ゴルファーを笑え -3ページ目

綺麗なコースね、って言われてもなぁ……

 台風11号だと。直撃だと。テレビで言ってた。

 朝6時、まだ降ってない。とりあえずカッパを持って、グリーン刈り。

 「また刈ってねぇのかよ。」

 芝カスがワサワサでる。昨日、またサボったらしい。なんで手ぇ抜くかねぇ。グリーンぐらい、毎日刈れよ。冬じゃねぇんだから。毎日伸びるだろ。コッチは1ホールごとに、捨て場を探してアッチ行ったりコッチ行ったりだぜ。これ、大変なんだから。

 ホラホラ、カエル、邪魔だ。ひき殺しちゃうぞ。アブはブンブンうるさいし。昨日、Nが刺されて病院行きだと。バカヤロウが。オイラに近づいたら、殺すよ。


 七時ごろ、雨が降り出す。まだパラパラ。そんなに強くない。ときどき、止み間もある。カッパを着込むが、そんなに暑くない。


 今日は、お客、来ますかねぇ。と、思いつつ、管理棟に戻る。ボケナスどもは、排水溝やカート道の点検、シバトビはラッピングとなりました。

 台風が通ると、必ず木が倒れるんだよねぇ。これがカート道を塞いじゃったりしてね。ヤバソウなのは、だいたい切ったんだけど、思いもかけないヤツが倒れんのよ。今回はどうなることやら。


 ラッピングの途中、キーパー登場。

 「今日、芝張りのバイトが休みだから、ヤツラ、排水マスの点検が終わったら、芝張りにまわして。」

 「へーイ。」

 「グリーンの藻はどう。ひどい?」

 「クレームついたの?」

 「チョットな。他のコースと比べてどう?」

 「だいぶ黒いけど、まだ大丈夫じゃない。去年よりはイイよ。」

 「ひどくなったら言って。薬、用意しとくから。」

 「へい。」

 「それと3連のワイヤー、注文しといたから、届いたら付けといて。」

 「ヘイ、ヘイ。」


 ラッピングを片付けて、ティー刈り。ぜんぜん追いついてねぇ。まあ、スクスクト伸び放題だ。3番を刈ってると、オジサン四人組登場。お客、いるのねぇ。

 「430、ここミドルかぁ。」

 「ロングだよ。ドラコンだぁ。」

 「だって、430って書いてあるぜ。ミドルだろ。」

 「違うよ、ロングだって。」


 ハイハイ、バックから470、白から430の短いパー5ですよ。ただし、途中から打ち上げですから、けっこうキツイでっせー。


 「じゃー、左のバンカー越えだぁ。あそこが最短だろ。」

 「そうだなぁ、あそこが狙いだなぁ。」


 ハイハイ、バンカーまで250、越えるにはキャリーで280必要でっせー。ワカリマッカ―、オッサン達には、どう考えても無理やわ。

 ホーラ、ネェ。全然手前ジャン。届かねぇって。200くらいしか飛んでないんじゃないの。


 続いて、ジイサンとオバサン二人のスリーサム。

 「フェアウェイ、綺麗に手入れしてるね。」

 エッ、本当かよ。

 「ありがとうございます。」

 とりあえす、ニッコリ。

 「この機械で刈るの?」

 「いえ、これはティー刈り用で、Fwは専用の機会があります。」

 「あっそう、でも綺麗だね。」

 エッ、本当かよ。伸び過ぎだと思うけど。

 「そうねえ、トッテモ綺麗だわ。」

 でも、ディボット跡だらけだしぃ……。

 「ありがとうございます。」

 とりあえず、ニッコリ。


 これだも、キーパーも手ぇ抜いちゃうよなぁ。お客、ナメチャウよなぁ。

グリーン上で蛇に睨まれたら……

 降るのか降らないのか、ハッキリしてくれっていう天気。

 とりあえず、カッパを持ってアウトのグリーン刈り。1番グリーンを見ると、イヤーナ予感。

 リール刃をグリーン上に下ろすと、とたんに芝煙。またかヨ。またグリーン刈ってない。また手抜き。出るわ出るわ、アットいう間に、バケットは芝カスで満ちていく。こりゃー、昨日肥料入れたな。


 8番はメヒシバという雑草がグリーン上まで入り込んでる。カラーも雑草だらけ。刈り込むと、多少は気にならなくなるが、これでいいのかい。今日こそ、キーパーのケツを蹴っ飛ばしてやらねば。

