来年もよろしくお願いします。


InBanの助手席に同乗する勇敢なヤツは一緒に死のドライブしようぜい☆



あの初日の出まで!!



それではお待ちかねの続きに参りたいと思います。







『15.  死のドライブ』   ②




『それにしてもアツヤ。車はどうするんじゃ?ドライブじゃろう?』


家に帰って春姫に今日のことを報告すると、春姫は思い出したように言った。


「車なら大丈夫。ハルカのところにあるから」



俺は夕飯の支度をしながら美保ちゃんの返信を待った。




『アツヤ。ドキドキするじゃろ?』


春姫が悪い顔になって言った。



大人をからかう子供のような顔だった。


「そりゃあ、いつものメールとは訳が違うからな」


そう言いながらゴハンが全然喉を通っていない。


かなりドキドキしているようだ。



その時、美保ちゃんから運命の返信が着た。


『なんて書いてあるんじゃ?』


春姫も興味津々といった様子で携帯を覗き込む。



内容はこうだった。



“今日は講義がぎっしりあって少し、疲れました。アツヤ君は早く帰れたみたいでいいな。

ところで、ドライブの事ですが、誘ってくれてありがとう。実は私も行きたいと思っていました。

いつ誘ったらいいのか分からなくて、全然話を切り出せなくてごめんなさい。日曜日は私もヒマなので是非行きたいです”



「やったぞ!!春姫」


『よくやった。アツヤ』



俺たちは声を出して喜んだ。



いや…実際この部屋にいるのは俺だけなので俺が一人で大声を出している変な人ということになるが、そんな事気にしてなんかいられない。


美保ちゃんと一緒にドライブができるのだから。



早速太一に連絡をして、ハルカにも車を貸してもらえるか聞くことした。


「よかったじゃんか!アツヤ。おめでとう」


すぐに太一からは電話があってすごく喜んでくれた。


「ありがとう。太一のお陰だよ」


「じゃあ、今後なんかおごって♡」


太一はこういうヤツだ…。



「でもよ、良く美保ちゃんドライブ行くのOKしたよな」


「なんで?」


「え?あぁ、別にいいんだ。気にすんな。じゃあ健闘を祈る」



太一は意味深なことを言って電話を切った。



ハルカからは明日家に来て。と、短くメールが返ってきた。



次の日、幸運にも講義が休みだったので、ハルカの家に行くことにした。


美保ちゃんとドライブデートをする話もかねて。



ハルカは専業主婦なのでどの時間でも家にいる。





「どうぞ~」


ハルカはご機嫌で出迎えた。


「で、どうなったのよ。聞かせてくれんでしょう?」



アイスティーを出しながらハルカは言った。


「いやぁ~緊張したけど、ドライブのアポ取ったよ」


「へえ~すごいね。あのアツヤが。良かったね」



ハルカはアイスティーを混ぜる手を止めて喜んでくれた。


「それで昨日の件なんだけど、ハルカにドライブに行くための車を借りようと思ってさ。ハルカ車持ってたよな?



