2007/12/20の日経新聞から引用。 記事クリックで拡大します。


071220 食糧争奪 -経済人3氏に聞く(下)-

農林漁業金融公庫総裁  高木 勇樹氏


――1970年代以来の穀物価格高騰ですね。


 「第一次石油危機の経験を思い出す。当時は農林省(現農林水産省)の流通飼料課の課長補佐をしていたが、価格高騰だけでなく量の確保も問題だった。トウモロコシなどの飼料穀物について、牛などの大きな家畜への供給は守るが鶏などの小さな家畜には制限する配給制を内々で検討していた」

 「当時と比べ、今は量の確保に不安があるという危機感はない。ただ現在の畜産経営は高度化しており、牛で千頭といった大規模経営もある。エサのコストによる影響が大きくなり、従来どおりの手当てができるか懸念が大きいともいえる」


――穀物高は構造的なものでしょうか。


 「トウモロコシを原料にしたエタノール生産が補助金なしでやっていけるか疑問もあるし、高止まりのままだとも思えない。エネルギー代替の需要にどこかで見直しの時期がくるだろう。ただ中国、インドなど成長著しい国々の今後の食糧需要を考えると、各国が進めようとしている農業の生産構造の改善が間に合うのかという問題がある。食糧の買い付けで日本は厳しい競争を迫られる。形を変えた量的不安の問題は依然としてあり得る」


――日本の食糧対策は大丈夫なのでしょうか。

 

 「今のような米国依存がよいはずはなく、調達先を多角化する努力が必要だ。政府開発援助(ODA)を使った投資も必要。日本に欠けているのは国としての戦略だ。カネさえあれば手に入る時代が長く続いたから深刻に考えてこなかった。食糧も資源のひとつとして、確保の戦略を早く立てないといけない」


――増産の切り札は遺伝子組み換え(GMO)などのバイオ技術だと思いますが、日本ではGMO穀物を受け入れようとしていませんね。


 「非GMO穀物を調達しようとしても調達できなくなりつつある現実を消費者が知らない。いわば目隠しされた状態だ。消費者の不安、生態系への影響などGMOの何が問題なのか、原点からの議論に早く取り組む必要がある。世界がGMOに進んだとき、日本は非GMOを求め続けられるか」


――食糧自給率を高めるべきでしょうか。


 「自給率が低下したのは食生活の洋風化に農業の衰退が加わったためだ。30年前に年11兆円あった農業生産額が8兆円強に減った。農業の衰退以外の何ものでもない」

 「農地とヒトと経営構造の総合的な自給率を高める必要がある。耕作放棄地は農地面積の1割近くに上る。農地を有効利用できる仕組みをつくらなければならない。農地の活用なくして地方の活性化もあり得ない。農地の所有と利用のあり方を変え、利用度を高めることが農業を強くする」

 「担い手づくりと言いながら、農業経営者を育てるための環境整備も何もない。定期借地権のような農地利用の制度も盛り込んだ農業経営の一括支援法を整備すべきだ」



 わりと普通に、農業の中で語られていることを紹介していると言う感じです。お金があっても買えなくなって来てるのはまさにその通りでしょう。食料輸出国だった中国が、だんだん食糧輸入国になりつつあるのが危ない兆候です。人民元のレート優遇のおかげで中国の通貨は不当に高価値になってますからね。それとやはり市場が大きい。

 しかも日本の食料はアメリカに依存している、ってのは麦や大豆などの穀物(飼料用も含む)、綿なんかがそうですが、人が食べるものとしては中国から輸入してるものが多く、特に野菜は中国から一番たくさん入れています。そういうところが、実は危うい。中国産の食品は危ないと煽るだけではいけないのです。だったらやーめた、と言われて一番困るのは日本です。実際、中国国内で流通してるものはともかく、日本に入ってきているものは結構安全なんですから。


 ところで冒頭に、70年代以来の穀物価格高騰ですね、とありますが本当にそれ以来ぶりくらいなんじゃないですか。と言うか、ごく普通の品物の価格と言うのは、経済成長率に合わせて値上がりするのが当たり前で、それほど値上がりしていないことを停滞していると表現するもので、要するに全然値上がりがないならばそれは実質的に値下がりしている(本来上がっているはずの分、下がっている)のがまあ常識です。

 が、米なんかは本当に上がっていなくて、むしろ本当の意味で値下がりしまくっているんですよね。ということは実質的な値下げはもっとすごい。ここ数年、毎年8%ずつくらい値下がりしている。生産原価はちゃんと上がってるんですけどね。わが業界ながら、本当にどこでその損失を吸収してるんだろうか(笑


suzuさんに聞いたんですが、今年の宮城県産小麦のJA仮渡金がキロ当たり16円だとか。1トン作って16000円か・・・まじやってられん(^^;まあ追加と補助金があることはあるんですが、それでも60キロで5000円あるかないか・・・空いた農地で麦作ればいいと能天気に言う人は、まず自分がやってみればいいと思います。過保護と言われようが、手厚い補助金もらわないと絶対出来ないから。じゃ無ければ生産拠点を外国に持っていくようなことをやらないと難しく、それならば政治の世界です。といっても最近の政治は、経済人に乗っ取られてるようなので、財界人にとって邪魔以外の何者でもない農業系の関税障壁をどうこうするようには絶対ならないでしょうけどね。


koume