 エッ、蛇かよー。やだなぁ。ミミズかと思ったぜ。10センチくらいのヤマカカシの子供が二匹、グリーン上で寝転んでる(立ち上がることはないか)。胴の太さは5ミリくらい。この時期、こういうノーテンキな蛇がグリーン上にいます。こっちをニランデル。チビのくせに、生意気だぞー。腹なんか膨らましちゃってさぁ。モア―で刈り込んじゃうぞー。でもかわいそうなので、棒を探してきて、グリーン外にハジキ飛ばす。蛇は好きクない。今日は、アマガエルも三匹いた。こういうヤカラを刈り込まないよう、いちいち機械を止めるのもなかなかメンドウ。でも、人間様のほうが注意してやらないとね。



 管理棟に帰り、ラッピングしてると、キーパー登場。

 「これから、借りた目砂散布機、返しに行ってくるから、あとは頼む。」

 「行ったまま、帰ってこないわけ。パチンコってわけ。」

 「まあ、今日はお客も少ないし。」

 「8番の雑草なんとかしてよ。みっとがネェだろ。あれで金取るつもりですかい。」

 「まあ、後で頼むわ。」

 「早くしないと、手が付けられなくなりますぜ。張替えになったら、よけい大変でしょ。」

 「まあ、任せた。行ってくっから。」


 また逃げた。

 ラッピングの後、ティー、アプローチ刈り。3連モアを点検すると、ある部分のワイヤーが切れそう。切れるだろうな。キット。

 そう思うだけで、何もせず、出かける。

 12番のアプローチを刈ってると、若いカップル登場。急いで逃げる。

 男、グリーンから20ヤード。二回ダフリ、三回目でグリーンオーバー。女、知らぬ間にグリーンオン。ウマイ。最近、こんなカップルが多い。

 13番ショートホールのティーショットを見ていると、男、バックティー使用。オイオイ、大丈夫かい、って思ってると、ナイスオン。ピン横、2メートル。お見それしましたー。女性もナイスオン。いいですねー。


 今日笑えたのは、呑気なアマガエルとノーテンキなヤマカカシ、それだけでした。

《号外》 チッター歩けヨ

 今日は遅れたお盆休み。一日だけ。Tゴルフ・クラブへ行ってきました。


 ここはカートがフェアウェー乗り入れ可のゴルフ場。但し、前面可というわけじゃない。グリーンの近くや急な斜面などは、ローピングしてあって入れない。当たりまえだ。


 カートが走り回っても、芝は元気そう。轍もないし、ヨレタようすもない。日本芝は強いねぇ。今年の芝草学会でも乗用カートの乗り入れが議論されるようだが、これからドンドン乗り入れコースが増えそう。なにしろ、メーカーの宣伝、売り込みが激しいからね。

 こういう流れは、いつもメーカーが作り出す。需要の創出ってやつ。ゴルフ場の思惑とか芝の生育なんてのは二の次。まずはカートの売り込み。それから理由付け。いつもそう。


 1番ホールを走る。やっぱりラフの刈り込みが遅れてる。これじゃぁロストもあるだろうし、まともに打てないんじゃないの、ってな感じ。

 グリーンは柔らかい。ボールは走らない。ここは夕立タップリ降ってんのかなぁ。


 3ホール目で、前の組に追いつく。二人乗りのカートが一台、セカンド地点にいる。動きは早そう。後ろの組は姿が見えない。シバトビ組は二人、後ろは四人。まあ、しょうがないか。

 ハーフを終えて時計を見ると、一時間五十分。まあまあかな。ここで、休憩。レストランに行くと、前の組がいない。スルーで出てしまったらしい。

 食事して、ハウスから出ると、ちょうど後ろの組が上がってきた。二時間半。今では普通ですか。シバトビは遅いと思うんですが。


 10番ティーに行くと、前に誰もいない。いいですねぇ。大好き、こういうの。爽快感があります。ここでウジャウジャしてると、ウンザリして帰りたくなります。

 しかし、3ホール目で前の組に追いついてしまいました。二人乗りカートが二台、グリーン近くを走っています。

 「こっからは、ノンビリだね。」

 「まあ、しょうがないよ。」


 ゆっくりと追いかけつつ、前の組のプレーを見ていますと、なんか変。1ホール、2ホール進むうちに、気づきました。前の四人組は明らかに、走行禁止区域を走ってる。

 グリーン近くは、だいたい50ヤード手前で進入禁止の看板が立ってるんだけど、ヤツラは無視。グリーンの直ぐ傍までカートを運んでる。タイヤ跡や轍が後のプレーヤーを困らせる、なんて考えていないんだろうなぁ。

