犬が人間のストレスに敏感に反応することが明らかになりました。
犬は人間のストレスの臭いを嗅ぐことで、感情の伝染を受け、より「悲観的な」選択をすることが、イギリスのブリストル大学の研究で明らかになり、2024年7月の「Scientific Reports」誌で研究成果が紹介されました。
研究では、18組の犬と飼い主を対象に、人間のストレスの臭いが犬の学習と感情に与える影響をテストを行いました。
実験では、犬はおやつが入っている餌入れと空の餌入れの場所を学習し、その後、曖昧な位置にある新しい餌入れにどれだけ早く近づくかを観察しました。その結果、飼い主のストレスの臭いを嗅いだ犬は、新しい餌入れに近づく速度が遅くなり、より「悲観的」な反応を示しました。飼い主のリラックスした臭いを嗅いだ犬ではこの反応は見られませんでした。
この研究は、ストレスの臭いが犬の期待や感情状態に大きな影響を与えることを示唆しており、犬がエネルギーを節約し、失望を避けるための行動として説明されています。また、犬が訓練された餌入れの場所にある食べ物の有無について学習を続ける際、ストレスの臭いがあるとより速く改善することも発見されました。
この研究は、犬が人間の感情に非常に敏感であることを示し、ストレスが空気を通じて伝わる可能性も示しています。 さらに研究グループは、人間のストレスが犬の健康にどのように影響するかを理解することは重要であり、特に犬舎にいる犬や伴侶犬、介助犬の訓練を効率よく行うためにも重視する必要があると示唆しています。
【出典】 Z. Parr-Cortes, C. T. Müller, L. Talas, M. Mendl, C. Guest, N. J. Rooney. The odour of an unfamiliar stressed or relaxed person affects dogs’ responses to a cognitive bias test. Scientific Reports, 2024; 14 (1) DOI: 10.1038/s41598-024-66147-1