俺の記憶が確かならば、ハルカは健一と付き合ってるときの誕生日かクリスマスのプレゼントに健一から車を買ってもらっている。



「あれね、ごめん。今修理に出してんのよ。この前ぶつけちゃってさ、でも、健一が持ってるから健一に貸してもらいなよ」



そう言って、ハルカは地下の駐車場へ案内してくれた。



「これが健一の車」



と、ハルカが指す方向にはピカピカのベンツが止まっていた。


「これ……?」


「健一の」


「買ったばっかって感じがするんですけど」


「うん。三ヶ月くらい前かな?」



あっけらかんとハルカは言った。


新車でしかもベンツなんていくら健一でも貸してはくれないだろう。


それにいくら貸してくれるといっても、緊張して運転なんてできない。


当然楽しくドライブどころではない。


「レンタカーにするよ。いくら健一でもこれはさすがに貸してくれないでしょう」


「そうかな?」





俺はハルカのマンションを後にした。


あの夫婦とは金銭感覚が全然違う。




しかし、その夜、ハルカから連絡があった。


「もしもし。ハルカ?うん。え?!え?いいよ。いい!いい!……うん。分かった」



『どうしたんじゃ?アツヤ。真っ青じゃよ』


「春姫」


『うん?』


「健一。車貸してくれるって…」



どうやらハルカからの電話は今日の車に関しての事だった。


さすが、健一。


車を貸してくれることをあっさり了承してくれた。


今回は勘弁して欲しかった。








はい。



時間をまたいでしまいました。


あけましておめでとうございますおうし座



書いた当初はまだ去年だったのですが、今は今年になりました。



ブログで年を越すとは思ってもみなかったのでこれもなか②おもしろいですね。



それでは良いお年を。



今年もこの「ルームナンバー305…」をよろしくお願い致します。



InBanも、アツヤも、春姫も、ハルカも健一も、美保も頑張りますので心大きくご覧になって頂ければInBanは幸いにございます。




今年も言いますよ。



バイバInBan。













今年も残すところわずかとなりました。


思えば約二ヶ月前に始めたブログもこうして続けていられるのは皆々様のお陰にございます。


ありがとうございます。



それでは感謝の気持ちを込めて新しい章に入ります。



本当は大晦日の話もあったのですが、なにしろ11月に始めたのでこれ…追いつかないでしょう…



なので、気長にやらせて下さいませあせる


と、いうことで改めて参ります。



何度も言わせて頂きますが、私は恥ずかしがり屋なので自分の小説を読み返すことはありません。


いや…いけないことなんですが、読めよ!って気持ち。分かります。



で、読みましたよ。


つか、こうして書いている以上読まざるを得ないというか…読んでしまうよね。



で、なんか変だと思う部分が多々ありまして、直してます。



オリジナルの部分が多いので、こっちも大変なのです。



でも、悪くないね。




それでは読んでください。



死のドライブ。









『15.   死のドライブ』   ①




あれから美保ちゃんと頻繁にメールのやりとりをしているが、何よりも美保ちゃんは男の子と付き合ったことが一度もない純粋な心の持ち主だから、デートに誘うにしてもタイミングが分からない。



積極的過ぎて、引かれてもイヤだし、だからといって美保ちゃんが誘ってくるのを待っていたらいつになるか分かったものではない。



先程メールをやっているといったが、内容は今日の出来事をお互いに報告し合うという日記のような内容だ。



『つまらんな』


俺のメールを見ていた春姫がボソッと呟いた。


「なんだよ…春姫」


『お主たち、こんなつまらないやりとりを毎日して楽しいのか?これだってタダという訳ではないのだろう?もっと密度の濃いやりとりはできぬのか』



春姫はイライラしたような表情で言う。


俺だって最初だけは我慢してこういうやりとりをしていたが、美保ちゃんはこのままのやりとりをしてくるものだから「あ~そういうことね」ってなってしまう。


あまり突っ込んだ話をして嫌われたくない。



「俺だってさすがにこのままじゃいつまで経っても先に進まないと思ってさ、思い切って好きな男の子のタイプとか聞いてみたんだよ…でも、さり気なく話を逸らされたんだぜ?そんなんされたら聞きにくいじゃん」



春姫はハーッと溜息を付いた。



水族館にみんなで遊びに行って一週間は経った。


普通なら次のステップに行ってもいいのではないかと、思う。



しかし、そのステップにどうやって行ったらいい?