 ビックリしたのは、急な下り傾斜を平気で走ってるのを見たとき。そこもロープが張ってあるのに、どうやって入ったのか、不思議。スッ転んで、死んじまっても知らんぞ。

 ゴルフは歩くのが基本なんだから、チッター歩けヨ。いくら暑いからってさぁ、オメーラ、情けねーだろ。こういう輩がゴルフ場とゴルフというゲームをダメにしてくんだね。




ゴルファーというよりはサーファー? 

 いい天気ねぇ。暑くなるんだろーな。管理棟でタバコ吸ってると、キーパー登場。

 「今日、グリーン刈りなしね。」

 「またかよ、今日は土曜日ですぜ。」

 「知ってる。でもナシネ。」

 「高い金払ってもらって、悪いと思わないの?」

 「大丈夫、大丈夫。」


 ということで、二人がカップ切り、シバトビとHさんが、タンク車で水撒きとなりました。普通、タンク車で散水する場合、ノズル持ちとホース持ちの二人で撒きます。しかしウチは違います。一人で一台を運転し、一人でホースを引っ張り、一人でノズルを持って撒きます。

 シバトビの担当はアウト。なるほど、なるほど赤いねぇ。焼け始めてるよなぁ。

 今日はグリーン刈りなしなので、グリーン面の露払いと芝のボサボサを誤魔化すことが最初の仕事です。それが9ホール片付いたら、また1番に戻り、赤くなった部分のスポット散水となります。


 水を撒いて露を払うだけで、かなり綺麗になります。初心者は、たぶん誤魔化されてしまうでしょう。

 「ここのグリーン、ステキね。」

 でも、違うんだなぁ。誤魔化してるだけ。ヨーック見てごらんよ。ホーラ、芝伸びてるでしょ。葉先がバラバラで、揃ってないしょう。ピッチマークも縁が盛り上がったままでしょ。

 こんなグリーンでボール転がしたって、イラツクだけだぞ。


 あっ、そうそうコメントをいただきました。goma2さん、ありがとうございます。

 みなさん、なかなかピッチマーク直してくれませんねぇ。どうしてなんでしょ。直し方は正しいと思います。それと、ひたすらボールマークを直していただいたようですが、そういう人は、すぐにゴルフ場全体に伝わります。みんなニコニコして、その人の話でモチキリになります。ゴルフ場の人間は、そういう人をどこかで必ず見ています。そして、アナタは、今や噂の英雄になってるはずです。


 水撒きながら、足でボールマークを踏んで、少しでも平らにしようとするのですが、ヤッバリねぇ。夏場は、修理しないと、一時間で芝はダメになります。直すなら一時間以内です。みんな、ボールマーク直そうよ、ネ。

 ホース、重いです。100メートルのホースを50メートルくらい伸ばして撒くんですが、こいつに水圧がかかると、メッチャ重い。お客が来ると、慌てて片付けなければならないし。


 5番グリーンを撒いてると、若いカップル登場。オネエチャンはマイクロ・ミニにノースリーブ、いやタンクトップ、いやキャミソールじゃねぇか。いいのか、ここはゴルフ場だぞ。ニイチャンはタンクトップ、いや、それはランニングシャツというヤツじゃねえか?

 露出過多の肌は真っ黒。オメーラ、サーファーだろ、水ぶっ掛けてやろうか。


もうなんでもアリなんですねぇ。


オジョウサマのためなら……

 今日はキーパが出張。

 「Hさん全部カップ切って、NとIはグリーン刈ね。終わったら、三人とも芝張りの手伝い。」

 てなことを言って、作業開始。昨日の予定では、バンカー周りのラフ刈りだったんだけど、芝張りが遅れてるので、急遽変更。


 今日も砂が付く。この川砂は本当に落ち着かない。いつまでもダラダラと浮いてる。しょうがない、スプリンクラーだ。


 芝がだいぶ赤い。大丈夫かい。お客が打つボールの転がりを見ても、いまいち伸びないねぇ。最後のもう一転がりがない。


 管理棟に帰ると、三人がナーセリ―で芝を切ってる。新しいグリーンなんだから、種蒔いて、じっくり育てるのが本筋なんだろうけど、時間がない。いつまでもテンポラリー・グリーンでお茶を濁すわけにはいかないでしょ。ナーセリ―から切り出した芝をそのまま張り付ける。予定では九月中旬完成なんだけど、どうだかなぁ。

