商経アドバイス 11月13日号より。



 MA入札、全量不成立
 契約書改正で輸入商社がリスク回避


 農水省は七日、事故米不正転売事件発覚後では初となる20年度第2回ミニマム・アクセス(MA)一般輸入米入札を実施したが、予定数量5万1000トン全量が不成立となった。不成立は、応札がゼロあるいは1業者にとどまり、競争原理が働かない場合に適用される。


 本紙既報の通り農水省は10月31日付で、SBS(売買同時入札)を含むMA米輸入の再開に伴って指定商社と締結する「輸入米穀買入委託契約書」を一部改正した。事故品(食品衛生法上問題があると認められたもの)とほかの現品の区分を明確にするとともに、政府は事故品の買い入れを行わず、全ての処理を指定商社に委ねたものだ。指定商社が事故品を輸入した場合は、商社の負担で積み戻しによる輸出国等への返送を行うか、廃棄物として処理する事になる。


 全量不成立は、委託契約書の一部改正を商社サイドが深刻に受け止め、応札に躊躇した結果だ。農水省は、「契約書の見直しも不成立の要因だろう。商社側がリスクを測りかねているのではないか」(食糧貿易課)と説明している。


 MA米の輸入では、今月14日(金)に2万5000トンの予定枠(一般米約2万2500トン、破砕米枠2500トン)でSBSが行われる。国際穀物相場の高騰に事故米事件が重なり、残り5ヶ月を切って20年度の第1回がようやく開かれるものだ。農水省が一元管理するMA一般輸入とは違い、いわば民間流通の位置づけにあるが、買入委託契約書の改正が重い足カセとなる可能性もある。



 ちなみに、この件に関して買入委託契約書以外にも改正されたことはほかにもあり、まず横流し防止に対する検査マニュアルが新たに策定されて、農水省から買い受けた事業者の社名が公表されるようになってます。また現在議論があるものに、JAS法とは別に、コメおよびコメの加工品に対する原産地表示を義務付ける案が出ています。要は、今まで外国産米で作られていたコメ菓子や醤油などの原材料に外国産米とちゃんと書けというもの。


 私は、これら全てに反対するわけではもちろん無く、いい所はいい所として使っていけばいいと思いますが、まあ全体を通してみてもあからさまなのは農水省の責任逃れ構造。とにかく責任は全て業者が取りなさいよという仕組みじゃないですかこれらは。
 当然、業者も応分に責任は取るべきです。が、事故米事件であの体たらくをさらした農水省が、見つけた結論が結局は「責任の丸投げ」では嫌になりますよ。


 だいたいMA米の輸入は国際政治の場で決まっている事項であって、商社に買ってもらえなければ農水省の倉庫に収まることになります。置いておけば置いておくほど「事故化」するリスクは高まりますし、保管だってタダとは程遠い経費が必要です。いっそMA米の輸入自体をやめてしまうのも手だと思いますが、そんな外交交渉が出来るとも思えません。


 農水省は食糧問題について、いったいどういう将来像を持っているのでしょうか。お花畑では困りますよ。


koume

 「産科医療のこれから」 様で読んだ記事です。



暴力・嫌がらせ、悪質な患者診療拒否…香川県立3病院
http://osaka.yomiuri.co.jp/news/20081109-OYO1T00262.htm?from=main1


 医師や看護師らに暴力や嫌がらせをする患者対策として、香川県は県立の3病院で悪質な場合は診療を拒否する方針で臨むことを決めた。「診療の妨害になる」という医療現場からの声を受け、2009年度中に運用するマニュアルに盛り込む。厚生労働省は「医師の権利を保障する自主的な取り組みとして注目したい」としているが、専門家の間では患者側の権利を制限するとの指摘もあり、今後、議論を呼びそうだ。


 全日本病院協会(東京)の調査では昨年、全国の576病院で6882件の医師らへの暴力や脅し、セクハラ行為などが確認された。香川県の県立3病院でも今年4月以降、91件発生。入院中の妻のふとんがずれていることに怒った夫が「家を探して殺すぞ」と看護師を脅したり、必要のない検査を断られた男性患者がいすを医師にぶつけたりしたケースがあった。