俺の性格はもともと積極的ではない。


相手が乗り気になってやっと次に移ることこそ理想なのだ。



『お主からしろ。美保の誘いを待っていたのではジジイになるぞ』


「春姫…口悪い。一応女の子なんだからな」


『一度観覧車の中で約束をしているのだから今更美保も断らないだろう。もしかしたら向こうは待っておるのではないか?お主からの誘いを』



春姫は俺の動かし方がうまくなった。


俺は春姫の言葉に動かされ、美保ちゃんをドライブに誘う決心をした。




「んで、無事に誘えたのかよ?」


講義前の空き時間、太一が気になったらしく俺を喫煙所に呼び出して聞いた。


「いや…まだ。どうやって誘ったら自然なのかな?」


俺が太一にそう言うと、太一はタバコを吸おうと取り出したジッポを持ったまま止まった。



「はあ?まだ誘ってないの?え?どのくらい経ってる?」


分かっている。


太一の信じられないというような顔を見れば一目瞭然だ。


しかし、言い訳するようだが、俺は思い立ったら即行動をもっとうにしている太一とは違って慎重派なんだ。


昨日会ってはい付き合いましょう!って関係を美保ちゃんとしたくない。



「俺、もう付き合ってるかと思った」



早い!!!!!



と、突っ込んでやろうかと思ったけどやめた。



「そりゃあ、太一ならって話だろ?俺は違うもん。太一じゃないし、見習いたくない。それに美保ちゃんは一回も男の人と付き合ったことないんだぜ?どう接したらいいんだよ」



「…うん。確かに」


太一は納得したように頷いた。



「でもな、太一。このままじゃいけないって思って、今日誘おうと思うんだけど、なんて誘ったらいいかな?」



「おお!積極的じゃないか。アツヤ」


太一はおもしろそう!というような表情を明らかにして言った。



しかし、その後その表情を一変してこう言った。


「それ、俺に聞くの?」


八ッ!と思った。



太一に聞いたのがいけなかったと、太一に言われて気づいてしまった。


俺としては俺よりも経験豊富な太一に聞けば何かいいアイデアを提供してくれるかと期待していたのだ。



太一はしばらくタバコとにらめっこしていたが、そのタバコを灰皿にもみ消した。



「がんばりましょう」


そして、俺の携帯を取ると何か打ち込み始めた。


「これはどう?」



あっという間に太一は文章を完成させ俺に見せた。


“観覧車の中で今度ドライブする約束したじゃん。覚えてる?今度の日曜とかヒマ?ドライブ行かない??なんか急な誘いでごめんね(o^-')bでも、早く美保ちゃんに会いたいからさ。日曜晴れるといいね”


「って、もう行くこと決定なの?」


文章を見て、太一の強引さが伝わる。それに、



「俺絵文字とか美保ちゃんに使った事ないけど…」


「じゃあ、消してもいいよ。これでいいんじゃない?」


太一は早くも送信ボタンを押しそうな勢いだったので、慌てて止めた。



「アツヤ。手を離しなさい。お兄さんが送信してあげるから」


「わあっ!!」



太一はボタンを押した。






はい。



ここまで読んでくれたみんな。



ありがとう。



太一はやっちまったな!!



でも、これで私としては話の展開が速く済んで良かったです。




何を隠そう!この場面がオリジナル(≧▽≦)



てか、この章はほとんど今考えて作りました。



彼氏はいないけど、InBanはやる子なんですよ。




私たちは全部その場で考えて作ってんだよ!とかはいらないです。





それでは、明日はみんなどこで年越しですか?


ガキ使見るんですか?



クラブでカウントダウンするんですか?



日の出暴走ですか?



私は…



それでは良い夢を。。。。。。。。



バイバInBan。











ハロハロ音譜


InBanだよ。


もうすぐ今年も終わるね。


今年も彼氏…できなかったな(w_-;ダウン



来年こそ。





と、いうことで幸せな話でも書きましょうかね。



せめて私の書く小説くらいは…(→切ない話)








