ベロニカのオススメ洋書☆

ベロニカのオススメ洋書☆

洋書歴15年のベロニカが英語レベル別にお勧めの洋書を紹介します☆

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Conversations with God: An Uncommon Dialogue B.../Neale Donald Walsch
¥1,803
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辛い事が続いたり上手くいかない時、神様に文句を言いたくなること、ありませんか? この本は著者ニール・ドナルド・ウォルシュが自身の「上手くいかない人生」に嫌気がさし、真夜中、ノートに神様への恨み言を書き綴るところから始まります。なぜ自分の人生はこうなのか?どうしたら幸せになれるのか?一体自分が何をしたというのか?

そして驚いたことに、神様が返事をしたのです。



1995年に出版された本書は当時、アメリカで137週連続NYタイムズ・ベストセラーとなり、現在27か国語に翻訳されています。本書は実は『神との対話』シリーズの一冊目に過ぎず、6年以上にわたる著者と神との対話を克明に記した3部作となっています。文字通り世界中で読まれているこの本は、宗教とは無関係です。それどころか、キリスト教をはじめとする「宗教」そのものを否定しているともいえます。『神との対話』で鍵となるメッセージは、「我々は一つである」そして「我々は神である」ということです。この世のすべての魂は神が自らの素晴らしさを「体験」として知るために放ったエネルギーであり、それぞれが神の一部である私たちの人生の目的は、自分たちが本当は誰なのかを「思い出す」こと、なのです。これは、神とそれに従う人間、という構図を基本とした大多数の宗教を否定するものであり、何らかの宗教に属する方には受け入れがたいことかもしれません。ただ、本書はイエス・キリストなど歴史上、人々を導いてきた賢者たちを否定してはいません。むしろそのような人物の多くが、私たちの存在の「真実」を知り、伝えようとしていたメッセンジャーなのだと教えています。そして、そのメッセージを都合の良いように歪ませて作られたのが、世界中に紛争や確執を生み続けてきた宗教なのだと。

世の中の宗教の多くは、それぞれが祀り上げた神を信じなければ、そしてその神が作ったルールを守らなければ「天国」には行けない、という考えに基づいています。その宗教に属していなければ、どんなに善良な人間であっても「地獄行き」なのです。そこに言い知れない偽善と矛盾を感じていた私にとってこの本はまさに「腑に落ちる」答えを提示してくれるものでした。興味深いことに「対話」で語られる内容の中には、数年前から話題になっている「引き寄せの法則」を彷彿とさせる部分もあります。火付け役となった『The Secret』が出版されたのは2006年ですが、その11年前に書かれた本書が語る「引き寄せ」のメカニズムは説得力があるだけでなく、その法則の根底にある「魂の目的」を明らかにしているのです。


本書は邦訳も出版されていますが、「神」や「愛」という言葉をあまり口にすることがない日本人にとっては、邦訳版の文章はやや照れ臭く、共感し辛いものを感じてしまうかもしれません。また、原書は非常に分かり易く噛み砕いて書かれているのですが、完全に翻訳出来ないニュアンスもあるためか邦訳は逆に難しく感じる人もいるようです。英語レベルは初中級程度ですので、ぜひ原書でチャレンジしてください。著者自身も「対話」の中で問いかけているように、「これは本当に神との会話なのか、それとも著者の単なる空想の産物なのか?」と思う人も多いと思います。証拠など、どこにもないのです。『神との対話』が本当に私たちの魂の真実を語るものなのか、それを見極めるのは私たち自身に他なりません。


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I Know This Much Is True: A Novel/Wally Lamb
¥652
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難易度★★★★

1992年に発表した処女作「She`s come undone」で鮮烈なデビューを飾ったWally Lambが、ベストセラー作家としての地位を不動のものとしたのが本作「I know this much is true」(邦題:「この手のなかの真実」)です。

家族というものは、人を育て、支え、癒してくれるはずのものですが、時として私たちを最も苦しめる存在にもなり得ます。傷つき、同時に傷つけた側でもある主人公の心の軌跡を描いたこの作品の最大のテーマは「赦し」です。

物語は、統合失調症を患う双子の兄トーマスが図書館で自らの手首を切り落とすところから始まります。母の他界、一人娘の死、離婚・・・不幸な境遇の主人公ドミニクは、それでも兄を守れるのは自分だけと信じ、犯罪者病棟に入れられてしまったトーマスを救うために奔走します。そしてトーマスのために始めた精神分析医パテル医師との対話は「双子の片割れ」であるドミニクの過去に埋もれていた心の傷を少しずつ明らかにしてゆきます。

自分を苦しめた家族、そして何よりも家族を苦しめた自分を赦すことが出来ず、怒りと罪悪感の中に沈み込んでいく主人公はひたすらもがき、苦しみ、空回りします。作品の中で、インド系であるパテル医師のオフィスに飾られた破壊と創造の神、シヴァの像は主人公の心の旅路を象徴しています。怒り、悲しみ、罪の意識・・・そのすべてを解き放ち、ボロボロになりながらも前に歩き出したとき、彼の目の前にはどんな景色が広がっているのでしょうか。

あらすじを読む限りでは、あまりに不幸すぎる主人公の境遇に共感を覚えるのは難しいと思うかもしれません。でも私たちにとって一番近い存在である家族との関係や、ともに歩んできた歴史の中で、何らかの傷を抱えている人は少なくないはずです。そんな傷痕を見つめ直し、もつれてしまっていた心の糸をそっとほぐしてくれる・・・心に染み入る作品です。

決して難しい文章ではありませんがかなりの長編ですので、洋書を読みなれた人にお勧めします。著者のデビュー作である「She`s come undone」も素晴らしい作品で、本作よりも少し読みやすいのでオススメです!


