071230

活性原酒 雪っこ 2007.10


岩手県>陸前高田市>酔仙酒造

原材料: 米、米麹、醸造アルコール、糖類

日本酒度: -17

酸度: 1.3

アルコール度: 20.3%


 名前のとおり、白い濁り酒です。甘くてトロッとしており、飲んだ瞬間は甘酒のようですが、後からアルコールの強烈な刺激が・・・辛いっ。安い本醸造や普通酒を飲むとアルコールがツーンときますけど、そんな感じ。生なので冷蔵庫で保存していたから、冷たいまま飲んだのですが、甘いと辛いの差が激しすぎてバランス悪く感じる・・・

 アルコールの風味を飛ばすために、日をあけてちょこちょこ飲みながら、たまには蓋を緩めたまま冷蔵庫保存。一ヶ月近くもたった今日に最後の分を飲みましたが、やっとアルコールの風味が消えて後味も穏やかになっり、するっと飲めるようになりました。もしかして暖めて飲むのかしら?(^^;


suzu

ドラゴンランス 魂の戦争 第三部 消えた月の竜(D&D スーパーファンタジー)

マーガレット・ワイス, トレーシー・ヒックマン, 安田 均


 「ドラゴンランス」シリーズは世界最初のロールプレイングゲームであるD&Dを下敷きにした、マーガレット・ワイスとトレイシー・ヒックマンの筆によるファンタジー小説です。最近で言えば「指輪物語」のようなもの、といえば通りがいいでしょう。ただし指輪物語はほとんど古典といえるほどの扱いですがドラゴンランスはもうちょっと新しいです。


 D&Dを下敷きにした作品としては、非常に面白かったコンピュータRPGの「バルダーズ・ゲート(完全版) 」などがありますが、BGはフォーゴトン・レルムという世界での物語なのに対し、ドラゴンランスはクリンという世界での話になります。D&Dにはもともと背景世界がなく、名も知れぬ洞窟を探索するゲームだったのですが、トラベラーなど詳細な背景世界を持つゲームが現れ始めたのを機にD&Dでも追加要素的に世界が作られ、フォーゴトン・レルムやクリンはそのうちの一つというわけです。


 ドラゴンランスの日本版は20年前から刊行され、最初のシリーズは「ドラゴンランス戦記 」といいます。文庫で全6巻になっていて、翻訳は安田均です。RPGファンでこの人の名前を知らない人はモグリだというほどの有名人です。
 この戦記では、最初の方ではいかにもゲームを下書きにしていると思える表現が見られるのですが、途中からはまさに壮大なスケールを持った面白いファンタジー小説として読めます。もちろんゲームから完全に離れているわけではないのですが、そういうことを感じさせない一個の物語としてしっかり成り立っているということです。  ただしドラゴンランス戦記はそれ単独として一応完結はしているものの、謎が多く残り、明らかに続編に続くような結末でした。というわけで続いたのが「ドラゴンランス伝説 」です。こちらも全6巻で、私はこの伝説は名作だと思っています。


 戦記には何人も印象的なキャラクターが登場するのですが、中でも最も謎に包まれ、そしておそらく最強のキャラクターに魔術師のレイストリンというのがいるのですが、伝説ではこのレイストリンと双子の兄のキャラモンを中心とした物語となります。スケールはいっそう大きくなり、タイム・トラベルの魔法を駆使して時空を越えてクリンの歴史にまで携わるものとなっています。ラストは感動的で、大部の長編にふさわしいものとなっています。


 またドラゴンランスには外伝もあり、こちらは「ドラゴンランス英雄伝 」として出版されていました。こちらの方はワイス&ヒックマン以外のメンバーの手による作品も含まれ、やはり全6巻の短編集となっています。戦記と伝説はハードカバー版となって再出版されていますが、英雄伝のほうは再販されておらず、そのうちの一部が「ドラゴンランス セカンドジェネレーション 」となって2冊のハードカバーにまとめられています。


 文庫のドラゴンランスとしては、英雄伝が6冊出版された後に「ドラゴンランス序曲 」というシリーズが、ワイス&ヒックマン以外の筆者から出ていましたが、こちらは日本語版は未完(途中まではある)となっていて、たぶん現在ではドラゴンランス史からは除かれたものになっていると思います。正当なドラゴンランスシリーズから見て矛盾した設定などもあり、省みられることもあまりないようなので。


 さてストーリーとしてはドラゴンランス伝説でしっかり完結していて、少なくとも日本では10年くらい音沙汰なかった作品なのですが、前述のハードカバー版がアスキーから発売され始め、さらに新作の「ドラゴンランス 夏の炎の竜 」が出始めました。前作で活躍した人物たちの次の世代がメインの話になり、もちろん旧世代の人物も登場します。


