白井智之／エレファントヘッド

白井智之さんの「エレファントヘッド」を読みました

白井さんの作品は、最近マイベスト上位の常連化していますが、今年になってから読んだ短編はいずれも好みではありませんでした

『伊吹亜門ほか／斬新THEどんでん返し』

『Jミステリー2023 SPRING』

しかし、今回の新作長編はさすがのデキでした

また、超絶大傑作「名探偵のいけにえ」では、持ち前のグロさが抑えめでしたが、今回は「お前の彼女は二階で茹で死に」を上回るグロさが大爆発しており、この点ではちょっと読み手を選ぶかもしれません

『白井智之／名探偵のいけにえ（人民教会殺人事件）』

『白井智之／お前の彼女は二階で茹で死に』

とはいえ、プロットの素晴らしさは多くの人に届いてほしい

基本設定はパラレルワールドで起こる連続殺人事件であって、名探偵の設定を含めて目新しさは感じませんが、とにかく突き詰めています

連続殺人事件はいずれもド派手かつ不可解なものであり、フーダニットもハウダニットもホワイダニットもすべてがよく練られています

特に、エピローグの事件は最初に持ってくるだけあって作者の自信作なのでしょう

強引ともいえるような徹底した作り込みが効いていて、本当に見事な真相でした

いつものとおり、十八番である多重解決も冴えています

さすがにちょっとやり過ぎて、読者が論理の流れを追いかけにくくなってしまうところが玉に瑕でしょうか

ただ、それもこの手のプロットを持つ作品ではやむを得ないことでしょう

『スチュアート・タートン／イヴリン嬢は七回殺される』

個人的には「名探偵のいけにえ」や「お前の彼女は二階で茹で死に」には及ばないものの、十分すぎるくらいに満足しました

エレファントヘッド (角川書店単行本)

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