She’s Come Undone (Oprah’s Book Club)/Wally Lamb

¥652
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私は都内の大学で国際交流の部署の職員をしています。今回の地震、そして原発事故で影響を受けたのは日本人だけではなく、日本への留学に夢を託していた留学生たちも同じです。 地震後、空港に大挙する外国人の姿がニュースで流れ、「外国人、逃げ足速いなー」と呆れたり、眉をひそめる方もいたと思います。ただ、海外メディアではかなり過熱報道がされており、CNNの報道ぶりなどを観ても日本中が瓦礫の山で、しかも放射能危険区域なのだと思ってしまっても無理はないのです。 SARSや、鳥インフルの時の日本人の過剰反応ぶりを考えれば、責められたものではありません。

すでに日本に住んでいる留学生の中には、東京は大丈夫だからと、本国の家族や出身大学の説得を懸命に試みたにも関わらず強制的に退去を命じられ、泣く泣く帰国していった留学生も大勢います。 この春に日本に来ることになっていた留学生たちは、地震が起きる直前までは荷造りをしたり日本に来る準備を着々と進めていました。 ずっと長い間、大好きな日本への留学を夢見てお金を貯め、日本語を一生懸命勉強して、やっと日本に向けて飛び立つ直前にこんな風になってしまって、絶対に諦めたくない、でも両親がもう許してくれない・・・ そんなメールが何通も届いています。 なんとか一刻も早く原発事故が収束に向かい、来月、無事に留学生たちの顔が見られますように・・・ それだけを祈っています。


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ジーザス・キャンプ ~アメリカを動かすキリスト教原理主義~ : 松嶋×町山 未公開映画を観るT.../出演者不明
¥2,940
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洋書を紹介するブログですが・・・今日はTSUTAYAで見つけたあるドキュメンタリー映画を紹介したいと思います。

キリスト教にはいろいろな宗派がありますが、その中でも時に原理主義として分類される「福音派」(Evangelical)という宗派があるのをご存知でしょうか。このドキュメンタリーは、アメリカ・ノースダコタ州でこの福音派のベッキー・フィッシャーという女性が開いている子供向けのサマーキャンプを記録した映画です。

映画に登場するのは、アメリカのどこにでもいるような普通の子供たちです。しかし教会で牧師の説教に涙を流し、トランス状態に陥る彼らの姿は衝撃的で恐ろしくもあります。「イスラム教では子供たちが信仰のために命をかけている。私の子供たちもそうであるべきだ。」とフィッシャーは言います。「神の軍隊」― 教会は信者たちをそう呼んでいます。聖戦という名のもとに殉教者として自爆テロを行う、そんなことが起こるのはイスラム圏だけだと思いがちですが、それは間違いなのかもしれません。この映画に映し出されている子供たちは、キリストのために殉教することも厭わない、そう語っているのですから・・・

信仰は多くの人々に救済をもたらします。しかし、自らの信仰がすべての真理であると主張する人間たちによって、どれだけの血が流されてきたのか・・・この子供たちがそれを理解する日は来るのでしょうか。

福音派はもともと、18世紀に英国で始まったプロテスタントの宗派であり、新興宗教ではありません。また、近年では福音派の中でもその考え方や方向性にもさまざまな議論があり、福音派のすべての教会や信者がこの映画で描かれているように過激で急進的ではないことも付け加えておきます。

この映画は2007年アカデミー賞の「最優秀ドキュメンタリー賞」にノミネートされています。映画の公開後、フィッシャーはキャンプ場の所有者から施設の提供を拒否され、翌年からサマーキャンプの実施を断念しましたが、彼女の教会である「Kids in Ministry」は現在も活動を続けています。



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World War Z: An Oral History of the Zombie War/Max Brooks
¥1,277
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難易度:★★★★★


この作品の著者Max Brooksは「The Zombie Survival Guide」(ゾンビ・サバイバルガイド)という、ゾンビからいかに身を守って生き残るかをバカバカしいほど真面目に説明した、ユーモアたっぷりなガイドブックの作者として有名です。しかし本作は極めてシリアスで、かつ現実味のある(?)ホラーなのです。作品は、人類を滅亡の淵に追い込んだゾンビ戦争(World War Z)が終結した12年後、生き残った人々の証言をあるジャーナリストが記録した「回顧録」であるという設定です。人間をゾンビ化してしまう謎のウィルスの発生から、地球規模の感染者蔓延、そして人類の生き残りをかけたゾンビ戦争の顛末が、生存者たちの証言を通して少しずつ明らかにされていきます。この作品が面白いのは、著者が「人間」というものに過度の期待をするわけでもなく、同時に失望することもなく、ありのままの姿を冷静に、淡々と描き出しているところです。中国の小さな村で最初のケースに遭遇した村医者、感染者蔓延のパニックに乗じて「ワクチン」で一儲けした男、避難した北端の地で生き残るためにある選択を迫られた人々・・・ 日本人も登場します。盲目の被爆者であるにも関わらず生き残った老人や、引きこもりのオタク少年の話はスリリングで、「親日家か?」と思わせるほど丁寧に描かれています。怖さや薄気味悪さだけが強調されたありがちなホラーを読み飽きた人にも、ホラーに免疫がない人にもお勧めの作品です。

インタビュー形式の口語で書かれているためスラングが多く、軍隊用語なども多いため難易度はかなり高いですが、分からないところを読み飛ばしても十分楽しめます。



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