 切り出して、張り付けるとき、砂を落とさないように、丁寧に運ばないとグリーンがデコボコになっちゃう。ここが肝心。ヤツラの仕事で大丈夫かい、チョイ心配。バイトのオジサン達も頼りねぇしなぁ。芝が乾いたらイチコロなので、水を蒔きながら芝切り。ソッド・カッター(芝切り機)、壊れなきゃいいけど。


 シバトビはラッピング後回しで、アプローチ、ティー刈り。9番ティーにオジョウサマ二人組登場。どうやら白マークから打つらしい。シバトビ、バックティーにさがってエンジンを切る。

 オジョウサマ、なかなか打たない。二人で何か話してる。そして、一人がこちらへ。ナンダ、ナンダ。

 「アノ―、お水ありませんか?」

 「水ですか。ありますよ。」

 「一口いただけません。ノドがカラカラなんです。」

 「ええ、いいですよ、どうぞ。」

 シバトビ、水の入ったポットを渡す。暑いから、あと一ホール我慢できなかったのねぇ。もう少しでハーフが終わるのに。

 一口のはずが、二人してけっこう飲んじゃったみたい。ええ、いいんですよー。オジョウサマのためなら、シバトビ、水なんかなくても、泣きませんから。どうぞ、腹一杯飲んでください。熱中症は怖いからねぇ。

落し物を見つけたら、どうするんだっけ……

 公休明けは、なんとなくノリが悪い。管理棟に入ると、健康診断の結果が置いてありました。見たくねー、見なくてもわかる。封も切らずバッグの中へ。さりげなく。


 さあ、いつものグリーン刈りだ。アッチャー、グリーン面は砂だらけ。忘れてた。砂撒いたんだっけ。撒いた後、砂を芝の中にブラシで摺り込むんだけど、全然ダメ。浮いちゃってる。こりゃ、水撒きだ、というわけで、スプリンクラーのスイッチを入れる。

 こうしないと、グリーンモアのローラーに砂がこびりついてエライことになっちゃう。


 てな感じで、12番を刈ってると、雨。パラパラと。気にしない、気にしない、通り雨だよねー。だってさっきまで晴れてたじゃん。強気で13番を刈ってると、ザーです。ザーっていったって、途中で止められねぇぞ。でも、ザーです。

 刈り終ったら、ビッショリ。全身ズブ濡れ。なおも雨は止まず。


 そこへコース改造の手伝いをしてるバイトのオジチャン。アリガテー、天の助け。慌てて、軽トラを借りました。大急ぎで、カッパを取りに管理棟へ。

 帰ってくると、オジチャン、ニコニコ。ハイ、雨は上がってしまいました。分かってたんですよー、知ってましたとも。直ぐに止むのは。デモサー、マー、イイジャン。


 グリーン刈りを終えて、管理棟に帰ると、隣りのナーセリ―からオジチャン達が芝を剥がしてます。いよいよ、改造グリーンの芝張りが始まったのね。

 ラッピングしつつ、乗用モアのオイル交換をしてると、キーパー登場。

 「明日、東京出張だから、頼むわ。」

 「ヘイ。」

 「仕事、何する?」

 「何しましょうか。」

 「シバトビはいつものエンドレスでいいとして、他の三人は適当に見繕って。」

 「バンカー周りのラフ刈りはどう。」

 「いいねぇ、グッドだよ。」

 「砂撒きは終わったの?」

 「あー、機械壊れた。」

 「マタッスカー。」

 「ウン、もうどれも使えねぇ。どっかで借りてくっから。」


 午後はいつものティー、アプローチ刈り。4番アプローチとカラーを刈ってると、ジイサン四人組現る。


 ちょっと話は変わるが、ウチはティーグランド、フェアウェイ、アプローチ、カラーと全部刈り高は同じ。こんなコース他にありますか。以前は違ったんですヨ。全部刈り高は違ってたんです。でも今は全て同じ。人がいませんからね。作業分担もできないし、刈り高を変えることもできません。高さは全部25ミリです。こんなコースないでしょう。