『14   今時純情』      ⑦



この大きな観覧車も実際乗ってみると意外と短く感じた。


俺はもう少し、そうもう後一週くらい美保ちゃんと過ごしたかった。


降りると俺たちの前に乗っていた太一と綾ちゃんが待っていた。



「どうだった?」


今にもセクハラしてきそうな顔で太一は聞いた。


俺はそんな太一に今度美保ちゃんとドライブデートをすることを報告した。



「マジで?!やったじゃん。…でもさ」


太一は口を濁らせた。


しかし、話し出した。


「あの美保ちゃんて子かなり純だよ。お前大丈夫なの?」


「なにが?」


「いや…二人きりとかになってお前が我慢できなくなって襲っちゃったりしないかなと…」



太一は本気で心配そうな顔をしていたので、俺はそのことを冗談として受け取ることができなかった。


「あのな、太一。お前じゃないんだから大丈夫だよ。本気で心配する太一のほうが俺は心配だよ。やめろよ」


「あっそう?まあ、アツヤだもんな。健闘を祈るよ。良かったな。あの子はお前の彼女にしてもいいと思う」



「お前…何様?」



どうやら太一様のお許しが出たので俺はまだまだ付き合うには時間がかかりそうだがこれから楽しくなりそうな気がしていた。




待望のイルカショーは三時間置きにあるようで、まだ少し時間があったのでそれまで俺たちはお土産を見ることにした。



俺はここで美保ちゃんに何か買ってあげようと思っていた。


が、一体何を買ってあげればいいのか分からなかった。


「(春姫…いる?)」


『なんじゃ?』



俺は春姫がまだいるか聞いた。



それは春姫の姿が見えなかったからだ。



しかし、春姫は俺の近くにいて答えてくれた。


「(春姫だったら何もらったらうれしい?)」


俺は同じ女の子として春姫の意見を聞くことにした。



春姫は少しだけ回りを見てから言った。



『そうじゃな。わしだったらあれじゃな』


と、一個のガラスの置物を指して言った。


それはイルカが輪をくぐる瞬間の置物だった。


「(なるほど、春姫趣味いいな)」


値段はガラスなだけに結構したがそれでも女の子だったらもらってうれしいはずだと、俺は美保ちゃんに内緒でその置物を買うことにした。



せっかくなので、二頭の白くまがキスをしているぬいぐるみをハルカたちに買ってあげることにした。



そして、もうひとつぬいぐるみも買った。



イルカショーは開演時間よりも前に到着したのにも関わらず、満員御礼だった。


俺たちはかろうじて席を取ることができた。



ショーはイルカだけじゃなく、クジラやアシカなども芸をしていておもしろかった。


このショーが人気の意味が分かる気がした。



動物たちが芸をするたびに美保ちゃんが歓声を上げているのが、これまたかわいかった。




ショーは一時間で、あっという間に終わってしまった。


それから見ていないエリアを見たりしていると周りはすっかり暗く、時間はもうすぐ七時になろうかというところだった。


水族館の閉園時間は夜の八時なので俺たちはそこを出て、近くのレストランで夕ご飯を食べることにした。



「美保ちゃんて飲める?」


太一が手でお酒を飲むジェスチャーをして言った。


「ちょっと!美保はあんまお酒飲まないんだから」


綾ちゃんがそう言いながら俺を目で叱る。



「太一。俺が付き合うから。な」


俺たちが入ったレストランは洋風居酒屋といった雰囲気のおしゃれな所だった。



たくさんの種類のお酒が置いてあった。



太一とは、時々学校の帰りに酒を飲んだりしていたので、太一のペースは分かっているつもりだったのだが、普段あまり酔うことのない太一がベロンベロンに酔っ払ってしまった。



「俺はうれしいんだよ~」


太一はそう言ってテーブルに突っ伏してしまった。


俺はそんな太一を見てうれしかった。


こんなになるまで喜んでくれた。



しかし、たちが悪い…。



さすがに終電が無くなりそうだと言う話になり、俺が太一を家まで送っていくことになり、最寄の駅で二人とは別れた。






「今日はありがとうな。春姫」


無事太一を家まで送り、家についてから早速俺は春姫にお礼を言った。


「はい。これ、今日付き合ってくれたお礼」


そう言って俺は春姫にペンギンのぬいぐるみを差し出した。


俺がペンギンのぬいぐるみを選んだのは、春姫がペンギンをずっと見ていたからだ。



『わしにもくれるのか。ありがとう』


いつも大人びたことを言う春姫もこういう時は子供の表情になる。



「春姫、いい話をしてやるな。ペンギンの親って、交代交代に卵を温めるんだ。ペンギンのいる南極はすごく寒いんだけど、親は一生懸命卵が凍えないように温めるんだよ。すごいよな」


