- I Know This Much Is True: A Novel/Wally Lamb
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難易度★★★★
1992年に発表した処女作「She`s come undone」で鮮烈なデビューを飾ったWally Lambが、ベストセラー作家としての地位を不動のものとしたのが本作「I know this much is true」(邦題:「この手のなかの真実」)です。
家族というものは、人を育て、支え、癒してくれるはずのものですが、時として私たちを最も苦しめる存在にもなり得ます。傷つき、同時に傷つけた側でもある主人公の心の軌跡を描いたこの作品の最大のテーマは「赦し」です。
物語は、統合失調症を患う双子の兄トーマスが図書館で自らの手首を切り落とすところから始まります。母の他界、一人娘の死、離婚・・・不幸な境遇の主人公ドミニクは、それでも兄を守れるのは自分だけと信じ、犯罪者病棟に入れられてしまったトーマスを救うために奔走します。そしてトーマスのために始めた精神分析医パテル医師との対話は「双子の片割れ」であるドミニクの過去に埋もれていた心の傷を少しずつ明らかにしてゆきます。
自分を苦しめた家族、そして何よりも家族を苦しめた自分を赦すことが出来ず、怒りと罪悪感の中に沈み込んでいく主人公はひたすらもがき、苦しみ、空回りします。作品の中で、インド系であるパテル医師のオフィスに飾られた破壊と創造の神、シヴァの像は主人公の心の旅路を象徴しています。怒り、悲しみ、罪の意識・・・そのすべてを解き放ち、ボロボロになりながらも前に歩き出したとき、彼の目の前にはどんな景色が広がっているのでしょうか。
あらすじを読む限りでは、あまりに不幸すぎる主人公の境遇に共感を覚えるのは難しいと思うかもしれません。でも私たちにとって一番近い存在である家族との関係や、ともに歩んできた歴史の中で、何らかの傷を抱えている人は少なくないはずです。そんな傷痕を見つめ直し、もつれてしまっていた心の糸をそっとほぐしてくれる・・・心に染み入る作品です。
決して難しい文章ではありませんがかなりの長編ですので、洋書を読みなれた人にお勧めします。著者のデビュー作である「She`s come undone」も素晴らしい作品で、本作よりも少し読みやすいのでオススメです!
She’s Come Undone (Oprah’s Book Club)/Wally Lamb
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