1人あたりの砂糖の年間消費量はドイツで約33キログラム、オーストリアで34キログラムにも及び、世界中にその国を代表するお菓子があるほど、甘味は人間が好きな感覚のようです。
今回紹介する研究では ブドウ糖とショ糖を使った二重盲検検査を実施。 18〜45歳の合計27人の健康な男性が、10%のブドウ糖溶液、10%のショ糖溶液、または60ppmのラクチゾール( ラクチゾールは甘味の知覚を低下させる物質) を添加したブドウ糖・ショ糖溶液(どのカロリーも同じ)のいずれかを飲んでもらい、その2時間後に被験者は好きなだけ朝食をとることができました。溶液を飲んでから2時間の待機時間内に被験者の血液サンプルを2回採取し、体温を測定しました。
ラクチゾール含有ショ糖溶液の摂取後、試験者は、ラクチゾールなしのショ糖溶液を飲んだ後よりも、朝食からのエネルギー摂取量が約13パーセント増加し、約100キロカロリー多く食べたことになりました。さらに、このグループの被験者は、体温の低下と血漿セロトニン(セロトニンは食欲抑制効果のある神経伝達物質)濃度の低下を示しました。
この結果について、甘い味覚は、エネルギー摂取量に関係なく満腹感とエネルギー摂取量を調節することを示唆していると研究者は述べています。
 
【出典】 Kerstin Schweiger, Verena Grüneis, Julia Treml, Claudia Galassi, Corinna M. Karl, Jakob P. Ley, Gerhard E. Krammer, Barbara Lieder, Veronika Somoza. Sweet Taste Antagonist Lactisole Administered in Combination with Sucrose, But Not Glucose, Increases Energy Intake and Decreases Peripheral Serotonin in Male Subjects. Nutrients, 2020; 12 (10): 3133 DOI: 10.3390/nu12103133

11月17日朝刊の読売新聞に、9月に実施された高校生向け医療オンラインセミナーのようすが掲載されました。私が勤務する東京医科歯科大学では、附属病院のコロナ対応医療に関する講演を行いました。オンラインということで、リアルに高校生たちに会うことができませんでしたが、海外在住の高校生の参加に感動したり、たくさんの鋭い視点の質問に答えることができ、「医療関係者になりたい!」と思う高校生に対して参考になる情報が提供できたのではないかと考えています。とてもいい企画でしたし、長いコロナ対応医療の中で、現場の医療者たちも若者たちから刺激とエネルギーをもらうことができました。ぜひ読売新聞の記事をご覧ください。

 

血糖値が高めの糖尿病予備軍の人が体重を2~3㎏の減らし、それを維持すると、糖尿病を発症するリスクを約50%も低下させることができることが明らかになりました。この研究は、英国イーストアングリア大学が、平均65歳の男女約1000人を対象に行ったもので、その結果は、2020年11月2日発行のオンライン版『JAMA Internal Medicine』で発表されました。

 

【出典】 Michael Sampson, Allan Clark, Max Bachmann, Nikki Garner, Lisa Irvine, Amanda Howe, Colin Greaves, Sara Auckland, Jane Smith, Jeremy Turner, Dave Rea, Gerry Rayman, Ketan Dhatariya, W. Garry John, Garry Barton, Rebecca Usher, Clare Ferns, Melanie Pascale. Lifestyle Intervention With or Without Lay Volunteers to Prevent Type 2 Diabetes in People With Impaired Fasting Glucose and/or Nondiabetic Hyperglycemia. JAMA Internal Medicine, 2020; DOI: 10.1001/jamainternmed.2020.5938

 

 

この一週間、コロナ患者が全国で増え続け、有識者も「第三波」とコメントしたこともあり、勤務する病院には取材依頼が殺到しています。広報的にはありがたいことですが、8月、9月、10月と、私たちの医療現場では常に一定数のコロナ陽性患者さんがおり、粛々と治療を続けていましたので、休みなくコロナ医療を継続している状態です。その間に、取材を希望するメディアはありませんでした。定期的に医療現場の実情を取り上げてくれていれば…と思いますが、今以上に患者さんが増えないように、医療現場の様子を伝え続けていただけるといいな…と感じます。私は撮影に忙しいですが…頑丈なので続く限り医療現場を伝え続けます!

