20080906 日本経済新聞 地方経済面  東京都は個人住民税の滞納に対し、都が直接徴収する件数を二〇〇八年度は前年度の二倍に増やす。同時に区市町から受け入れる徴税業務の研修生も増やす。都税全体の徴収率は一九九〇年代半ばから上昇してきたが、〇七年度は九八%弱で頭打ち。区市町村への支援を強化し、個人住民税の徴収率をさらに高める考えだ。  地方税法では、原則として区市町村が住民税を徴収するが、合意に基づき都道府県が納税者から直接徴収できる。都は〇八年度に四十四区市町(十七区、二十五市、二町)から徴収困難な約五百件(約十二億円)の事案を引き継ぎ、滞納者の資産差し押さえなど滞納整理に乗り出す。〇七年度は二十区市町から百五十九件を引き継ぎ、うち百五十六件を処理した。  都の徴税業務を実際に体験する研修生の受け入れも増やす。今年度は立川市や武蔵野市などから九人(昨年度は六人)の研修生を受け入れる。  〇七年度に都が徴収した個人住民税は約七千七百八十億円。課税総額に対する徴収率は九四・七%と、〇六年度より一ポイント上昇した。しかし、全都道府県で二十二位と、〇六年度の十位から大幅に後退した。〇七年度の税制改正で「所得水準に応じた税率が簡素化されたため、低所得者の滞納が増えた」(都主税局)という。  都税全体の徴収率は九五年度の九〇・二%を底に上昇してきた。ただ、〇七年度の徴収率は九七・九%と、〇六年度比で上昇幅が〇・一ポイントにとどまるなど頭打ち傾向にある。
20080906 日本経済新聞 地方経済面  北関東の大学が地域住民の健康づくりに力を入れている。高齢者になってもマイカーを使う人が多いクルマ社会の北関東では体を動かす機会が少なくなりがちだ。適度な運動を通じて元気に過ごせるようにする介護予防には、膨らみ続ける医療費を抑制する狙いもある。大学の研究成果を取り入れ、楽しみながら続けられるような工夫を追求している。  前橋市中心街で活動するのは群馬大学の教員や学生で構成する「群大クラブ」。二〇〇八年春から六十歳以上を中心とした八地区の住民百五十六人を対象に、体力測定や食生活アンケートのほか、血糖値を調べるブドウ糖負荷試験や血液検査を実施した。今秋から一人ひとりに合った運動や筋力トレーニングなどのプログラムを始める。  「運動はしんどい、というイメージを打ち破らなければ続かない」とクラブ代表で教育学部の柳川益美教授は話す。運動の習慣がない市民がいきなり本格的なプログラムをこなすのはきつい。  そこで市中心部の名所を回る街歩きを取り入れ、「地域を見つめ直しながら楽しんで運動する」。毎日の運動や体重、食事内容を記録帳に書き込んでもらうことで、長続きしやすくした。  郊外へにぎわいが流出した前橋市では中心街の高齢化率は三割超。独り暮らしも多く、地域で助け合う人間関係は薄れがちだ。クラブの事業に協力する前橋商工会議所は「健康づくりがお年寄りのコミュニティー形成につながれば」(商工観光課)と期待する。  これまでの介護予防は自治体や保健センターなどが開く体操や講習会などがほとんどだった。しかし参加者を継続して集めるのが難しく目立った効果が出なかった。大学が中心となってメニューを組み立てることで、健康にかかわるさまざまな分野の蓄積を取り入れることができる。  宇都宮大学では栃木県矢板市と連携して介護予防の人材育成事業「やいたスポーツカレッジ」を手掛けている。〇六年度以降、すでに百七十人以上の認定者がおり、年齢は五十、六十歳代が中心。地域の健康づくりの指導者となって公民館などで活動している。  カレッジでは宇都宮大の教授らが年間十回程度の講座を開き、腰やひざなど身体の知識や栄養学、スポーツ心理学まで伝授する。中身の濃さに加えて「自治体だけでやるより宇都宮大の知名度で参加者が集まった」(同市生涯学習課)という効果もあるようだ。  ビジネスとして介護予防に取り組むのが筑波大学発ベンチャーのつくばウエルネスリサーチ(茨城県つくば市、久野譜也社長)。ゴムチューブによる腕のストレッチやイスを使った立ち座りなど、専用器具を必要としないで少人数でできる運動プログラムを作成する。料金はコンサルタント料なども含め数百万円程度で、茨城県牛久市や千葉県流山市など三十以上の自治体・団体に提供している。  ただ大学や自治体ばかりが旗を振っても、参加者の意欲が高まらなければ成果は出ない。費用負担も課題となる。群大クラブの場合、いまは文部科学省から補助金が出ており参加は無料だが「将来は自己負担も必要になりそう」(柳川教授)。介護予防が定着するには地域住民主導で取り組むような仕組みづくりが欠かせない。  介護予防が広がってきた背景にあるのが医療費増大への危機感だ。北関東三県の医療費は一九九六年度から二〇〇五年度までの九年間で、群馬県一五%、栃木県一八%、茨城県二三%とそれぞれ増えた。  将来推計を出している栃木では、一五年度に〇五年度より四三%増えて六千七百五十億円まで膨れ上がる見通しだ。「介護・医療制度の抜本改革がなければ毎年二・五%増加していく」(栃木県保健福祉課)という。  国民医療費は患者負担のほか事業主などが払う保険料や公費を財源とする。高齢化が進んで今後も医療費の増大は避けられない。〇六年に改正介護保険法が施行されて介護予防に力点が置かれたことも、各地の取り組みを加速させた。国民負担が過大になるのを避けるためにも、運動や食事の改善を通じて地域全体で生活習慣病を予防することが重要になっている。(前橋支局 栗原健太) 【図・写真】運動は地域のふれあいの場ともなる(群大クラブのトレーニング風景)
20080906 日本経済新聞 地方経済面

