中央にモニュメントがあり整然とした雰囲気だった。

↓

 

天辺の彫像はパリ生まれの風刺画家ポール・ガヴァルニ( 1804~1866)の胸像。

 

モニュメントが噴水になっているのをこの時は気が付かなかった。(水は出ていなかった)

 

 

美術館は駅から5分ぐらいの緩い坂を上っていく場所にあった。

庶民的な雰囲気のする街並みを眺めつつ歩いて行く。

残念ながら写真はないのだが、こうして記事を書きながら地図を眺めていると

ああそうだったのかぴかと以前書いたオテル・ショパンの記事を思いだした。

 

コレ過去記事をまだ読まれていない方はどうぞびっくりマーク

 

このモニュメントの風刺画家ポール・ガヴァルニが生きていたまさにその時代

 

1830年7月革命でルイ・フィリップが王となる。

翌1831年に「娼婦追放命令」を出す。

その結果、娼婦たちはパレ・ロワイヤルという仕事場を追われ

グラン・ブールヴァールのパサージュに仕事先を鞍替えする。

理由は彼女らの多くは当時再開発された新築の建物が並ぶ地域の、

ブレダ通り(現在はアンリ・モニエ通り)のアパルトマンに住んでいたから。

 

seiブレダ通りは、モンマルトルの丘~ピガール広場~ノートルダム・ド・ロレット教会へと

下りて来る途中の通りである。(下記地図の★印がブレダ通り)

 

美術館はサン・ジョルジュ駅から真っ直ぐ坂をもう少し上って行った左手にある。

(左上端に文字がちょっと見えている)

 

 

(本文の続きへ)

ということは私がサン・ジョルジュ駅から歩いて行ったこの辺りも

19世紀の時代に娼婦たちが闊歩していたのだろうか。

本で読んだり地図で確かめたりするのも楽しいが、

こうして偶然にも実際に彼女たちの足跡を体験できたことで

また一つパリが身近なものになったように思えてくる。

 

 

 

他の建物と並んでうっかりすると見過ごしてしまいそうなほどの入口。

この奥に美術館の建物があるのだ。

 

 

 

 

 

de la Vie Romantique de la Ville de Paris(パリ市立ロマン主義美術館)

アドレス 16 Rue Chaptal, 75009 Paris,

 

 

入口の緑のトンネルを抜けた場所に開けていたのはこんな風景。

こじんまりとした建物や庭はどこか田舎の別荘といった雰囲気ー。

 

右側の白い建物がメインの展示室になっている。

嬉しいことに常設展示は無料嬉であるが、チケットは必要。

インフォメーションでフリーチケットを貰う際にJAPONかと聞かれる。

(入場者がどこの国から来たのかデータとしてカウントする必要があるのだろう)

 

 

 

更に嬉しいことに無料のパンフ(小冊子)が貰えたりもする。右はチケットの半券。

さすがPARIS!!:芸術の国の看板はこんなとこにも…

 

 

―パリ市立ロマン主義美術館について―

 

ここがどんな美術館なのかをごく簡単に説明しておこう。

オランダ人でロマン派画家のアリ・シェフェールAry Scheffer氏が、

1830~1858年の約30年間住んだ家そしてアトリエである。

 

娼婦たちが闊歩していたこの辺り、パサージュ華やかなりしこの時代は、

ヨーロッパにおいてはロマン主義なる精神運動が起こっていた。

 

ロマン主義とは何か?

感受性とか主観に重きをおき古典主義に対するもの、

恋愛への賛美や中世への憧れなどを主なテーマとするもの

 

ロマン主義=ロマン派を主張する画家や作家、音楽家などが

この館に出入りしてはお互いを切磋琢磨し合っていたという。

 

主な顔ぶれは、まず作家にして<男装の麗人>といわれたジョルジュ・サンド、

ドラクロワ、フローベル、リスト、ロッシリーニなど。

そしてジョルジュ・サンドの恋人であったショパンも…。

 

クローバー

 

<展示作品の紹介>

 

●まず以下に挙げる作品はメイン展示室(本館)ではない場所(建物)に飾られていたもの。

(これらがどこにあったのか思い出せないが、下記の建物案内地図からすれば

インフォメーションのあるATELIER SALONだったような気が…)

 

ちなみに小冊子には載っていないのでこれらの作品は貴重かもしれないびっくりマーク

自分が気に入った2作品のみを撮影した。

(作品名と画家の名前は絵と一緒に撮ったが拡大しても小さすぎて文字が読めないので悪しからず)

作品名と画家の名前、もし分かる方があれば教えて頂きたい!