 伝説からの伏線は(少ししか)ない、ストーリー的には全くの新作として始まった作品ですが、個人的には、美しくこの世界を去った○○が復活してしまうのがちょっとなぁ、って感じでした(^^;もっともランスでこいつがいないのは魅力が半減してしまうのも確かなのですが・・・
 この夏の炎の竜も、ちゃんと完結します。


 んが、人気作品の業というか、やはりまた続編が出てしまうのでした。それが、「ドラゴンランス 魂の戦争 」です。全3部作で、第1部が3冊もあったので全部で9冊になるかも、だったのですが第2部と3部は分厚い1冊になったので全5冊となりました。2部と3部はたぶん鈍器として使用可能です。


 夏の炎の竜にしても魂の戦争にしても、面白いことは間違いなく面白いです。しかしやはり、ちゃんと完結した作品からつなげる事に多少の無理はあるのですね。まあ、そういうおかしさはむしろ少ないほうだと思うのですが、やっぱりちょっと変です。特に夏の炎の竜のラストが気に入った人は、魂の戦争にてなんで○○がここに?という思いを最後まで捨てきれないでしょう。キャラクターはほとんど世代交代し、たしか戦記からは60年か70年ほど経った世界です。魂の戦争では、魔法が余り活躍しない(というか設定上、ほとんどの魔法が封じられている)のが残念なところです。


 魂の戦争最終巻はついこの間刊行され、「伝説」の時も「夏の炎の竜」の時もそうでしたが、これでドラゴンランスは完結ということになっています。日本版だけで言えば、20年の集大成です。もしかしたらまだ続きがあるかも、と怯えながらも、本の帯についていた「さよなら、ドラゴンランス」という言葉には感慨深いものがあります。長い付き合いでしたから。


 私は戦記と伝説は今でもたまに読み返します。中学生のころに買った本はほとんど、今読み返す価値のないつまらないものばかりですが、ドラゴンランスだけは別に感じます。古本屋で文庫を探せばまだあるかと思うので、戦記と伝説は本当にお勧めです。


koume

2007/12/18の日経新聞から引用。画像クリックで拡大します。



071218 食糧争奪 -経済人3氏に聞く(上)-
伊藤忠商事会長  丹羽 宇一郎氏


 穀物価格が高騰し、「食糧インフレ」との言葉も聞かれる。食糧の内外事情を追った「食糧争奪」の締めくくりとして、食ビジネスにかかわりの深い経済人3氏に「どうなる世界の食糧、どうする日本の食糧と農業」を聞いた。最初は丹羽宇一郎・伊藤忠商事会長。(この項の聞き手は編集委員 林邦正)


――穀物・食糧価格の高騰をどう見ていますか。


 「食糧危機が叫ばれた1970年代と似ている。71年にドルと金の交換を停止したニクソン・ショックが起こり、ドル安が進む。73年は第一次石油ショックで原油価格が急騰。そんな中で旧ソ連、中国などで大減産、米国は干ばつと穀物の需給環境が激変、価格体系が変わった。トウモロコシは1ブッシェル2ドル台後半、小麦は3ドル台、大豆は6ドルとおおむね2倍になった」

 「当時との違いはオイルマネーをはじめとする過剰流動性がけた違いに膨らみ投機の影響が大きくなったことだ。オイルマネー、ファンド、外貨準備などの過剰なドルは10兆ドルくらいに達する。その1%でも商品市場に入れば価格は飛び跳ねる。原油のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の年間生産規模の10倍以上となる1500億ドルものカネが原油先物市場に入っている。これが価格を押し上げている」


――穀物価格の高騰は今後も続くでしょうか。


 「ドル安が続く限り一過性ではすまない。生産国にすればドルが下落した分、モノの価値が切り下がる。ドル建ての名目価格を押し上げる力が働く。価格上昇に歯止めをかけるには生産効率を高めるなどコスト引き下げを実現することだ」

 「代替燃料としてのエタノールの効果に疑問が出てトウモロコシが一転して余れば価格は下がるだろう。実際、エタノールは二酸化炭素の排出量削減にあまり寄与しないとの学者の意見もある。しかし下がっても以前の水準には戻らない」


――中国の需要は増え続ける見通しです。中国の影響をどう見ますか。


 「中国の穀物生産量は一時4億3000万トンまで落ち込んだが、最近は5億トンに回復している。中国はコメとトウモロコシの自給を維持するよう増産政策をとり始めた。新しい種子の開発や機械化などで単収増も可能だ。農地も増やすだろう。大豆の大量輸入は続くだろうが、食糧争奪戦を心配する必要はあまりない」