【胃がん、食道がん、咽頭がんを早期発見するための内視鏡検査および内視鏡検査時の感染対策について】
 
東京医科歯科大学医学部附属病院医療診断部副部長で
消化管外科講師の川田研郎(カワダ ケンロウ)先生らが取り組んだ
胃がん、食道がん、咽頭がんを早期発見するための内視鏡検査についての研究成果が、
国際科学誌 Annals of Internal Medicine に、2020年10月19日午後5時(米国東部夏時間)にオンライン版で発表されました。
医学部附属病院光学医療診断部では、
この研究成果で従来法よりも 胃、食道、咽頭などの腫瘍性病変を
早期に発見することができる 新規画像強調機能 Linked Color Imaging(LCI)を用いた内視鏡検査を受けることが可能です。
 
これについて川田講師が動画でわかりやすく説明していますので、ぜひご覧ください。
また内視鏡検査を受ける際の感染対策についても川田講師が説明しております。

クルミの健康効果については、古くから滋養強壮や血行促進などの目的で漢方にも用いられているように、貧血予防、便秘予防、血管機能改善、精神の安定などさまざまな研究報告があります。

 

2020年1月に『The American Journal of Clinical Nutrition』で紹介された米国ロマリンダ大学などの共同研究では、634人の被験者に2年間、毎日30~60gのクルミを摂取したグループと摂取しないグループに分けて比較した結果、クルミを含む食事をした人は、比較対象となった炎症性バイオマーカーの10種類中のうち6種類で、体内の炎症レベルが大幅に低下したことがわかりました。

 

この結果について一部の研究者は、クルミの長期摂取の抗炎症効果は、心臓病リスクの低下に大きく貢献している可能性があると述べています。クルミ30gの目安は殻を取って10~12個分ですが、カロリーは200~250キロカロリー程度ありますので、クルミはかなり高カロリーであることを忘れずに。

 

【出典】 Aleix Sala-Vila, Cinta Valls-Pedret, Sujatha Rajaram, Nina Coll-Padrós, Montserrat Cofán, Mercè Serra-Mir, Ana M Pérez-Heras, Irene Roth, Tania M Freitas-Simoes, Mónica Doménech, Carlos Calvo, Anna López-Illamola, Edward Bitok, Natalie K Buxton, Lynnley Huey, Adam Arechiga, Keiji Oda, Grace J Lee, Dolores Corella, Lídia Vaqué-Alcázar, Roser Sala-Llonch, David Bartrés-Faz, Joan Sabaté, Emilio Ros. Effect of a 2-year diet intervention with walnuts on cognitive decline. The Walnuts And Healthy Aging (WAHA) study: a randomized controlled trial. The American Journal of Clinical Nutrition, 2020; DOI: 10.1093/ajcn/nqz328

11月14日は「世界糖尿病デー」です。

これを記念して、誰でも予約や事前登録なしで視聴できる

YouTubeを活用したウェブセミナーが開催されます。

テーマは、今とても気になる糖尿病と新型コロナウイルス感染症との関係についてです。

私も視聴してみようと思います!

 

日時 : 2020年11月14日(土) 第一回:13:00~14:00 / 第二回:18:00~19:00

対象:  糖尿病患者さんやご家族の方、どなたでもご参加いただけます

プログラム:  今、糖尿病とともに生きる私たち 
                   ~新型コロナウイルス感染症に負けない毎日を過ごすために~

演者:  日本糖尿病協会 理事 / 神奈川県糖尿病協会 会長 津村 和大 先生

 

<YouTubeライブ配信はこちらから>

https://youtu.be/gGq0gLu2zG8

 

※ 事前の申し込みは不要です                    

※ YouTube Liveを用いたオンラインイベントです

※ 事前に皆さんから質問を受け付けます

 

 

 

赤味肉、加工肉、生成した穀物、砂糖入り飲料などを控えて、緑黄色野菜、全粒粉、果物、お茶、コーヒー、ワインなどを中心にした食事にすれば心臓病を予防できることが米国ハーバード大学の研究で明らかになり、2020年11月の『Journal of the American College of Cardiology』に発表されました。

この研究は、過去に行われた合計21万人の食事と生活習慣のデータ、および健康データを基に分析したもの。食品の種類ごとに炎症を誘発するレベルの評価も行いました。その結果、炎症誘発レベルの高い赤味肉、加工肉、生成した穀物、砂糖入り飲料などを多く摂取したグループは、緑黄色野菜、全粒粉、果物、お茶、コーヒー、ワインなどの炎症誘発レベルが低い食品を多く摂取したグループと比較して、心臓病の発症リスクが48%も高く、脳卒中のリスクも28%も高いことが明らかになりました。

