オーストラリアのRMIT大学の研究によると、食べ物の香りが宇宙飛行士の食事に影響を与える理由を解明する研究成果が2024年7月の「International Journal of Food Science & technology」誌に掲載されました。

 

この研究は、宇宙での食事が味気なく感じられて、通常の栄養摂取が困難になる理由を探る目的で実施されました。 

 

研究によると、バニラやアーモンドの香りが国際宇宙ステーション(ISS)の環境で強く感じられる一方で、レモンの香りは変わらないことを発見しました。これは、特定の化学物質が香りの認識に影響を与えるためです。なぜ宇宙空間でバニラやアーモンドの香りが強く感じられるのかについての脳のメカニズムは今回の研究では解明されていません。

 

さらに研究者は、孤独感や孤立感が香りの認識に影響を与える可能性があると述べています。また、この研究は、孤立した環境での食事体験を改善する可能性を示唆しており、介護施設の入居者などにも応用できるとしています。 バニラやアーモンドの甘い香りがVR環境で強く感じられることが、香りの認識の変化に大きな役割を果たしていると述べました。 もしかしたら、バニラやアーモンドの香りを用いて宇宙空間にいる人々の食欲を高めることができるかもしれません。

 

【出典】 Grace Loke, Hirdesh Chand, Jayani Chandrapala, Ian Peake, Anne Besnard Chabot, Kevin Kantono, Gail Iles, Charles Brennan, Lisa Newman, Julia Low. Smell perception in virtual spacecraft? A ground‐based approach to sensory data collection. International Journal of Food Science & Technology, 2024; DOI: 10.1111/ijfs.17306