 3病院では、医師らが身の危険を感じた場合は警備員を呼んで対応。収まらなければ、110番しており、年数回、警察へ通報するトラブルが起きているという。


 県立中央病院(高松市)の大林正孝事務局長は「特定の患者を見るだけで恐怖心を抱き、精神的に参っている看護師もいる」と実情を訴える。


 県医務国保課のマニュアルの試案では、不必要な治療の医師への強要▽セクハラ行為▽脅迫行為――などを禁止行為と定め、患者が従わない場合は、診療拒否できることを明示。患者側からの悪質な要求には、複数の職員で対応し、刑事告訴や民事訴訟に備えて記録を残すことなども記す。


 医師法は「医師は正当な事由がなければ診察・治療の求めを拒んではならない」と規定しており、県は同法との兼ね合いや、どの程度の暴力などに対して診療を拒否するのかなどを医師や弁護士らでつくる県医療安全推進協議会で意見を聞き、細部を詰める。


 県医務国保課は「迷惑行為を放置すれば、診療がストップし、他の患者の診療に支障がでる。医師や看護師不足に歯止めをかけるためにも最低限の決まり事は必要だ」と強調する。



 医療問題に詳しい作家で医学博士の米山公啓さんの話「日本の病院はリスク管理が遅れており、医師の権利を守るため、本来はトラブル対策の専門家を置くことが望ましい。しかし、医師らに迷惑をかける患者が横行している現状では、現場が混乱しないようルールをつくるのはやむを得ない」


 NPO法人「患者のための医療ネット」(東京)代表理事の藤田康幸弁護士の話「患者は精神的に不安定なのが当たり前で、医師よりも圧倒的に立場が弱い。振る舞いや言動だけで画一的に診療拒否されれば、受診する権利を侵害しかねない。患者の意見を聞いて慎重に判断すべきだ」


(2008年11月9日 読売新聞)




 いきなりですが、「患者側の権利を制限するとの指摘」をする専門家って何の専門家なんでしょう??記事の末尾についている、NPO法人「患者のための医療ネット」の代表の人は、専門家といっていいのでしょうか。まあ農業業界にも、化学物質の被害を声高に訴える「大学教授(経営学部)」の専門家なんてのもいますから、「ああ、そういうものね」と理解することはできますが。


 医師や看護士を殴ったり椅子を投げ飛ばしたりするような患者の権利を尊重するべきとは、個人的には全くそう思えません。正確には、そういうことをしない患者の方がより尊重されるべきだということでしょうか。

 まあ実際に診療拒否する時は、暴言を吐かれたり殴られたり椅子を投げつけられたりされた後に追い出すことになり、ついでにその人の名前がブラックリストに載るなりするのでしょうから、受診する権利がそれほどに侵害されることはないでしょうね。こういう酷いモンスターペイシェントだって、一応受診はできているのだから椅子を投げられるわけで。
 患者さんは精神的に不安定だから、と言う理由で医療関係者が耐えている事柄は元々かなりあるんだと思いますが、それにしても行き過ぎと思うものについて排除したいって取り組みを否定するのはどうよと、誰でも理解してくれると思いますけどねえ。こういうのは、まず「画一的」にはならないと思いますよ。そもそも


 県医務国保課は「迷惑行為を放置すれば、診療がストップし、他の患者の診療に支障がでる。医師や看護師不足に歯止めをかけるためにも最低限の決まり事は必要だ」と強調する。


と言ってるわけで、無法な患者を追い出すことで良識ある一般の患者の権利はむしろ手厚くなるんですからね。


 こういう話に追随する医療機関が出るといいな。

koume

 個人的な考えですが、政治とはインフラ整備業であるべきで、さらに言えばそれ以外のことはできるだけやらない方がいいです。インフラ整備と言ってももちろん道路だけではなく、社会制度そのものの話であって、警察や裁判所の運営だとか、もちろん医療制度も含みます。


 で、農業で言うインフラと言えば一番目立つものに農道や用排水路の整備があります。私はこれこそ国の仕事だと思うのですが、特に中山間地で手付かずです。余談ですが、石川県の浅野川水系の氾濫で壊滅した田んぼや畑の復旧は、県が全部面倒を見ると知事が言ったにもかかわらず、当の地主には未だに何の音沙汰もないそうで、もちろん一切進んでいません。自分自身で直そうとすると、あとから県や国の手当てが決まっても、すでに個人が投じた復旧費用などは手当てされない、当人にしてみれば無駄で不公平な金となってしまうので自分で何とかするわけにもいかず、まるでどうしようもないことになっています。


 食品関係でインフラぽいものと言えばなんと言っても自給率ですが、低くて危ないと思うなら、国内の農業人を保護するために収入を手当てしなくてはいけません。精神論で動かせる人などたかが知れています。