 さて、ジイサン四人組。パットを終えて、カートへ。一人が近くでヘッドカバーが落ちてるのに気づく。

 「オレのじゃねぇな。」

 「落し物じゃないの。」


 そう言うと、カートに乗って次のホールへ。ヘッドカバーはそのまんま。エーッ、そんなのアリかよ。オーイ、ジイサンよ。落し物は拾って届ける、ってぇのは小学生だって知ってるぞー。

 最近こんなジイサンばっかり。八十過ぎは戦争で鍛えられて骨があるけど、六十から七十のジジイはどうしようもないね。マナー、エチケット、礼儀、常識、まったくなってねーよなぁ。カネ、カネ、仕事、仕事しか頭にねーんだろうな。不幸といえば不幸かも……。でも、クラブハウスまでヘッドカバーを届けなければならないシバトビはもっと不幸。ここから、遠いんだー。

 

10番グリーンの奇跡

 雨です。出勤者二人です。お客はメ一杯入ってます。何もできません。


 キーパーがそう言ってくれたら、少しは尊敬してやるんだけどなぁ。そんなこと言うはずもなし。

 「カップ切りして。終わったらグリーンの砂撒き。」

 「この豪雨の中、砂撒きかい。芝も刈らずに。」

 「ウン、大丈夫、大丈夫。」


 アウトのカップ切り。ヒデー雨だ。でも早朝のお客がいるんだなぁ。10組も。アーアー、傘も差さず、カッパも着ないで、ズブ濡れじゃん。頭オカシンじゃねぇの。

 

 5番グリーンなんか川が流れてるよ。カップ切るとこねぇじゃん。そういえば、昔、マスター室にプロがいた頃、毎朝ピン・ポジション表を渡されてさぁ、手前エッジから○○ヤード、右から××ヤードとかメジャーで測ってさぁ、めんどくせーことしてたよなぁ。あのメジャー最近見ねぇけど、どこいっちまったかねー。ステッキというかスキーのストックのような棒の先に小さな車輪が付いててさぁ、それを転がして距離を測るやつ。

 今じゃ、ピン・ポジはAかBかCかの三つしかないかんね。スッゴク簡単、スッゴクいい加減。同じAポジでも、場所によっちゃ―10ヤード違うかんね。ワン・クラブ違うよ。


 お客さーん、これでいいの。リストラもいいけど、絶対手抜きされっからね。


 9番なんて、カップから水が溢れてる。アーアー、この水抜きが大変なんだ。これでもクローズにしないんだから、エゲツナイねぇ。銭儲けは大変だ。


 管理棟に帰り、ダンプに砂を積んでいると、なんとなく雨が小ぶりになって、まもなく止んだ。どうしてもヤレってことね。まずは9番、18番グリーンから。目砂散布機という機械を使って、歩きながら撒くんだけど、こいつが厄介。なんともアナログの機械で、幅1メートルくらいしか撒けない。しかも一台だから、当然、時間がかかる。足も疲れる。

 昔は(今日は昔話バッカ)乗用の散布機で撒いてたのよ。撒く幅も半端じゃなく広いから、アットいうまに終わっちゃうわけ。でも今は歩行式。


 どうしてだかワカルかなー。


 答え。砂が買えないの。焼き砂が買えないの。高くてさぁ。生砂しか買えない。焼き砂使うと、社長が怒るんだと。

 普通、グリーンには焼き砂を使います。グリーンに病気が出ると困るからね。でも、ウチは使いません。生砂です。値段が違うんです。1立米、1000円から高いと3,000円違います。

 乗用散布機はサラサラの焼き砂しか使えません。生砂だと湿り気があるので、直ぐに詰まっちゃうんです。一回試しましたが、やっぱりダメでした。以来、アナログの歩行散布機です。情けなー。

 生砂には、もう一つ問題があります。芝の中になかなかすり込めないんです。葉っぱの上に浮いたまんま。だからボールは砂まみれになるし、転がらない。


 ゴルフのプレー料金が安くなるのはいいけど、でもそのツケは、結局、払わされるってわけ。


 午後、10番を撒いてると、知らぬ間にトンボの大群に包まれてました。何十、何百という赤トンボ。不思議な光景です。ミンナ、シバトビを取り囲み、まるで仲間あつかい。肩にとまるヤツ、手にとまるヤツ。

 もう秋が始まるんですね。コイツラ、どこから来たんだ、どこへ行くんだ、オイラも一緒に行けってか。行きてーなぁ。

お客さん、ナメラレテません?

