スチュアート・タートンの「イヴリン嬢は七回殺される(The Seven Deaths of Evelyn Hardcastle)」を読みました
イギリスの没落しかけた貴族ハードキャッスルとその妻が、人里離れたブラックヒース邸において19年前邸内にいた者と同じ顔ぶれを集めて仮面舞踏会を開催します
名目は娘のイヴリンが19年ぶりにパリから戻ってくること
主人公は、いきなり記憶喪失になって登場し、さらには寝たりすることなどで意識を失うたびに別の人物になりかわってその日を過ごすことになります
そして、ペストマスクをつけた謎の人物からは、何度この世界を繰り返しても、イヴリンが毎回毎回この日の23時に殺されるエンドを迎えてしまうので、誰の仕業かを暴いてほしいと依頼されます
しかし、少し時間が経つと別の人物になりかわってしまいますし、時間の流れも一つの方向に流れているのではなく、たとえば6回目になりかわる人物から2回目になりかわる人物にリープすることもあるので、混乱が重なってなかなか推理を進めることができません
さらには、謎を解いてこの世界から解放されようとしているライバルは他にもいて、主人公を妨害してきます
という非常に凝ったゲーム的設定になっており、読者に対しても少しずつヒントが与えられていくところはワクワクさせてくれます
ただ、ちょっと長すぎるし、登場人物が多すぎるため、読んでいてかなり混乱させられました
この世界の時系列を登場人物ごとに書き出しながら読めばいいのでしょうが、そこまではできないなあ
とはいえ、(1)19年前にハードキャッスル夫妻の子の1人が惨殺された事件と今回の事件はどのような関係にあるのか、(2)なぜ主人公はアナという女性に強い執着を持つようになったのか、をめぐる最終的な真相はなかなか面白いものでした
昨年の外国作品の中でいえば、個人的には「メインテーマは殺人」(2019-11-05)より好きです
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