――米国に依存した日本の食糧供給体制は危うくありませんか。


 「はっきりしたのは、余剰在庫を持つ安定した輸出国は米国以外にないことだ。その米国で深刻な天候異変が起きたら心配だ。日本はもしものときへ備えとして穀物備蓄拡大を考えなければいけない」


――自給率の引き上げについては。


 「日本の風土に最も適した作物はコメだ。コメの生産を集約化してコストを下げ、同時にコメでパンやうどんを作るなど需要拡大を考えないといけない」

 「水田は治山治水など国土保全上の重要な意義がある。コメは多少高くついても日本として守っていく必要がある。農家への安易な補助金は賛成できないが農業は重要な分野だと国民が認識する必要がある」




 米の生産の集約化はたぶん黙ってても出来ますが(零細兼業農家がバタバタいなくなるから)、コストをこれ以上下げる事は出来ないと思います。もっとも、農業機械が安くなれば今すぐでも出来ますが。

 米を低コストでやれという人は財界人にうじゃうじゃいますが、いったいどこを削れというのだろうか。発展途上国の中には、年収が数万円が当たり前という国があるから、日本のサラリーマンも年収10万くらいで充分だと言ってるに等しいです。


 ちなみに、バイオエタノール目的で作ってるトウモロコシが、エタノールに不安が出て余ったとしても、それは食べ物になりません。品種が違うし。ま、翌年にもともとの食用品種に戻せばいいだけですが、作り方がたぶん違うだろうと思うし(もちろん、食用品種の方が作りにくい)。


 公務員の給料も上がってるんだし、食料が多少上がっても良いじゃないですか。携帯電話の通話料ほどに米を食っている人は世の中にまずいませんよ。


koume

2007/12/20の日経新聞から引用。 記事クリックで拡大します。


071220 食糧争奪 -経済人3氏に聞く(下)-

農林漁業金融公庫総裁  高木 勇樹氏


――1970年代以来の穀物価格高騰ですね。


 「第一次石油危機の経験を思い出す。当時は農林省(現農林水産省)の流通飼料課の課長補佐をしていたが、価格高騰だけでなく量の確保も問題だった。トウモロコシなどの飼料穀物について、牛などの大きな家畜への供給は守るが鶏などの小さな家畜には制限する配給制を内々で検討していた」

 「当時と比べ、今は量の確保に不安があるという危機感はない。ただ現在の畜産経営は高度化しており、牛で千頭といった大規模経営もある。エサのコストによる影響が大きくなり、従来どおりの手当てができるか懸念が大きいともいえる」


――穀物高は構造的なものでしょうか。


 「トウモロコシを原料にしたエタノール生産が補助金なしでやっていけるか疑問もあるし、高止まりのままだとも思えない。エネルギー代替の需要にどこかで見直しの時期がくるだろう。ただ中国、インドなど成長著しい国々の今後の食糧需要を考えると、各国が進めようとしている農業の生産構造の改善が間に合うのかという問題がある。食糧の買い付けで日本は厳しい競争を迫られる。形を変えた量的不安の問題は依然としてあり得る」


――日本の食糧対策は大丈夫なのでしょうか。

 

 「今のような米国依存がよいはずはなく、調達先を多角化する努力が必要だ。政府開発援助(ODA)を使った投資も必要。日本に欠けているのは国としての戦略だ。カネさえあれば手に入る時代が長く続いたから深刻に考えてこなかった。食糧も資源のひとつとして、確保の戦略を早く立てないといけない」


――増産の切り札は遺伝子組み換え(GMO)などのバイオ技術だと思いますが、日本ではGMO穀物を受け入れようとしていませんね。


 「非GMO穀物を調達しようとしても調達できなくなりつつある現実を消費者が知らない。いわば目隠しされた状態だ。消費者の不安、生態系への影響などGMOの何が問題なのか、原点からの議論に早く取り組む必要がある。世界がGMOに進んだとき、日本は非GMOを求め続けられるか」


――食糧自給率を高めるべきでしょうか。


 「自給率が低下したのは食生活の洋風化に農業の衰退が加わったためだ。30年前に年11兆円あった農業生産額が8兆円強に減った。農業の衰退以外の何ものでもない」

 「農地とヒトと経営構造の総合的な自給率を高める必要がある。耕作放棄地は農地面積の1割近くに上る。農地を有効利用できる仕組みをつくらなければならない。農地の活用なくして地方の活性化もあり得ない。農地の所有と利用のあり方を変え、利用度を高めることが農業を強くする」

