いま
死にたくて
ものすごく
気持ちが悪くて
それでも
死ぬ勇気なんかなくて
すごく
情けなくて
言葉も
みつからない
赦すことが出来るか
悲劇を甘受出来れば
楽になれるだろう
しかし
どちらも終には自虐的でしかない
空が好き
太陽が好き
星が好き
アナタが好き
その好きに明確で明白な差が
みつからない
所詮
歩き続けるだけの我が身を
朽るに任せ
苦悩のうちに
あるべきなのか
人間とは
難しく
狂うに任せることが出来れば
幾漠かの救いもあろうか
携帯電話Ⅱ
久々に彼女からメールが来た。
「今度はいつ会える?」
最近は、いろいろと忙しくて会えずにいたので。やっとゆっくりと会えると思うと、心なしかホッとした。
人前で会ったときには視線も合わせてくれない彼女。
「金曜日に」
返信を送る。
彼女は同じサークルの先輩で今日が引退の日だった。他の先輩が涙を流すなか、ひとり少しだけ寂しそうな表情をしていた。
これからは、偶然に会う機会も減るんだと思うと、少しだけ寂しかった。
でも、もう、隠す必要も無いと思うと少し気が楽になった。
彼女とは、これからゆっくりと会える。
ふたりきりで会うと緊張してしまい。彼女と話すことも、彼女に触れることもできなかった。でも、彼女はいつもゆったりとした表情をしていた。僕に会うといつもより口数も少なく、ゆっくりと喋っていた。
違和感に、本当は気がついていたのかもしれない。
彼女か返信のないままに日が過ぎ、金曜になった。彼女からまだ連絡は無い。
確認のメールを送ってみる。
「今日うちに来る?」
すぐに返信が来た。携帯を開いてみると、そこにあった文字は
「宛先が見つかりません。宛先を確認してください」
不信に思い、再度送信をしてみた。
帰ってきたのは、同じ答え。
電話をかけてみる。
オカケニナッタバンゴウハゲンザイツカワレテオリマセン。ゴカクニンノウエオカケナオシクダサイ。
無感情なアナウンスが聞こえてくる。
いったい何が起こったのか。僕にはわからない。わかりたくない。
彼女は、僕に教え忘れたのだろうかと連絡を待ってみる。
ちっちっちっ
土曜日の午前零時になった。
あぁコレが答えなのだろうか。
彼女の答え。
携帯電話
あの人と会えるのは、週に1度。それも、あの人が気乗りしなければ流れてしまう。明確な約束をしているわけでもない。
電話はほとんど無い。無口な人だから。電話を通しての会話なんて成立しない。沈黙が全てを覆い、支配する。
メールも彼からは来ない。私から、会えるかどうかの質問を送るだけ。
普段、サークルの集まりで会っても。彼は挨拶すらしない。まるで、私がそこにいないかのように振舞う。雑談なんて、もってのほか。
このまま好きでいても、何にもならないなって気がついた。ただ私が彼を好きなだけ。彼は、私を拒むことすらめんどくさいのだろうか。
ふたりっきりで逢ったときにも、何を話すわけではない。sexすらするわけではない。
ただ、同じ空間にいるだけ。
今日は、私がサークルを引退する日。
これで、唯一の繋がりすらも無くなった。もう二度と偶然に顔を合わせることも、約束した以外の日に見かけることもなくなるだろう。
私と彼は学部も違い、生活範囲がキャンパスの端と端になる。彼は忙しくなるだろう。
あぁなんて虚しいんだろう。彼との間には何も残りはしないだろう。そのことだけが涙を誘う。
彼の声も顔も癖もひとつもはっきりと思い出せない。それは、本当に思い出せないんだろうか。知らないんだろうか。
彼への最後のメールの文面を考える。考えながら、思い出そうとする。最初に彼に会ったのはいつだったろう。最初に彼と交わした言葉はなんだったろう。最初は彼となにがしたかったのだろう。
ひとつも答えなど出なかった。総ては忘却されているようだ。
「今度はいつ会える?」
わかってる。もう、どうにもならないんだ。
いつもどおりの文面を送信し。返事は読みたくなかった。なんとなだけど、予想がついていた。
『ゴメン』などと返事が来た日には、耐えられそうもない。私のこういうときの予想や勘は良く当たるのだ。
彼と二度と連絡を取らないようにするには、電話を変えてみるしかないかなぁとふと思った。
