フィギュアスケートの技術についての記事を書くときは、
フィギュアスケートの解説書を読んだり、
ISUのルールに関する書類を読んだり、
色々な選手の演技をコマ送りで見たりして、
自分なりに、調べてから書いております。
……が、
最近、とても気になっていることがあるのです。
それは……
日本スケート連盟の技術解説の図解や、
日本で出版されている、フィギュアスケートの解説本に載っている、
ジャンプの図解(説明)が、全て「Cheat Jump」のものらしい……
……ということです。
つまり、日本のフィギュアスケート界では、
「Cheat Jump」が「正しい」もの、「良い」ものとしてまかりとおっている、
……という可能性があるということです。
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<Cheat Jumpとは>
「Cheat Jump」とは、
体をひねりながら離氷し、
トゥから降りてきて、ブレードをまわしながら着氷する、
構造上、回転不足なジャンプのことです。
離氷する前、つまり、氷に足がついている状態から、回転をはじめ、
トゥ(靴)が氷に接してから、膝や足首を回転させて着地するため、
少なくとも1/2~多い場合は1回転近く、
「回転数を誤魔化している」イコール「Cheat」なジャンプです。
本来なら、
回転不足、「underrotation」または「down grade」判定の対象にしなければならない
「悪質」な技術だと思うのですが、
実は、世界には、この「Cheat Jump」を使うスケーターがけっこう多いのです。
このジャンプが、どういう風に「悪質」かというと、
競技会においては、「正確」なジャンプ(こちらは「Delayed Jumps」と呼ばれます)を
使う選手のほうが、順位や採点において低く評価されてしまったり、
「Cheat Jump」を使う選手たちは、
足首や膝や股関節に大怪我をしたり、足の骨がねじれてきたり、
末期には、上半身と下半身がねじれてきたり……という恐ろしい副作用があります。
<Cheat Jumpを使うスケーターたち>
日本:
高橋大輔/羽生結弦
浅田真央/村上佳菜子/鈴木明子/宮原知子/安藤美姫
四大陸系:
デニス・テン(カザフスタン)
キム・ヨナ(韓国)/李子君(中国)
欧州系:
ハビエル・フェルナンデス(スペイン)/フローラン・アモディオ(フランス)
ブライアン・ジュベール(フランス)/ステファン・ランビエール(スイス)
ラウラ・レピスト(フィンランド)/サラ・マイアー(スイス)
USA:
アダム・リッポン/ジェレミー・アボット/エヴァン・ライサチェク
長洲未来/アリッサ・シズニー
カナダ:
ショーン・ソーヤー/シンシア・ファヌフ
ロシア:
エフゲニー・プルシェンコ/エリザベータ・トゥクタミシェワ
ユリア・リプニツカヤ/(アデリーナ・ソトニコワ)
Cheat Jumpの「Cheat」度合いはさまざまで、
全種類「Cheat Jump」という選手もいれば(これが一番多いですが)、
「Cheat Jump」というより「Strange Jump」とでも言いたいランビエールのような人もいて、
プルシェンコやトゥクタミシェワ、ソトニコワのように、
最初はどっちかというと「Delayed Jump」を跳んでいたけど、
だんだん「Cheat Jump」化していっているという選手もいます(浅田真央もこのタイプ)。
シズニーやアボット、ライサチェクあたりは、
「Cheat Jump」というよりは、「Delayed Jump」の回転不足ジャンプのような選手もいます。
素人目には上記の選手たちのジャンプは回転不足をとるべき「Cheat Jump」に見えますが、
日本人選手と、フランク・キャロル氏の弟子とブライアン・オーサー氏の弟子のジャンプは、
ほとんど回転不足の判定を受けないのが不思議です。
何か特別な秘密があるのでしょうか……。
<Cheat Jumpの見分け方>
Cheat Jumpの見分け方、は、
ある意味とても簡単です。
フィギュアスケートをテレビで観戦する場合、
民放だったら、
八木沼純子・荒川静香・本田武史・佐野稔ら、
CS系(J-Sports)だったら、
杉田秀男ら
フィギュアスケート業界から呼ばれた解説者が、
「素晴らしいですね!」あるいは「綺麗でしたね~」
……と絶賛するジャンプは、9分9厘、「Cheat Jump」です*。
*もしくは「Delayed Jump」の失敗ジャンプ(質のあまりよくないジャンプ)
ただし、
樋口豊だけは
「あがってから回る」ジャンプ(Delayed Jump)と
そうでないジャンプ(Cheat Jump)があることを知っていて、
それをそこそこ見分けているようです。
<Double-foot Salchow>
最後に、
最近とても気になっている「Double-foot Salchow」について。
左足のインサイドエッジに乗って踏切る「サルコウジャンプ(Salchow Jump)」
ですが、
よく見ていると、踏み切りの際「両足で跳びあがってないか?」 、という、
「Double-foot Salchow(両足サルコウ)」とでも呼びたいジャンプを使う選手がいます。
ハビエル・フェルナンデスのサルコウがその代表で、
羽生結弦やブライアン・ジュベールなどのもそう見えます。
あれ、反則ではないのでしょうか???
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PS:
今週末から、いよいよGPシリーズが開幕します。
荒川静香さん、
もし今期解説をする場合は、
数字の読み方をちゃんと勉強してきてくださるでしょうか。
基礎点「10.10」を「じゅってん、じゅう」と読んだのを聞いたときは衝撃でした。