 今日は、超満杯だそうです。早朝五時過ぎから、すでにお客が出ているとのこと。


 でもカップ切り無し。もうどうでもいいや。カップの縁ガタガタ、でも知らねぇ。

 お客さ~ん、ナメラレテルよー。こんなんでイイノー。高い金払って、誰も文句言わない。ホラホラ、カップの縁、よーく見てごらんよ。ボサボサしてるだろぉ。


 一度でいいから、カップについて、ルールブックなり裁定集なり見てごらんよ。見たことねぇだろ。


 お客さ~ん、ナメラレテルよー。


 アーア、と思いつつ、グリーン刈り。なるほど、なるほど、いますねぇ。アッチにも、コッチにも、ゴルファーらしき姿。でもそんな腕じゃー、シバトビの3連モアのエンジンは止められないなぁ。ハーイ、ごめんなさいよーっと。


 3番を刈り終って、管理道路へ出たとき、水撒きを終えたキーパーと会う。

 「どう、アイツ(お客様をアイツと呼びました)クラブ置き忘れると思う?コーヒー一本でどぉ。」

 振り返ると、パッティング中の二人組のクラブがグリーンの手前に置いてあります。カップは一番奥。

 「あの高校生は、ホントに下手だから、忘れないネ。もうチョット上手くなると、打つことに夢中になっちゃっ 

 て忘れるかもしれないけど、あのレベルは忘れない。」

 「そうなんだよなぁ。ヤツ(お客様をヤツといいました)は1番でさぁ、空振り三回だぜぇ。次、振ったらチョロ

 さ。」

 「まぁ、ショーガナイよ、そんなんバッカだから。おかげで、コチラも楽にグリーンが刈れるってネ。」

 

 二人はパットを終えると、クラブを拾い上げ、カートに乗り込みました。

 「いただきました。ゴッツァンです。」

 「グリーン刈り終わったら、ローダーとダンプ、用意しといてくれる。明日砂撒くからさぁ。」

 「明日ですか。明日の出勤は二人ですぜ。」

 「エッ、そうだっけ。」

 「みーんな、お盆休み。」

 「ソーカー、じゃぁ何する?」

 「明日も満杯だってから、Tさん18ホールカップ切りで、オイラ、全ホールグリーン刈り。それしかないっし

 ょ。」

 「そーかー。」

 「それで四時間かかっちゃうから、ラッピングして午前は終わっちゃうね。」

 「マイッタネー。」


 いいえ、あなたは参りません。参るのはオイラ達です。コース管理が二人なんて、アリエナイっしょ。世界中探したって、そんなゴルフ場はありません。アリエマセン。


 

 午後はいつものティ、アプローチ刈り。3番ティを刈ってると、若い二人組登場。エンジン止めて、観賞。

オナーが打つ。飛びましたー。すごいです。二人目、これもすごい。二人とも280ヤードは行ってる。見ると、二人ともテーラーのr5を使ってる。欲しいなぁ。

 「ごめん、もう一発いい?」

 「ド―ゾ」

 今度は、スリクソン。これも凄い。テーラーより飛んでる。欲しいなぁ。でした。



お盆って、全国的に休みじゃなかったっけ

 今朝はチョイ雨。でも直ぐに上がりそう。

 キーパー、眠そうに人足寄場に現れる。

 「今日からグリーンのスライシングいこう。」

 「グリーン刈りはどうすんの?」

 「無し無し、カップだけ切って。」

 「またですか。今日、土曜だぜ、高い料金払ってくるお客に失礼じゃないの。」

 「イイ、イイ。お客少ないから。」

 「そういう問題じゃねぇと思いやすが。」

 「雨も降って芝も一息、グリーンも水が浸透して柔らかいし、お客いないし、仕事はかどるでしょ。」

 「絶好のタイミングなのはわかる。ヨークわかる。でも今日は土曜じゃん。せっかく来てもらってさぁ、グリー 

 ンがデコボコってのは、気の毒じゃねぇの。」

 「まぁ、ショーガナイでしょ。」


 というわけで、今日からグリーンのスライシングとなりました。スライシングっていうのは、芝に活を入れるエアレーションの一つで、芝をナイフで切っていく作業です。10センチ間隔くらいで付けられた、円盤状の包丁を回転させ、グリーンを切り刻んでいきます。そこに肥料やら土壌改良剤やらをぶち込み、砂を撒きます。これで夏バテした芝に元気が戻ります。

 でもー、芝を切るわけですから、当然グリーン面に筋ができます。ボールは、当然、転がりません。跳ねます。ポンポン跳ねます。ラインもへったくれもありません。入るパットも入りません。入らないパットは、もちろん入りません。ストレスが溜まります。


 そういう作業を土曜日にやるかー!