彼のメアドと番号を消しても。自分のものを変えずにいたら、いつまでも未練たらしく待ってしまいそうだ。
本当は、大好きだった。
彼といろんな話をして笑いたかった。
彼といろんなところに行ってみたかった。
今となってはただの夢、希望語りでしかない。
一層身に染みてそう感じる。
大丈夫。今まで辛さには耐えてきた。
彼と会える会えないで一喜一憂し。サークルの他の仲間に気がつかせないように気を使い。
彼に話しかけたくても、いつも、いつだって、ふたりきりのときにだって我慢してた。
我慢する必要も無い。
死んだように光を映すことのないディスプレイをゆっくりと水につける。
あぁさようなら。
大好きでした。
二度と会うこともないのだろうけれど。
あぁありがとう。
さよなら。
囁きの先の無言
彼女がいなくなった。
別れたとかそういうことじゃなく。
彼女がこの街からいなくなった。
一月ほど前、彼女と最後に合った日の昼頃に。
彼女を駅で見たという話を人伝に聞いた。
それによると、彼女は長距離列車のチケット窓口に向かっていたらしい。
彼女が最後に部屋を出て行くときに。
部屋のドアの隙間越しに視線がぶつかった。
あの時、彼女の眸に浮かんだ色はなんだったんだろう。
戸惑いか。
躊躇いか。
悲しみか。
諦めか。
幸福か。
希望か。
俺には判別ができなかった。
それは、彼女をあまり見られなかった所為なのだろうか。
俺は、彼女を見ることができなかった。
正面から向き合うことを恐れていたのだ。
目は口ほどにものを言う。
もし、思いが彼女に対して溢れ出してしまったら、俺は俺でいられなかっただろう。
そんな陳腐な考えを持っている時点で、彼女と上手く行くわけがなかった。
彼女はいつも、俺とはあまり視線を合わせず。
名前を呼んでいた。囁くように。愛おしそうに。
でも、眠っているときの彼女は、俺の知らない名前を。
夢の中でなのか。
口からこぼれる名前のなかに、俺は寸分も出てきはしなかった。
閉じられた眸とココロ。
開かれた口からの言葉。
俺は怖かった。
いつか彼女が去るのなら。
伝えようが伝えまいが。
何も変わらないのだろうと。
今思うのは……。
無音の囁き
帰り着いた部屋は、ひっそりとしている。
まるで、静寂が住んでいるような、潜んでいるような部屋。
締め切ったカーテンを開けると。
さっきからじわじわと昇っていく太陽が見えた。
カラカラカラと窓を開けると。
なんだかカレがベランダに立ち、柵に寄りかかっているような錯覚に会う。
あぁ。カレは二度とココにはやって来ないのに。
今でも思い出に囚われているようだ。
私の部屋には、静寂と思い出が住んでいる。
カレは何も残さなかったのに。思い出だけは残っている。
皮肉なことだ。
カレの思い出が住んでいるこの部屋は、私を居心地よくしてくれる。
傍にカレを感じられるような気がして。
でも、同時にとても息苦しい。
思い出であふれかえったこの部屋では、息すら上手くできない。
今だって、振り返って部屋に入れば、ベッドでカレが眠っているような気がする。
そんなことは二度と起こりはしないのに。
荷物をまとめ。
要るものと、要らないものとに分ける。要るのは、ほんの少しのものだけ。
ほとんどのものは処分すればいい。
唯一、カレのくれたものが出てきた。
処分しなきゃいけないってことは、わかってる。
でも、処分したくない。
季節はずれのクリスマスツリー。
ケータイも解約しようかと思った。
新しいケータイを買えばいい。
カレからは二度と連絡はないんだし。
そのとき頭をよぎったのは、皮肉なことに彼のこと。
彼は私の家を知らないから。教える必要もなかったから。
そのままでいい。
ケータイが繋がらなくなったら。少しは驚くだろうか?
いや。そんなこともないだろう。
もともと、彼からの連絡もほとんどなかったし。
大丈夫。何も変わらない。
ただ、場所が変わるだけだ。
悲しみしかないこの部屋を出て。
何の感慨もないこの街を出る。
ただ、それだけ。
行き先は、どこにしようか?
どこにだって行けるし。どこに行ってもそれ自体は変わらない。
南にしようか?