 イギリスでは一時期食料自給率が壊滅的な状態になったことがありましたが、農家手取りの60%までを国が面倒見ることにして、今では自給率は70%ほどに回復しています。食糧をほぼ自給できるEU圏内にいてさえこういうことをやっています。日本でもやるやると言う人はいますが話が具体的に進むことはありません。


 こういったことがなされていないにもかかわらず、農業関係の予算には毎年少なくない額が使われているようです。全く、実感がありません。日本の農政の特徴は(農政に限らないかもしれないが)、農家しか受益しないようなところには絶対に予算が付かないことです。具体的には、JAや農機メーカーや土建屋などが噛む仕事でないとお金はつきません。


koume

 墨東や杏林の件がかまびすしい昨今、医療業界の中では「今さらこんなもの回すってどうよ!」な、労働環境に関するアンケートが出回っているらしくて、現場の人たちを辟易とさせる厚労省の取り組みはいつでも平常運転みたいですが、メラミン・トルエンなどの名前を聞かない日の無い食品業界でもアンケートが回ってきました。題して、「事故米に関する農林水産省の取組についての意識・意向調査(第1回)」です。
 ウェブにもあります。
http://www.maff.go.jp/m/03/


 中身はどういうものかというと、農水省の取組についてどのようなものを重要視していますかとか、取組の中間的総括についてどのように評価しますかとかいうもので、まあ具体的には、


事故米に関する農水省の取組の中間的総括について、どのように評価しますか。(1・大いに納得できる~5・全く納得できない)


1:流通ルートの全容解明について
2:事故米麦の輸出国等への返送・廃棄を行うための手続きについて
3:国が保有する事故米穀の廃棄処分について
4:米流通に関する検査マニュアルの整備について
5:善意の関連事業者への回収費用等に対する経営支援対策について
6:農林水産省職員の処分について


 などなどとありますが(リンク先のウェブページでは、一般の方は回答は出来ませんが設問を見ることは出来ますのでどうぞ)、正直に言って私には、これらのアンケートの意図がよくわかりません。つまり、それを聞いてどうするの?と言う感じです。
 ちなみに、取組の内容についてはアンケートに同封の資料がありまして、上に挙げた中間的総括がまとめられていますが、一概にそう見るのはおかしいとは思いつつもやはりどうしても「お役所的に処理済」な感想が抜け切れません。


 ムチャクチャ適当にまとめると、このアンケートは要するに「この期に及んでもまだ農水省のことを信頼してくれますか?」ってことなんでしょうか?全部の設問で(5)にマルしたところで、答える方も受ける方も特にどうと言うこともなさそうですし、何だかこのアンケートはやっぱし、仕事のための仕事って感じがしますねえ。取り組み自体を評価しないなんてつもりはありませんが。


 ただ以前にも書きましたが、この手の食の問題に関してはいろんな事柄が農水省に押し付けられすぎな感じはします。
 実は2週間ほど前にも、これとは別なアンケートが来ていたのですが、これからの農水省に期待するものはなんですか?と言う問いに例えば「農産物の地域ブランドを作って、地方を活性化させる」などといった項目がありました。そんなことは地域の人間たちが自分自身でやることであって、やる気のない役人が出てきてアタマを取ってやったって成果など出るはずがありません。
 他にも様々な項目があって、そのアンケート用紙自体は手放したので他のは思い出せないんですが、そんなのが農水省の仕事か?と思うものばかりでした。


 例えば、食品全体の話はともかく、個々の食品についていわゆる安全・安心を提供するのは各食品メーカーや販売店の仕事であって、国の仕事とはなんか違うような気がします。事故米の件についても一番悪いのは三笠フーズが転用したことなのであって、それへの監視がやたら甘かったのは非難されるべきですが、にしても農水省の責任が一番大きいとはちょっと思いにくい感じがします。

 国としての安全・安心への取り組みについては農取法や食衛法、JAS法などがすでにかなり整備されており、それの遵守を徹底することですでに完結しています。新しい法律など必要ありませんし、もともと国の仕事はこれらのような大枠を決めることであって、例えばこんにゃくゼリー1品目をどうこうと言うようなミクロな話には対応できないのがそもそもの姿でしょう。
 このあたりでは、私はむしろ厚労省や農水省に同情的です。


