「えーっと」や「あのー」などの「言葉の迷い」が増えたら要注意? 話し方の変化が“認知症の初期サイン”になる可能性
「最近、“えーっと”が増えた気がする」「言葉がすぐ出てこない」――そんな小さな話し方の変化が、脳の健康状態を映し出しているかもしれません。
ベイクレスト高齢者ケアセンター、トロント大学、ヨーク大学 の研究チームは、日常会話の“間”や“言いよどみ”が、認知機能と深く関係していることを明らかにしました。研究成果は「 Journal of Speech, Language, and Hearing Research 」2026年5月号に掲載されています。
研究では、参加者に写真を見せて自由に説明してもらい、その音声をAIで解析しました。AIは、「えー」「あのー」といったフィラーワード、話すスピード、沈黙の長さ、言葉に詰まる頻度など、数百種類もの微細な特徴を分析。その結果、こうした話し方のパターンが、記憶力や注意力、計画力、柔軟な思考を担う「実行機能」と強く関係していることが分かったのです。
特に注目されたのは、“話すテンポ”です。先行研究でも、自然な会話でスムーズに話せる高齢者ほど、認知機能の低下が少ない傾向が示されていました。逆に、言葉を探す時間が増えたり、不自然な間が多くなったりすることは、脳の情報処理速度低下を反映している可能性があります。
研究者らは、この方法の大きな利点として、「自然な会話」を利用できる点を挙げています。従来の認知機能検査は時間がかかり、何度も繰り返すと慣れが生じます。しかし会話分析なら、日常生活の中で繰り返し評価でき、より早期に異変を察知できる可能性があります。
もちろん、「言葉に詰まった=認知症」というわけではありません。疲労やストレスでも会話は変化します。ただ、AIによる音声解析技術が進めば、普段の会話から認知症リスクを早期に見つける時代が来るかもしれません。
研究チームは今後、長期間にわたって話し方の変化を追跡し、正常な加齢と病的変化を見分ける研究を進める予定です。将来的には、自宅での会話データから脳の健康をチェックする仕組みにつながる可能性も期待されています。
【出典】
Hsi T. Wei, Dana Kulzhabayeva, Lella Erceg, Mira Kates Rose, Kiah A. Spencer, Jessica Robin, Ellen Bialystok, Jed A. Meltzer. Natural Speech Analysis Can Reveal Individual Differences in Executive Function Across the Adult Lifespan. Journal of Speech, Language, and Hearing Research, 2025; 68 (12): 5708 DOI: 10.1044/2025_JSLHR-24-00268
