 「担い手づくりと言いながら、農業経営者を育てるための環境整備も何もない。定期借地権のような農地利用の制度も盛り込んだ農業経営の一括支援法を整備すべきだ」



 わりと普通に、農業の中で語られていることを紹介していると言う感じです。お金があっても買えなくなって来てるのはまさにその通りでしょう。食料輸出国だった中国が、だんだん食糧輸入国になりつつあるのが危ない兆候です。人民元のレート優遇のおかげで中国の通貨は不当に高価値になってますからね。それとやはり市場が大きい。

 しかも日本の食料はアメリカに依存している、ってのは麦や大豆などの穀物(飼料用も含む)、綿なんかがそうですが、人が食べるものとしては中国から輸入してるものが多く、特に野菜は中国から一番たくさん入れています。そういうところが、実は危うい。中国産の食品は危ないと煽るだけではいけないのです。だったらやーめた、と言われて一番困るのは日本です。実際、中国国内で流通してるものはともかく、日本に入ってきているものは結構安全なんですから。


 ところで冒頭に、70年代以来の穀物価格高騰ですね、とありますが本当にそれ以来ぶりくらいなんじゃないですか。と言うか、ごく普通の品物の価格と言うのは、経済成長率に合わせて値上がりするのが当たり前で、それほど値上がりしていないことを停滞していると表現するもので、要するに全然値上がりがないならばそれは実質的に値下がりしている(本来上がっているはずの分、下がっている)のがまあ常識です。

 が、米なんかは本当に上がっていなくて、むしろ本当の意味で値下がりしまくっているんですよね。ということは実質的な値下げはもっとすごい。ここ数年、毎年8%ずつくらい値下がりしている。生産原価はちゃんと上がってるんですけどね。わが業界ながら、本当にどこでその損失を吸収してるんだろうか(笑


suzuさんに聞いたんですが、今年の宮城県産小麦のJA仮渡金がキロ当たり16円だとか。1トン作って16000円か・・・まじやってられん(^^;まあ追加と補助金があることはあるんですが、それでも60キロで5000円あるかないか・・・空いた農地で麦作ればいいと能天気に言う人は、まず自分がやってみればいいと思います。過保護と言われようが、手厚い補助金もらわないと絶対出来ないから。じゃ無ければ生産拠点を外国に持っていくようなことをやらないと難しく、それならば政治の世界です。といっても最近の政治は、経済人に乗っ取られてるようなので、財界人にとって邪魔以外の何者でもない農業系の関税障壁をどうこうするようには絶対ならないでしょうけどね。


koume

 経済専門である日経新聞は、時々、経済の視点から見た農業関連の記事が出ます。経済のお偉いさんによる「食糧争奪」という記事が3日連続で載っていましたが、どれも同じような意見で、画一的である意味面白いです。


 とりあえず1つずつ載せるとして、今日は2007/12/19の日経新聞から引用。記事をクリックすれば拡大します。




071219 食糧争奪 -経済人3氏に聞く(中)-
ゼンショー社長  小川 賢太郎氏


――穀物から畜産、水産物に広がる食糧価格の上昇をどう見ますか。


 「世界経済のグローバル化で中国やインドが国際市場に参入し、世界の消費者が市場に組み込まれるようになった構造変化の結果だ。ただこれが永続するとも思えない。価格が上がれば作付けが増える。投機的なマネーの流入が価格を大きく上げた原因で、逆に下げも大きいはずだ」


――国際価格の上昇の割には国内の食品の小売価格は上がっていませんね。


 「当社は牛丼の『すき家』チェーンをはじめ傘下の外食グループ全体で調達から加工、物流まで効率的な仕組みを造り上げてきた。原材料コストを吸収し、安易な値上げは避けている」

 「ただ一般論でいえば、大手量販店が価格決定権を握り、メーカーや問屋の値上げ要請を押さえ込んでいるように見える。安く売るには大変な企業努力が必要で、それには敬意を払うが、食品メーカーが技術革新のための投資ができるよう考え方を変える段階にきている。そうしないと結局は商品の品質劣化を招く」


――穀物高は牛肉の価格にも影響しますね。


 「牛肉を1キロ増やすにはトウモロコシが8キロ必要だ。日本人はサシの入った肉を好む。穀物肥育を否定するわけではないが、草で肥育する畜産も見直すべきではないか」


――日本の農業のあり方をどう考えますか。


 「重要なのは農業を産業とすることだ。農業は衰退し、後継者もいないと当事者があきらめている。そのため、国はいかに助成金を付けるかばかり考えている。だが助成金で栄えた産業はない。外食産業も過去10年で売り上げは5兆円減った。その意味では衰退産業かもしれないが、上位10位の寡占化が進んだ。農業ではどうか。最も意識の高いという農業生産法人の上位30位の売り上げは合計300億円しかない。農業の産業化を進めないと外食産業も困るし、消費者も困る」


――産業化するには?