『ほう。"母は強し"というものじゃな』


春姫はペンギンのぬいぐるみを見ながら言った。



きっと春姫はあの防空壕の中のことを思い出しているのだろう。


自分を守ることができず、産んであげられなかった親がどんなに辛く、悲しい思いをしたのか。



ずっとペンギンのぬいぐるみから目を離さない春姫を見て俺もその春姫をずっと見ていた。






はい。



お疲れ様でした。



次回はいよいよ新しい章です。



そう!何を隠そう美保ちゃんとのドライブデートを書きます。




乞うご期待ですにゃ★





それではInBanさんは飲みに行って来ます。




バイバInBan。










お疲れ様。


InBanです。



突然ですが、私の相棒が昨日さらわれました。


これで実は二回目なんです。


今回は辛うじて阻止できました。



しかし、前回は見事にさらわれてしまい、取り返すのに3千円かかってしまいました。


でも、私の足となり、時には重い荷物を持ってくれ、ヘタレな男よりも活躍してくれた相棒なので、3千円くらい惜しくはありません。


はいっ!



自転車のことです。



来年も私のために働いて頂きたいものです。



それでは待ちに待った本題に入りたいと思います。









『今時純情』    ⑥



この観覧車は一周二十分もかかるので美保ちゃんと話をするのには充分だと思う。


でっも、さすがにまだ一回も男の子と付き合ったことのない美保ちゃんと話をするのは緊張してしまう。


だから強い味方の春姫がいるのだ。


良い年した大人の男が子供のしかも、幽霊の春姫に頼るなんて格好悪いが仕方ない。


俺だってまだまだ経験が浅いのだから。



観覧車乗り場はすごい混雑だった。


このほとんどがカップルなので、太一は歯を食いしばってくやしがっていた。


綾ちゃんもこのカップルの多さに驚いていた。



やっと俺たちの順番がきたのはそれから一時間後のことだった。


「やっと順番来たよ~。マジ罰ゲームかと思った…」


太一は肩を音が鳴るくらい回し、疲れた表情を見せた。


俺は美保ちゃんの気が変らないか心配だったが、俺は美保ちゃんと、太一は綾ちゃんと観覧車に乗ることになった。





「緊張しない?」


俺は目の前に座った美保ちゃんを気遣いながら言うと、美保ちゃんは思いのほか落ち着いた表情で頷いた。


それを見て俺も安心した。


「……」


しかし、それからしばらく沈黙が続いてしまった。


美保ちゃんはだんだん遠ざかって行く景色を楽しそうに見ていた。


でも、俺はその沈黙が嫌ではなかった。



『アツヤ!』


カップルだったらこういう時、隣同士で座るのだろう。


『アツヤ!!』


あの時もそうだった。


俺は景色を眺める美保ちゃんの横顔が好きだった。


透き通った白い肌に、キレイな鼻筋と長いまつげ。


『アツヤ!!!』


「(なんだよっ!春姫。さっきから)」


春姫があまりにもしつこく話し掛けるものだから、俺は応えざるを得なかった。


『話し掛けろ!何をしておるのじゃ』


 

