カルシウムとビタミンDを飲んでも骨折は防げない?
15万人超の大規模解析が示した意外な結果
「骨を丈夫にするために、カルシウムやビタミンDのサプリメントを飲んでいる」という人は少なくありません。しかし、15万人以上を対象とした大規模な研究解析から、一般的な成人が骨折や転倒を予防する目的で日常的に摂取しても、期待されるほどの効果は得られない可能性が示されました。
カナダの研究チームは、カルシウムやビタミンDのサプリメントについて調べた69件の無作為化比較試験、計15万3,902人のデータを解析しました。研究成果は2026年、医学誌『BMJ』に掲載されました。
対象となった研究では、カルシウム、ビタミンD、あるいはその両方を摂取した人と、プラセボや無治療の人を比較。骨折や股関節骨折、転倒がどの程度減少するかを検討しました。
その結果、ビタミンD単独、カルシウム単独、さらに両者を組み合わせた場合でも、骨折を予防する臨床的に意味のある効果は、ほとんど、あるいは全く認められませんでした。股関節骨折や転倒についても、同様の傾向が確認されました。
特にビタミンDについては9万人以上、カルシウムとビタミンDの併用についても5万人以上のデータが解析され、研究者らは主要な結果について中程度から高い確実性のエビデンスが得られたとしています。
では、カルシウムやビタミンDは「摂っても意味がない」のでしょうか。
そうではありません。カルシウムは骨を構成する重要な栄養素であり、ビタミンDにはカルシウムの吸収や正常な骨代謝を支える役割があります。今回問われているのは、これらの栄養素が必要かどうかではなく、一般的な成人が骨折予防のためにサプリメントとして追加摂取することに十分な効果があるかという点です。
また、骨粗鬆症など特定の疾患がある人、栄養素が不足している人、骨粗鬆症治療薬を使用している人などには、この結論をそのまま当てはめることはできません。自己判断で処方薬や医師から勧められたサプリメントを中止するべきではありません。
では、転倒や骨折を防ぐために何ができるのでしょうか。
研究に付随する論説では、より確かな効果が示されている対策として、バランス運動やレジスタンス運動(筋力トレーニング)などに注目すべきだと指摘しています。筋力やバランス能力を保ち、「骨を強くする」だけでなく「そもそも転ばない体をつくる」という考え方です。
骨の健康というと、つい「何を摂るか」に目が向きがちです。しかし今回の大規模解析が投げかけているのは、サプリメントを一つ追加するだけでは骨折予防は十分ではない、というメッセージです。
骨を守るために大切なのは、サプリメントだけに頼るのではなく、食事で必要な栄養を確保しながら、筋力とバランス能力を維持すること。
高齢になってからの骨折を防ぐためにも、「飲む予防」だけでなく「動く予防」に目を向ける必要がありそうです。
【出典】
Olivier Massé, Claudia Mei Mercurio, Sébastien Dupuis, Maya Al Sahwi, Alexandra Arruda, Gabriel Dallaire, Katherine Desforges, Nicolas Dugré, David Williamson. Calcium, vitamin D, or combined supplementation to prevent fractures and falls: systematic review and meta-analysis. BMJ, 2026; 393: e088050 DOI: 10.1136/bmj-2025-088050








