2007/12/18の日経新聞から引用。画像クリックで拡大します。



071218 食糧争奪 -経済人3氏に聞く(上)-
伊藤忠商事会長  丹羽 宇一郎氏


 穀物価格が高騰し、「食糧インフレ」との言葉も聞かれる。食糧の内外事情を追った「食糧争奪」の締めくくりとして、食ビジネスにかかわりの深い経済人3氏に「どうなる世界の食糧、どうする日本の食糧と農業」を聞いた。最初は丹羽宇一郎・伊藤忠商事会長。(この項の聞き手は編集委員 林邦正)


――穀物・食糧価格の高騰をどう見ていますか。


 「食糧危機が叫ばれた1970年代と似ている。71年にドルと金の交換を停止したニクソン・ショックが起こり、ドル安が進む。73年は第一次石油ショックで原油価格が急騰。そんな中で旧ソ連、中国などで大減産、米国は干ばつと穀物の需給環境が激変、価格体系が変わった。トウモロコシは1ブッシェル2ドル台後半、小麦は3ドル台、大豆は6ドルとおおむね2倍になった」

 「当時との違いはオイルマネーをはじめとする過剰流動性がけた違いに膨らみ投機の影響が大きくなったことだ。オイルマネー、ファンド、外貨準備などの過剰なドルは10兆ドルくらいに達する。その1%でも商品市場に入れば価格は飛び跳ねる。原油のWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)の年間生産規模の10倍以上となる1500億ドルものカネが原油先物市場に入っている。これが価格を押し上げている」


――穀物価格の高騰は今後も続くでしょうか。


 「ドル安が続く限り一過性ではすまない。生産国にすればドルが下落した分、モノの価値が切り下がる。ドル建ての名目価格を押し上げる力が働く。価格上昇に歯止めをかけるには生産効率を高めるなどコスト引き下げを実現することだ」

 「代替燃料としてのエタノールの効果に疑問が出てトウモロコシが一転して余れば価格は下がるだろう。実際、エタノールは二酸化炭素の排出量削減にあまり寄与しないとの学者の意見もある。しかし下がっても以前の水準には戻らない」


――中国の需要は増え続ける見通しです。中国の影響をどう見ますか。


 「中国の穀物生産量は一時4億3000万トンまで落ち込んだが、最近は5億トンに回復している。中国はコメとトウモロコシの自給を維持するよう増産政策をとり始めた。新しい種子の開発や機械化などで単収増も可能だ。農地も増やすだろう。大豆の大量輸入は続くだろうが、食糧争奪戦を心配する必要はあまりない」


――米国に依存した日本の食糧供給体制は危うくありませんか。


 「はっきりしたのは、余剰在庫を持つ安定した輸出国は米国以外にないことだ。その米国で深刻な天候異変が起きたら心配だ。日本はもしものときへ備えとして穀物備蓄拡大を考えなければいけない」


――自給率の引き上げについては。


 「日本の風土に最も適した作物はコメだ。コメの生産を集約化してコストを下げ、同時にコメでパンやうどんを作るなど需要拡大を考えないといけない」

 「水田は治山治水など国土保全上の重要な意義がある。コメは多少高くついても日本として守っていく必要がある。農家への安易な補助金は賛成できないが農業は重要な分野だと国民が認識する必要がある」




 米の生産の集約化はたぶん黙ってても出来ますが(零細兼業農家がバタバタいなくなるから)、コストをこれ以上下げる事は出来ないと思います。もっとも、農業機械が安くなれば今すぐでも出来ますが。

 米を低コストでやれという人は財界人にうじゃうじゃいますが、いったいどこを削れというのだろうか。発展途上国の中には、年収が数万円が当たり前という国があるから、日本のサラリーマンも年収10万くらいで充分だと言ってるに等しいです。


 ちなみに、バイオエタノール目的で作ってるトウモロコシが、エタノールに不安が出て余ったとしても、それは食べ物になりません。品種が違うし。ま、翌年にもともとの食用品種に戻せばいいだけですが、作り方がたぶん違うだろうと思うし(もちろん、食用品種の方が作りにくい)。


 公務員の給料も上がってるんだし、食料が多少上がっても良いじゃないですか。携帯電話の通話料ほどに米を食っている人は世の中にまずいませんよ。


koume