南なら、ジリジリ射す陽射しで寂しくない。
寂しいのだけは嫌だ。
最後に、部屋を出るとき。
さっきの彼の顔をふっと思い出した。
自分の部屋を出るときに、思い出すのがカレではなく彼だなんて。
皮肉すぎて、笑えた。
ドアを閉じる瞬間。
私の部屋になんか居るはずのない彼の眸が見えたような気がした。
無音の囁き
「好きぃ」
私の小さな囁き。
無感情な彼の眸。
「なつきぃ。大好きだよ」
冷たいわけじゃない。なんだかとても無機質な眸。
「好きぃ」
伏せられた睫毛の間から覗く、黒に近いようなこげ茶色の眸。
「ねぇ。キスしていい?」
勝手にキスすることもはばかられる。
まるで、彫刻のような顔。ぱっと目を引く華やかさはないが、人の手によって整えられたような。
「・・・」
無機質な眸が一瞬だけ、こちらに投げかけられた。
あぁ。見て欲しいと思ったのに、その視線を感じてすら悲しくなる。
「ねぇ。なつきぃ。キスしていい?」
少しだけ頷く。
口唇を重ね。柔らかく、口唇を割る。
ゆっくりとしたキスをしようとしたら、急に激しいキスをされた。
いつも、能動的な彼らしくない。
動かない体。激しいキス。
震わされる心。閉じている眸。
暗い空。冷たい空気。
「帰るね」
「・・・」
「ばいばい」
閉じるドアの隙間。ふと、目が合った。この瞬間を忘れたくないと思った。
一人で歩く道。迷わない道。ゆっくりと歩く。
川沿いの細い道。橋を渡る。
風が吹いた。
心の中では、わかっている。
このままいても、なにも変わらない。なににもなれないし、ならない。
心の中にまで、風が吹き込んできたように感じる。
彼に会えば、触れたくなる。
でも、触れたって触れなくたって、わかってる。
そこには、その先には、なんにもないってこと。
少し昇ってきた太陽。
アレは希望の光なんかじゃない。
最後の悪あがきなのかもしれない。
無言の呟き
「大好きだよ」
そう、呟くように。
囁くように告げる。
ぎゅーっと抱きしめる。
「・・・・・・」
無言で微動だにしない彼。
ただじぃーっと見ているだけ。
表情すら微動だにしない。
彼が私を好きじゃないとしても。
無言で抱きしめることを避けない限り。
私は彼を好きでい続けるかもしれない。
嫌なら、嫌だって言ってほしい。
言ってもらわなきゃわからない。
わからないというより。
わかりたくない。
何がそうさせるのか。
それもわからない。
すべては無意味なのかもしれない。
彼の手が伸びてくる。
私に触れる。
ゆっくりと。
優しく。
その優しい触れ方に。
泣きたくなる。
べつに。
酷くしていい。
今まで、みんな酷いことしかしてくれなかったから。
そんなに優しくされると。
どうしていいのかわからない。
わからない。
私はおかしいのかもしれない。
ホントはただ。
ぎゅーっとしてほしい。
ただ抱きしめてもらえれば。
幸せ。
幸せは、抱きしめすぎて。
いつも潰れてしまう。
潰したくないから。
徒然なるママに
「じゃあね」
朝。
日光の中で発する言葉。
それは、吸い込まれる。
明るい朝日に吸い込まれ。
言葉は何処に消えるのか。
朝の空気は清々しい。
私の心とは裏腹に。
とらわれるのは、過去なのか。
それともはたまた・・・。
あの人に。
あの人だけに伝えたい。
気持ちと言葉。
それは、何処に行ったのか。
ぽっかり開いた心の口に。
詰め込む感情。
詰め込む言葉。
なかから腐って腐敗して。
密閉するには歪なモノたち。
WORD
言葉は傷つける。
言葉は癒す。
それを知ってて。
それを知らずに。
与える言葉がなくて。
言葉を知らずに。
言葉を遣う。
手に入れたいものは。
入らない。
渇いた心に。
染み入る言葉。
けれども、言葉は言葉でしかない。
それ以上でもそれ以下でもない。
飛びたい。
そう思うこともある。
でも、飛べない。
それはわかってる。
飛べる人を、羨ましく思う。
飛べる人。
飛べる人が、飛びたいのに飛べないでいるとき。
背中を押す。
飛んでいく。
それを、離れて見ている。
どんどん離れていく。
二度と触れることはできない。
寂しい。
寂しいけど嬉しい。
幸せならいい。
嬉しい。
でも、もう。
言葉すら届かない。
あぁ。
言葉は言葉でしかない。
風が吹く。
すべてが飛ばされた。
残ったものは。
大きな空虚。
音も光もにおいもない。
無感覚空間。
大いなる沈黙
彼はほとんど喋らない。
でも、私の質問には答えてくれる。
喋らないからこそ。
ひと言ひと言が重く感じられる。
私は人との距離の取り方が下手。
仲良くなった。なりたい。と思ったら。
濃密な。濃密な関係や時間を過ごす。
まるで双生児のように。
四六時中でも一緒にいて。
笑い合って。
話し合って。
一緒にいたい。
でも、それ以上にはなれないから。
いつでもそこで行き詰る。
どん詰まりの袋小路。
ループして。ループして。
結局変われない私と。
変わってしまう人たちと。
そのままでは一緒にはいられなくなる。
アドレナリンも。
エンドルフィンも。
アンフェタミンも。
そんうなったら意味がない。
意味なし。行き場なし。
目的地のない旅は続かない。
続けられない。
彼岸と此岸。
悲願と切願。
常世と刹那。
ふたつでひとつ。
ひとつでふたつ。
いつか。
いつか。いつか。
変わっても変わらないものを。
手に入れられなくても。
傍にあるものを。