 介護予防が広がってきた背景にあるのが医療費増大への危機感だ。北関東三県の医療費は一九九六年度から二〇〇五年度までの九年間で、群馬県一五%、栃木県一八%、茨城県二三%とそれぞれ増えた。
 将来推計を出している栃木では、一五年度に〇五年度より四三%増えて六千七百五十億円まで膨れ上がる見通しだ。「介護・医療制度の抜本改革がなければ毎年二・五%増加していく」(栃木県保健福祉課)という。
 国民医療費は患者負担のほか事業主などが払う保険料や公費を財源とする。高齢化が進んで今後も医療費の増大は避けられない。〇六年に改正介護保険法が施行されて介護予防に力点が置かれたことも、各地の取り組みを加速させた。国民負担が過大になるのを避けるためにも、運動や食事の改善を通じて地域全体で生活習慣病を予防することが重要になっている。(前橋支局 栗原健太)

20080905 日本経済新聞 朝刊

 生保各社が保険商品をわかりやすく見直す動きが広がってきた。日本生命保険は十月、死亡保険などの主契約に上乗せして加入する医療特約を現在の六種類から一種類にまとめる。太陽生命保険は同月から特約を実質的に全廃する。保険金の支払い漏れが多かった「通院特約」を廃止する会社も目立つ。商品の簡素化により不払い問題の再発を防ぐ狙いだ。
 国内大手生保は主契約の死亡保険に、入院費や通院費をまかなう「特約」が付いた商品を主に販売してきた。特約数は十―二十になることも珍しくなく、加入者が特約の保険金請求を忘れる事態が相次いだ。不払いの再発防止策として、増えすぎた特約の絞り込みが課題。特約削減はすべてが保険料の引き下げに直結するわけではないが、契約者利便を高める一定の効果がありそうだ。
 日生は入院、短期入院、通院など六種類の医療特約を一つにまとめる。新規加入だけでなく、既存の医療特約から切り替えることも可能だ。
 太陽生命は十月から「入院」や「手術」といった特約をなくし、それぞれ単品の商品として加入できるようにする。現在は五十九ある商品を二十四に減らす。「商品簡素化で不払い問題を二度と起こさないようにする」(田中勝英専務)。
 各社が相次いで廃止しているのが通院日数に応じて保険金を受け取れる「通院特約」。加入者が請求を漏らしやすいためで、金融庁の調査では全体の一五%で請求漏れが起きていた。第一生命保険や大同生命保険は二〇〇七年に販売を停止。三井生命保険も停止を検討している。日生も通院特約を廃止し、新しい医療特約では入院した人にはすべて通院費相当額を払うようにする。
 夫の契約に付けることで妻や子供も保障する「家族特約」の廃止も目立つ。保険会社が保障対象者を把握しづらく、支払い漏れが起こりやすいという問題があるためだ。富国生命保険は八月から一部の家族特約の販売を停止した。明治安田生命保険、大同生命、朝日生命保険もすでに販売を停止している。
 医療特約の内容をわかりやすく見直す会社もある。日生は約款上の八十八種類の手術を保障対象としてきたが、十月からは公的医療保険が対象とする一千種類以上の手術に給付金を払う。新たに「切れ痔(じ)」などが加わる。大同生命は八月、手術の種類によって入院給付金日額の五―五十倍の給付金を払っていたのを改め、入院を伴う手術は二十倍、それ以外は五倍を払うようにした。
 商品の簡素化で保険会社が得る保険料は減る可能性もあるが、不払いの再発防止を優先し、顧客の信頼回復に努める。複雑な商品を維持するシステムの費用を削減できる利点もあるという。





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20080905 日本経済新聞 朝刊

 東京海上日動火災保険など損害保険大手六社が四日発表した二〇〇八年八月の営業成績によると、六社合計の保険料収入は前年同月比四・三%減の四千五百七十七億円だった。料率が低下した自動車損害賠償責任保険の保険料収入が各社で三割程度落ち込んだ。全体の保険料収入は六社とも前年実績を下回った。
 六社合計の自動車保険の保険料収入は一・七%減の二千二百十五億円。八月は軽自動車を除く単月の新車販売台数が二十万台を割り込むなど「事業環境が厳しかった」(三井住友海上火災保険)。




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