製鉄天使/桜庭一樹
「時なんて、越えるぜ。だって、あたしら、えいえんなんだ」
小豆っ子の後をついて、天使チャンの仲間となり、ひと時、ともにぱらりらぱらりらと4649号線を爆走していただければ、幸いです。
と桜庭さんがおっしゃっているように
ぱらりらぱらりら小説です
桜庭一樹の描く少女の気持ち
大人になると臭い…という表現があったり
ある限られた期間へのオマージュ 郷愁の念
「赤朽葉家の伝説」がとてもよかったと記憶しているのだけど
なぜか長らく積読本だった「製鉄天使」
本はさ、タイミングってあるよね
少女の気持ちを思い出したい人と
現在少女の人には楽しめるかな
ファンタジーなのでツッコミどころ満載ですよ
マジかよ!意味わかんねーと一人ツッコミつつ
程よく世界に浸りつつ、でもちょっと長くね?
語り部部分要らなくね?
と思ったのでした
主人公、赤緑豆小豆(あかみどりまめあずき)
名前からしてもう何じゃそりゃの少女
赤朽葉家の毛毬の話の派生物語
赤緑豆製鉄のバカお嬢、鏖(鹿に金と書いてみなごろし)などという物騒な漢字を彫り込んだランドセル背負った小6終わりから
高校二年17才までの、中国地方制覇のお話
硬派一徹、爆走愚連隊の製鉄天使
以下、ネタバレ含みます
だがこの時点ではまだ、彼女達には名前もなく、族でもなんでもなかった。ただ、走って、雄たけびを上げ、生きることへの疑問や怒りや悲しみや、さまざまな激情を、言葉になんかできやしないから、暴れるだけさと言いたげな、自然発生したちっこいメスガキ集団にすぎなかった・・・・。
(成績優秀、おとなしい好青年の兄との会話)
前略「・・・・いろいろ、あるだろ。世の中には。それでさ、いまこのときが永遠に続けばいいのに、時間が止まってしまえばいいのにって、思う。だって明日の朝が来てしまったら、奇跡のようなこの至福は朝の光とともに消えて、時が動き始め、そうしてまたたくまに過去になっていく・・・・」
「そいういことって、誰にでもあるだろ。例えば仲のいい友達とだべってるだけの、いつもとおんなじ時間、でもすごく楽しくって、いつになくふわふわしていて、ああこのままずっとここにいたいな、と思ったりさ。家族、でもいいよ。みんなでいつもの団欒をしてて、あぁ幸せだな、一人も欠けてほしくない、ずっとこの人たちといたい、なにもいらないし、分にあわない贅沢もしたくないし、望みはそれだけだ、と思える瞬間・・・・。だけども時間は容赦なく流れてくし、家族も、世の中も、一人欠け、また一人増え、自然に姿を変えているようで、そう変わらないようで、そうやって静かに続いていくんだ・・・・」
「そう?よかった。ぼくはね、小豆が言うえいえんの国っていうのは、ぼくが感じているそういう気持ちのことかなと思ったんだよ。その伝説の国は、きっと、どこ、じゃなくてさ、いつ、に存在するのさ。時間よ、止まれ、この人たちを愛してる、ってね」
(プロテストを目指すことに決め、一心に縄跳びをしているタケル)
タケルにはもう、エンジン音でどの女か聞き分けるなんて、子供の世界の芸当はできなくなっていた。
わかるから親友なんじゃねぇ。人と人なんてそうそうわかりあえるもんじゃねぇ。そんなの幻想だぜ。それぞれの孤独、絶望、光ってもんがある。
それでもこんなに、心配だから、親友なんだぜよ。
「生きてりゃ御の字よ。そうだろ、スミレ。生きて、大事なやつらと笑いあっていられたら、後はなんにもいらねぇんだぜ。人生なんて、所詮、そういうもんなんだぜ。そうだろ、スミレ」
この街でイチにーさんと出会い、せかい制覇の夢を与えられたあの春から、気づけば四年半もが経っていた。小豆は踊りながらしょっぱい涙を流した。時間が流れたことに。戦い続けて得たものもあったが、あのころは予想もしなかったほどたくさんの大事なものを、容赦なく失ってしまったことに。ずっと一緒だ、えいえんに変わらないと子供の心で信じたものが、手のひらからこぼれるつまんねぇ砂粒みたいに、どっかにどんどん消えちまったことに。・・・後略
(スミレの叔父と二人並んで縁側に腰掛けて)
「誰がどう言おうと、スミレを愛してたやつらの心の中で、あいつの姿はいつまでも変わることはないぜよ」
(いっしょに死なせてくだせぇと悲鳴じみた黄色い声を上げる天使どもに)
「いっしょに死ぬんじゃないやい」
「人と人ってえのはな。いっしょに生きるために出会うのヨォ」
東京創元社の、充実した、地図までついた親切な紹介ページ
桜庭さんが真っ赤な特攻服着てます
読む前に見つけたかったぜよ
なんだかんだ言って
桜庭一樹作品はほぼ読んでいる
大学生による桜庭さんへのインタビュー
いいなあ羨ましい