 

 

女性の白い肌が印象的で、どこか神話的な雰囲気を持った作品

 

 

 

 

 

 

クールベを彷彿させられるようなとても迫力があり惹きつけられた波と海そして空

 

 

無料で撮影もOKなんて太っ腹なPARISならではの美術館

 

 

 

seiさてここからが本館となる。

下差し

その前に小冊子より建物の案内図を挙げておく。

1~4までの部屋が日本でいう1階部分、5~8までの部屋が日本の2階に当たる部分

※作品の最初に部屋番号を振っておくので参考になればと思う。

 

 

 

 

 

さっそくメイン展示室の本館へ。

↓

l'Hôtel Scheffer-Renan(シェフール ルナン館)/本館

 

この日は特に空が真っ青で、建物の白さが庭の緑にも映えていた。

 

 

ところが端っからジャーン><汗

 

実は今回初めて私は自分が重大なミスを犯してしまったことに気付いたのである。

ここにジョルジュ・サンドゆかりの部屋があり、それがメインの展示であることだけは知っていた。

但し、それ以上は観てからのお楽しみと思っていた。

小説でも映画でもストーリーが先にわかっては読む(観る)興味が半減してしまうではないか。

言い訳に聞こえるかもしれないが、それと同じように思っていたというわけである。

 

だがそのお陰で(いや自分の注意の至らなさが原因)

要するに絶対に見逃してはならないものをスルーしてしまったという訳なのだ。叫び

 

それは入口(ENTREE )入ってすぐ左手の2番の部屋に展示されていたようだ。

埋め合わせとして小冊子に出ていたので挙げておくことにする。

 

 

部屋番号2(左)LECABINET DES BIJOUS と部屋番号3(右)

もちろんそれが、左下の<ショパンの左手の石膏型>であることはいうまでもない。

 

泣

涙

 

涙

 

涙

 

だがやはりそれでは迫力が出ないというか皆様に伝わらないと考慮した末、

ここは画像をお借りすることに決めた。お願い

 

それがコチラである

↓

 

Cet photo de Musée de la vie romantique est fournie gracieusement par TripAdvisor

(画像提供元はトリップアドバイザー、フランス版より)

 

ショパンの横にはジョルジュ・サンドの腕の石膏型も仲良く?置かれているということだ。

 

 

 

部屋番号3 LE SALON GEORGE SAND

 

ジョルジュ・サンドの客間

 

サンドの肖像画(はっきりとわかる顔写真は前の小冊子の写真を参照)の他、

彼女の家族や友人たちゆかりの品が飾られている。

全てはサンドの孫によって寄贈された遺品ばかりだ。

※但し、進入禁止の綱が張られていて傍まで近付いて見ることはできない。

 

 

 

 

 

螺旋階段を昇り上の階へ…

 

 

 

 

部屋番号5 LA CHAMBRE DES PORTRAITS ROMANTIQUES

 

  Cornelia Scheffer-Marjolin   アリ・シェフェール作

 

この館の住人だったロマン派画家アリ・シェフェールの1人娘、 Cornelia コーネリアの肖像画。

先ほどの小冊子の表紙にも使われている。

 

 

部屋番号5~7の部屋に展示された椅子3脚

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギャルリー・デ・ゴブランの美術館でもそうだったが、

椅子の形やゴブラン織りなどの布の模様はどうしても気になって…

 

 

 

部屋番号7 LA CABINET ARY SCHEFLE

 

壁一面に飾られていたこの絵の淡い色調に惹かれた。

この絵の女性はいったい何をしようとしているのか?

 

 

 

 

部屋番号8 LA CHAMBRE RENAN

 

部屋の名前は(アリ・シェフェールの姪と結婚した思想家の)

エルネスト・ルナン氏の部屋という意味だが…

この館の住人であるロマン派画家アリ・シェフェール氏のアトリエの一角ではないだろうか。

 

それにしてもなんともユニークな椅子びっくりマーク

 

 

以上、全て私好みで撮影した作品ばかりの御紹介であった。

 

 

 

クローバー

 

 

本館の横の<庭園>もここの見所の一つ

 

 

 

 

 

ローズベーカリー(ティールーム)

 

庭園の中にあり、季節に応じた色とりどりの花たちと木々の緑に囲まれ疲れを癒すことができる。

私もここでお茶するのを密かに楽しみにしていたのだが、満席だった。

 

 

 

―雑感として―

今までこの地区に足を延ばすことに躊躇ってたのは一体何だったのか?と思うほど素敵な空間だった。

先入観を持ってしまうのは仕方のないことだけども、できる限りは自分の目で確かめて、

そうすれば思わぬ世界に出会えることの楽しさを知れる可能性だってあるとー。

これは何に対しても言えることなのかもしれない。

 

 

 

 

よろしくお願いします

下矢印

      

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