観覧車はもうてっぺんまに到着するといったところまで差し掛かっていた。



「(話すったって何から話したらいいんだよ…美保ちゃんは男の人とあまり話したことないみたいだし、いつもみんなに話すみたいにはいかないだろ)」



分かっている。


春姫の言うとおり、美保ちゃんと話をする機会なんてそうないだろう。


これは良いチャンスなのだ。


というか、そのために観覧車に乗ったのだ。



「美保ちゃん、景色見るの好きなの?」


「え!?」


今まで景色を夢中といった様子の美保ちゃんが、ハッと我に返ったよう俺を見て言った。


「ええ…まあ。なんていうのかしら、私のクセなの」


「クセ?」


美保ちゃんは俺のほうに体が向くように座り直して話し始めた。


「私、前にアナタ…」


そう言ってから美保ちゃんは口ごもってしまった。



『アツヤ…。名前じゃ。美保に自己紹介しろ』


「あ!俺の事はアツヤでいいよ」


俺が春姫に言われ、改めて自己紹介すると、美保ちゃんは少し恥ずかしそうな顔をした。


「アツヤ君…?」


ヤバい。超かわいい。


美保ちゃんは少し首をかしげて俺の名前を呼んでくれた。



「で、なんだっけ?」


「ええ。それで私…アツヤ君に助けてもらったでしょう?その前も時々痴漢に遭っていたの。でも、私何も言えなくて、ずっと景色を見ていたの」


「それで景色を見ていたのか」



俺は納得したが、美保ちゃんは悲しい顔をした。


「ええ。景色を見ていれば、痴漢に遭った気持ちを紛らわせる事ができるし、痴漢に遭っている自分の顔を見られなく済むでしょう」



切ない話だった。


俺が好きだったあの横顔は、実は自分が痴漢に遭っている顔を隠すために付いてしまったクセだったなんて。


しかも、俺に遭う前から痴漢に遭っていたなんて。



「今まで男の人と付き合ったことないのはそれが理由だったりするの?」


「え?なんでそのことを?」


「綾ちゃんが言ってたんだ」


「うん…みんながそういう人ばかりじゃないことは分かっているけど」


「仕方ないよ。痴漢に遭ったら誰だって男性不信になるよ。俺だってなるもの」



俺は美保ちゃんが気まずくならない空気を作ることにした。



だって、自分が痴漢に遭ったということを俺に話すなんて、きっとものすごく勇樹がいることだったはず。


こんなことを思うのは美保ちゃんに失礼かもしれないけど、俺なんかに打ち明けてくれてうれしかった。



「ありがとうね。俺なんかに話してくれてさ。恥ずかしかったでしょ?」


俺は男で、痴漢に遭った事なんてないから、痴漢に遭って嫌な思いをしている子の気持ちは俺の想像以上だと思う。



なのに、まだ会って間もないこの俺にここまで打ち明けてくれた。



「ねえ、あの…美保ちゃんて呼んでいい?」


「え!あ…はい」


美保ちゃんは嬉しそうに笑った。



「俺の事は怖いと思う?ここでいうのもアレだけど」


こんな密室で言うと、美保ちゃんは意識してしまうかと怖かった気持ちはあったが、俺はハッキリさせたかった。


美保ちゃんの次の言葉がドキドキする。


なんて返ってくるのか。



「いいえ。アツヤ君は違うわ。怖いとは感じない。きちんと私のことを考えてくれているでしょう?水族館の時だって私に気を配っていたことも知っていたし、あの友達に話しかけられて困っているときも私を助けてくれたでしょう?」