 「後継者が出てこれるように国が支援する体制が必要だ。農業就業者の平均年齢は68歳といわれる。15年後にはほとんどいなくなる。急務といえる」

 「規模拡大も必要だ。我々も国産牛肉を使いたいが半値にならないととても使えない。25年前の創業当時、コメは1俵(60kg)2万円したが、今は1万円が視野に入る水準まで下がった。1万円なら使い続ける自信がある。だが今の規模では無理。最低でも一戸100ヘクタール。200ヘクタールにまとまれば国際競争力も持てる」


――食糧自給率を上げる必要があるのでは。


 「39%はカロリーベースでの数字。金額ベースでは70%だ。都市の近郊農家が売る野菜などはほとんど自給率にカウントされていないためだ。今の水準を落とすのはどうかと思うが、いいところではないか」




 ゼンショーといえば記事中にもあるように牛丼チェーンの「すき家」ですが、すき家の牛丼は並盛350円です。米が1俵1万円なら使い続けられる自信がある。って結局のところ、自分たちのことしか考えてない発言ですね。

 100ha作れば1万円でもペイする、とは現場にいる者としてちょっと信じられません。2万円では使えないなら、別に使わなくてもいいんじゃないですか?牛丼を400円にすれば魚沼コシヒカリでも使えます。

 ・・・というと、これはこれで農家の立場からしかものを言ってないんですけど、1俵1万円がどれほど安価な額か財界人は誰もわかってない。わかろうともしていない。


 もう一つ、経済評論家が全然わかってないことは、100haという面積についてです。メチャクチャでかいです。どこにそんな田んぼがあるんじゃ。


 1haは10000㎡(100m×100m)です。よく言われる東京ドーム一つ分は約4.7haです。

 今、農家の平均耕作面積ってたしか2haくらいじゃなかったかなと。それは2ha程度の農家が多いのではなくて、2反や3反くらいしか作ってない兼業農家と、10町以上やってる専業農家で両極端になってるんですけど、まあ野菜と米・麦でも面積は全然変わります。米専業農家としては、まあ最小は5haとかからで、地域にもよりますが50haも作ればまず大きいといわれます。うちは栽培面積は13haくらいです。だいたい東京ドーム3個分くらいですか。

 ゼンショー社長様が言われる100ha(東京ドーム21個分)には遠く及びませんが、それでも特にうちがサボってるとか、異様に非効率的な仕事をしているとかは無いと思います。うちは家族3人経営で、手間暇をかけて単価の高いものを作る方向でやっているのですが、仮に量をたくさん作る方でやっても3人では20haくらいで頭打ちじゃないかなと思います。100ha作るには人手が必要で、面積が大きくなるに連れて人手などの方の経営規模も同じく増えていきます。でかくすれば安く作れる、などと簡単に言えるものではありません。効率化のために機械を導入しても、コンバインなんか1000万以上するから、全額ペイ出来るまで数十年かかりますし。

 そしてそんな話も当然、100haの面積を何とかできるとの条件が前提です。やろうと思えばポンと面積が集まってくるものではありません。


 仮にこの「一戸100ha」が田んぼではなく牧場の話だったとしても、100haもの牧場を作れるのは北海道ぐらいで、あとは本州に数えられるぐらいの数戸が出来るのみじゃないでしょうか。


 しかも、アメリカなどの海外で大面積というのは千ha単位で、100ha作ってもまだ桁が違います。しかも海外では田んぼ一枚一枚の大きさも違うし、気候も違うしで、大型機械の使いやすさや資材の使用割合、農薬の使い方も変わります。200haにしたからと言って海外との競争力がつくわけではありません。私はむしろ、日本の場合は小面積でも高価値な物を作ってこそ、競争力があるのではないかと思います。


 海外には数十円で食事が出来るところがあります。日本の米を1万円にしないと競争力が保てない、というのはすき家の牛丼を1杯50円にしないと国際的な水準ではないと言っているのと同じです。


 ほとんどの農家は、商人としての視点というか、経済学的な視点を持っていません。それはそれで問題ですし、農家はもっと勉強しないといけないとは思いますが、だからと言って経済学的なものの見方が全てに優先するものでもないでしょう。

 でもメディアに出て発言するなら、もうちょっと現場を知って欲しい・・・ってそれはメディアそのものの問題でもあると思いますが。影響力が違いますからね。医療界も同じですが。


koume