 が、そんな原則を無視して、このアンケートにも表れるように、あくまでも世論の流れにこだわることで目先の支持を集める方向に国が動くなら、もういろんな意味でどうしようもないと思わざるをえません。


 農水省と言えば今は、健康被害なんか絶対に出ないであろう事故米の対応なんかより、韓国漁船の不法操業・EEZ侵犯の方が問題だろうに・・・ちゃんと強硬に対応するのかな?もしこの件で軍事的な対応も含むだろうと思って農相を石破にしたのなら、慧眼と言ってもいいですけど。



http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20081108AT1G0601S07112008.html
韓国船の密漁横行 山陰沖、漁具回収が急増


 カニなどの好漁場として知られる日本海山陰沖の排他的経済水域(EEZ)内で、韓国漁船が仕掛けた刺し網などの漁具が多数見つかっている。密漁が横行していることを示すもので、昨年は640トンの漁具が回収された。水産資源の減少を懸念する水産庁は、ズワイガニ漁が解禁された今月6日から取り締まりを強化したが、監視には限界があり、有効な防止策は見つかっていない。


 今年7月、但馬漁業協同組合津居山支所(兵庫県豊岡市)の漁船が、日本のEEZ内で韓国製の刺し網を回収し漁港に持ち帰った。網にかかった数百匹のズワイガニは死骸となって腐り、足が折れて売り物にならない無残な姿になった。(07:00)



http://www.nnn.co.jp/news/081024/20081024003.html
韓国漁船の違法漁具 「基金で回収理不尽」


 日韓暫定水域で韓国漁船が漁場を独占している問題で、山陰沖の漁業者団体と地元選出の国会議員による懇談会が二十三日、東京都内で開かれ、漁業者側が二〇〇九年度に底をつく支援基金の継続を要請。韓国漁船の違法設置漁具の回収に基金が投入されている「理不尽」な実態を踏まえ、実効性のある日韓漁業交渉を求めた。石破茂農相(鳥取1区)は交渉の手法を見直す考えを示した。

 支援基金は一九九九年一月の新日韓漁業協定発効に伴って影響を受ける漁業者の経営安定を目的にした激変緩和措置で、国が二百五十億円を助成。漁業共済掛け金や減船休漁への補助のほか、日本の排他的経済水域(EEZ)で押収した韓国漁船の違法漁具の回収にも充てられ、二〇〇七年度末の残高は約五十億円。


 懇談会に出席した鳥取、島根、兵庫各県の漁業者団体代表や知事は協定発効で設置された暫定水域の漁場を韓国漁船が独占し、さらに日本EEZで違法操業を繰り返す実態を説明。鳥取県漁協の伊藤美都夫組合長は「違法漁具の保管、運搬には費用が伴う。なぜ日本でやらなければいけないのか」と支援基金を使った理不尽な現状への思いを吐露した。


 これに対して青木幹雄参院議員(島根県選挙区)は「相手(韓国)が投げ捨てた網を日本の基金でまかなうのはおかしな話だ」、谷公一衆院議員(兵庫5区)は「政府の取り組みに成果が上がらなければ、新しい手法を考えなければいけない」と答え、進展が見えない日韓漁業交渉に実効性を求める意見が噴出。


 支援基金で違法漁具を処理している実態について、石破農相は「向こう(韓国)に送り返すなりの話を詰める」と語り、外務省と連携した新たな日韓交渉の枠組みを検討する意向を示した。


 三県が提出した要望書によると、〇八年度上半期に回収した韓国漁船の違法漁具はバイかご、底刺し網など五百十八トン。解決をめぐって「竹島の領土権確立を目指すしかない」と根因を指摘する声も上がった。



koume

 農業系のエントリを書いていていつも思ってるんですが、農業従事者のことを指す言葉に「農家」と書いてしまうのは、よくやりますが、なんか正しいとは思えません。単なる個人のことを指すのに「家」って。
 いや、武道家とか書道家とか言うんですが、そんな高尚なもんでもないと思うし、アートではなくて単なる職業人ですし。営業マンを営業家とは言わんでしょう。


 で、最近は百姓と書くことが多いですが、自分や農業関係者が使うのはともかくもし他業種の人から百姓と言われたらあんまりいい気分はしません(医師を医者と呼ぶようなものですね)。


 農業従事者というのは長いし、農業人とか言うのも一般的ではないし、うーん、そもそもそれに適した言葉はもともと無いのでしょうか?やっぱり農家になるのかなあ。


koume