俺はそれだけですごく嬉しかった。


言葉ひとつでこんなにも変るものなのかと思った。



『アツヤ。キスしろ』


「は!??」


春姫のお陰で俺は夢から覚めることができた。


でも、全然うれしくない。



『だって、お主。観覧車の頂上でキスするのは定番じゃろう?』



春姫は何を見たのか、どこで覚えたのか知らないが、恋人同士が頂上でキスをする光景を思い出し、俺たちにもそうしろと言ってきた。



だが、俺たちは今日初めて遊ぶ。


それに当然ながら恋人同士ではない。



「(キスはまだ早いだろ。今日の目的はキスじゃないの!)」


『ならもっと美保のことを知るように質問しろ』



春姫に言われ、俺は美保ちゃんともっと話をすることにした。


「あのさ、美保ちゃんは兄弟いるの?」


「私は一人っ子よ」



美保ちゃんは快く俺に応えてくれた。


「そうなんだ。しっかりしてそうだから長女かと思ったよ



「アツヤ君は?」


美保ちゃんも質問した。


「俺は上に姉がいるんだ。もうやりたい放題の姉さんだよ」


「いいなあ。私もお姉さん欲しかった」


美保ちゃんは笑った。


俺は続けてもっと質問した。



「美保ちゃんは休日は何をしてるの?バイトとかしてる?」


「バイトはしてないの。休日はドライブとかしているかな。私好きなの。昼間でも夜でも好きな時間にドライブするのが」



美保ちゃんがドライブが好きなんて意外だった。


『どこにドライブに行くのか聞け』


春姫が俺を呷った。


「どこに行くの?」


「好きなところよ。車田と少し遠くても気軽に行けるものね」



『今度ドライブに誘え』


春姫が言う。


俺はさっきから春姫の言うとおりに話をしている。


ちょっとおもしろかった。



「じゃあさ、今度ドライブ行かない?」


さりげなく誘えた事に自分で自分を褒めてあげたかった。


すると美保ちゃんは笑顔で「行きたい」とOKしてくれた。



なんかアッサリだったので驚いてしまった。


「なんか私アツヤ君とだったら安心できるの。不思議ね」


美保ちゃんの笑顔は天使のようだった。







はい。


ここまで読んで下さった皆様。


お疲れ様でした。



アツヤ君。良かったですね。



次回は最終章です。



それではそれまで良い夢を。。。。。。



バイバInBan。













メリクリプレゼントInBanです。


今日は早速本題に入って参りたいと思います。


InBanからの小さなプレゼントですドキドキチェキッ。


受け取って。サンタさぁぁぁん音譜




※休憩をはさみながら、寛大な御心でご覧頂きたい





『14.  今時純情』   ⑥



水族館はここから少し歩いたところにある。


日曜日なだけあって同じ駅を降りた人のほとんどが水族館を目指していた。


「スッゲー人だな」


『なあ、水族館てどういうところなんだ?』



春姫が隣で水族館へ向かう人の波を見ながら聞いた。


そういえば春姫は外の世界のことはあまり知らないのかもしれない。


春姫があの部屋から出られるのは札を剥がした人とだけなのだから。



「(水族館ていうのはな、海の生物がたくさんいるところだよ。おもしろいぜ。春姫楽しみにしてろよ)」


春姫はワクワクした表情をしたので、俺は嬉しくなった。



「アツヤ。何嬉しそうな顔してんだよ。せっかちめ」


太一につつかれハッと我に返った。


そうだ。春姫の存在はここに居る誰も知らないのだ。




館内はとても広く、いくつものエリアに分かれていた。


俺たちはまず入り口付近の熱帯魚エリアにいた。


熱帯魚の水槽は大きく、色とりどりの鮮やかな熱帯魚たちが気持ち良さそうに泳いでいる。


階層がユラユラ揺れ、その中から小さなエビが顔を出したり引っ込めたりしている。



水族館なんて何年ぶりかと思うくらい来ていないので、このように美しい世界に見入っていた。


「美保ちゃん。あの中だと何が好き?」


「え?」


あの野郎…


太一は美保ちゃんに早速接触してきた。



せっかくきれいな世界に見入っていた美保ちゃんはこの迷惑な男のせいで現実の世界に引き戻されてしまった。


「はぁ~い。アタシ。アシカ好き」


綾ちゃんが割って入ってきた。


「ふ~ん。で、美保ちゃんは?」