 

研究者は、炎症を起こさないように働く抗酸化、抗炎症作用の高い食品の例として、 緑の葉野菜(ケール、ほうれん草、キャベツ、ルッコラ)、黄色野菜(カボチャ、黄ピーマン、豆、ニンジン)、全粒穀物、コーヒー、お茶、ワインを上げており、精製された砂糖、生成された穀物、揚げ物、砂糖入り飲料、加工された赤肉や赤味肉、内臓肉を消費を制限することを提案しました。

 

【出典】 Jun Li, Dong Hoon Lee, Jie Hu, Fred K. Tabung, Yanping Li, Shilpa N. Bhupathiraju, Eric B. Rimm, Kathryn M. Rexrode, JoAnn E. Manson, Walter C. Willett, Edward L. Giovannucci, Frank B. Hu. Dietary Inflammatory Potential and Risk of Cardiovascular Disease Among Men and Women in the U.S.. Journal of the American College of Cardiology, 2020; 76 (19): 2181 DOI: 10.1016/j.jacc.2020.09.535 

 

 

 

セロトニンは俗に「幸福(幸せ)ホルモン」と呼ばれ、精神の安定を維持するために欠かせない神経伝達物質です。実はこのセロトニンが、人間の脳の発達にも欠かせない物質であることが、ドイツのマックスプランク研究所の研究で明らかになり、2020年10月の『Neuron』に掲載されました。 人類は進化の過程で特に脳の「新皮質」のサイズが増大し、これによって話し、夢を見て、考えることを可能にしました。ではどのようにして、人類は脳を大きく進化させたのでしょうか?
マックスプランク研究所の研究者たちは、満足感、自信、幸福感を仲介するために脳内で機能することが知られている神経伝達物質セロトニンに注目しました。ヒトやマウスの胚(発達中の受精卵)では、胎盤がセロトニンを生成し、セロトニンは血液循環を介して脳に到達しますが、発達中の脳におけるこの胎盤由来のセロトニンの機能は明らかになっていませんでした。 研究者らは、セロトニン受容体HTR2Aがヒトの胚では発現を確認できましたが、マウスの胚では発現していないことを発見しました。そこで研究者らはマウスの胚でHTR2A受容体の産生を誘導したところ、発達中の脳でより多くの基底前駆細胞の産生をもたらし、脳細胞の産生を増加させて、より大きな脳になることがわかりました。

この結果から、高度に発達した脳、特に人間の基底前駆細胞の成長因子としてのセロトニンの新しい役割が明らかになりました。一方で、セロトニンの異常なシグナル伝達とその受容体HTR2Aの発現や変異が、ダウン症、注意欠陥多動性障害、自閉症などのさまざまな神経発達障害および精神障害で観察されているため、研究者らは今回の研究成果を新しい治療手段の開発などに生かしたいと述べています。

 

【出典】 Lei Xing, Nereo Kalebic, Takashi Namba, Samir Vaid, Pauline Wimberger, Wieland B. Huttner. Serotonin Receptor 2A Activation Promotes Evolutionarily Relevant Basal Progenitor Proliferation in the Developing Neocortex. Neuron, 2020; DOI: 10.1016/j.neuron.2020.09.034

米国ノースウエスタン大学の研究で、ポジティブ思考で前向きな感情、熱中しやすく陽気な性格などが、高齢者の記憶力低下を防ぐことがわかり、2020年10月22日号の『Psychological Science』に掲載されました。

 

この研究は1995年~1996年、2004年から2006年、2013年から2014年の3つの期間に実施された調査に参加した米国在住の991人の中高年の調査結果を分析したもの。調査は年齢、性別、教育、うつ的傾向、否定的な感情、外向性、肯定的な感情などを分析するための質問に回答してもらい、さらに記憶力テストを実施しました。その結果、記憶が年齢とともに明らかに低下することがわかりました。しかしその中で、ポジティブ思考で外交的な性質の人はそのレベルが高いほど、年齢による記憶力の低下が急激ではなく、ポジティブな性格が記憶力の維持に関係していることが確認できたということです。

 

【出典】 Emily F. Hittner, Jacquelyn E. Stephens, Nicholas A. Turiano, Denis Gerstorf, Margie E. Lachman, Claudia M. Haase. Positive Affect Is Associated With Less Memory Decline: Evidence From a 9-Year Longitudinal Study. Psychological Science, 2020; 095679762095388 DOI: 10.1177/0956797620953883