 スライシングはTさんとKさん、オイラとHさんがカップ切りとなりました。

 オイラ、シバトビはアウトコース。久々のカップ切り。確かにグリーンは柔らかい。カップカッターが楽々と入ってく。砂が硬いと大変なんだ。押しても押してもなかなか入らない。雨の威力は凄いでやんす。


 カップ切りの後は、いつものティー、アプローチ刈り。でも、お客にぜんぜん会わない。途中、キャディマスター室へ行くと、今日は13組とのこと。オヤマー、ナンテコッタ。明日も少ないんだとさ。お盆は全国的に休みのはずなんだけどなぁ。やっぱり、ご先祖様第一か。さすが、日本人だね。ゴルフなんかやってる場合じゃねぇよな。

 ゴルフ場に来ても、このグリーンじゃなぁ。高い料金払ってこれじゃねぇ。もしかして、バチ当たりってやつかー。アー、ナンマンダブ、ナンマンダブ。


フェアウエイとラフの境は……

 朝から小雨。芝には嬉しいけど、人間様には辛い。カッパ着ての作業は蒸れるんだ。内側は汗というか蒸気というか水滴がついて、ビショ濡れになる。


 キーパーが休みなので、Hさんに18ホールのカップ切りとティーマークの移動を頼む。ボケナスコンビのNとIはシバトビと一緒にグリーン刈り。ボケナス二人は手刈り、オイラは乗用3連。

 ボケナスコンビは、やっぱり、カッパを着ない。着ても着なくても、濡れるのは同じだもんね。着れば暑いし、動きづらいし、ねぇ。しっかり濡れてこいヨ。


 シバトビはしっかりカッパを着こんでアウトコースへ。タイヤが滑るのを心配したが、何の問題も無く、刈り終える。


 管理棟に戻り、ボケナスコンビにティーグランドの肥料撒きを頼む。鶏糞、タップリ撒いてね。

 「1ホール、何袋ぐらい?」

 「適当に、タップリ。」

 「お客、多いから、終わらないかも。」

 「終わるまで帰さない。終わったらラフ刈りネ。」

 「マジですか。」

 「マジ、マジ、この雨最高だろ。鶏糞、溶けるしさぁ。止んじまったら、またいつ撒けるかわかんねぇだろぉ。  

 今日の内に撒いちゃおうぜ。」


 二人を送り出して、休憩。キーパーいねぇし、コーヒーでも飲んじゃうかなぁ。ニコニコ。


 そうこうしてる間に、アヤヤ、雨止んじゃったヨ。根性ねぇな。もっとバシャバシャとさぁ、たまに降ったんだからさぁ。

 ボケナスコンビは鼻の穴から耳の穴から、全身糞まみれになるんだろなぁ。オー、カワイソォー。臭いんだろぉなぁ。オー、キノドクゥ。


 シバトビは、ヤツラのいないティーの芝刈り。だって、鶏糞撒いた後、刈り込むと糞は飛ぶし、臭いはキツイし、最悪だからね。

 で、6番ティー。何組かのコンペがここでドラコンやってるみたい。フェアウエイにフラッグが立ってる。

「フェアウエイとラフの境はどこ?」

中年のオジサンが聞くんです。境はどこ、って言われても、応えようがありません。ラフに入ると、ドラコンの権利がなくなるんでしょうが、デモネェ。

 去年まで、フェアウェイは20ミリ、ラフ50ミリの刈り高で、その差30ミリだったけど、今年はフェアウエイ25ミリ、ラフ40ミリ。その差15ミリじゃ、やっぱりワカンナイかなぁ。

 でも、狙いはフェアウエイの真ん中でしょ。ここで、200ヤード先の境界がわかったところで、どうなるもんでもないし。何考えてるんだか、わかりません。

 「行ってみれば、わかると思いますよ。」

 シバトビ、そっけない返事でしたかねぇ。