伝えておきたいこと
いつ話せなくなるかわからない。早いかもしれないけど、ここに残しておくね、菜美。菜美、退院してから毎日毎日訪問診療、看護、ケアマネ、薬剤師…いろんな人が家に来て、お茶を出してくれたり話を聞いてくれたり、対応ありがとう。といちゃんのこと。本人がいろんな人が来て疲れちゃってるんだから、人嫌いな菜美はもっと疲れているよね。住所変更の手続きもありがとう。一つひとつやらなきゃいけないことが片付いてきて安心してるよ。コーにもありがとうだね。こんなふうになった義姉を引き取ってくれるんだから。それに引っ越しの荷物の運び出し、マンションの引き渡し…嫌がりもしないで、ね。あのね、もしといちゃんが話せない状態になってから、菜美が『これで良かったのかな?』なんて思うことがあったとしたら、やめてね。退院してから、こんなにゆったり過ごせたのは、菜美やコーのおかげだよね。感謝してます。病気がわかってから、菜美は十分やってくれたよ。ありがとう。これからは、自分やコーが健康で暮らしていくためのことを考えて欲しいんだ。今の2人の食生活はすごく心配してます。コンビニ弁当、スーパーの惣菜、ジャンクフード…といちゃんと、すごく似ているよ。でもね、同じじゃダメ。菜美は一人じゃないんだよ、コーがいるんだよ。どちらか病気になった時、後悔しないかい?菜美さ、といちゃんが病気になった時、癌に効く食べ物とかジュースとか、本買ったりしたよね⁉︎そして作ったりしたよね⁉︎でも、といちゃんには何の意味もなかったよね。日頃からできること、頑張ってやって欲しいと思う。菜美は、できるよ。自分も、コーも大事にしてよ。菜美、今までいろんなことがあったね。ひどく長くケンカした時期もあったのに、最期は菜美にこんな形でお世話になるなんてね。菜美に甘えっぱなしの人生だったかもね。といちゃんは本当にしあわせだよ。菜美がいてくれて良かった。これからは目には見えないだろうけど、そばでちゃんと見守っていくからね。ジャとインチのこと、よろしくお願いします。後悔のない人生でした。