太一は綾ちゃんを無視する形で美保ちゃんに質問を繰り返す。


「私もアシカ好きです」


美保ちゃんは少し困ったように答えた。


「美保も好きなんだよね~」


「じゃあじゃあ、美保ちゃんは何か動物飼ってたりする?」


「アタシはチワワ飼いたい!」


「美保ちゃんは?」


「私?私は」


「美保は猫派なんだよね」


おもしろいのが太一の質問に全て綾ちゃんが答えていることだ。


「どんな猫が好き?」


「美保は、アメショーだよね」


「う…うん」



「じゃあさ、美保ちゃんは…」

「ああ~!!もう、太一こっち!」


今まで黙って見ていたが、もう美保ちゃんがかわいそうなので、太一をヒトデやカニがいる水槽のところに連れて行った。



「どういうつもりだよっ!まだ会って少ししか経ってないのにそんなに質問攻めしたら向こうも困るだろうが」


俺は太一に小声で厳重注意した。


最初の印象が悪いときっともう会ってくれなくなる。


「分かったよ。ちょっと焦っちゃったかもね」


「焦ったもなにも太一が一人で突っ走りすぎなんだよ」


「てへっ☆」


「かわいくない(怒)」


太一へのお説教を終え、美穂ちゃん達のところに戻った。



「なあなあ。あっち行ってみねえ?」


懲りない太一が指した方向には海獣エリアの標識があった。


シロクマやアザラシ、そして、美保ちゃんの好きなアシカもいた。



しかし、真っ先に向かったのは綾ちゃんだった。


運のいいことにちょうどアシカたちのゴハンタイムらしく、飼育員がゴハンをあげている光景が見れた。


「見てみて~。美保、マジかわいい」


綾ちゃんはご機嫌だった。


「アツヤ~、あいつ魚丸のみしてるぜ」


そして、なぜか太一も。



そんな中、美保ちゃんの様子を見ることに夢中だった。


退屈していないか、疲れていないか。



『アツヤ。あれはなんじゃ?』


春姫がガラスの向こうを見ながら言った。


その先にはピョコピョコ歩いているペンギンの姿があった。


「(あれは、ペンギンだよ。鳥なんだよ)」


『お主は物知りじゃな』


春姫は感心したように言った。


その後も春姫はずっとペンギンを見ていた。


確かに春姫はペンギンを見る機会なんてないだろう。



「ねえ、あのさ、アツヤ君」


俺のジャケットの裾を掴んで話し掛けて来たのは綾ちゃんだった。


そして、俺をラッコのいる水槽に連れて行くと話し始めた。



「あのさ、分かってるか知らないけど美保はまだ男の子と付き合ったことないの。だから男の子が何考えてるか知らないわけ。だから、優しくしてあげて欲しいの。美保にあの男はキツいよ。あの子かなり困ってるからね。我慢してるんだから」



綾ちゃんの言葉で説明が付いた。


太一の質問に綾ちゃんが口を挟むのは美保ちゃんを守るためだったのだと。


「俺はてっきり太一の事が好きなのかと思ったよ」


「ふざけんな!!キライだよ!あんな男」


綾ちゃんにキライ!だとはっきり言われ、太一とはいい友達である俺としては少々気まずい…


話を戻して、確かに美保ちゃんは俺と二人で遊ぶ事にあんなにためらっていたくらいなのだから、男の子と付き合ったことがないと言われてもそれなりに納得がいった。


美保ちゃんを守れるのは俺しかいないのだ。


そう思った。



「なにやってんだ?」


太一が聞いてきた。


俺がいない間に美保ちゃんにちょっかい出してないかしつこく聞くと、太一は素直に何もしてないと答えたので信じることにした。


「なあ、お腹空かねえ?」


太一が時計を見ながら言った。



もうお昼の時間だった。


俺たちは最上階のレストランで昼食を取る事にした。


そこはイタリアンのバイキングで、眼下にはイルカショーが見れた。


「超~おいしい♪」


綾ちゃんは数種類ある料理の中から好きなものだけを選んで皿に盛っていた。



「美保ちゃんてベジタリアンなの?」


太一が美保ちゃんの皿に野菜しか盛っていないのを見て聞いた。


「緊張してるんだよね。美保」



綾ちゃんが言った。


「そうかもしれないね」


そう言った美保ちゃんがすごくかわいかった。


『アツヤ。あの子いい子じゃな』


春姫も美保ちゃんを誉めた。


しかし、この男はやってくれた。



「食べなよ~!これあげる」


太一は自分の皿に盛ったものを美保ちゃんの皿に移そうとしたので、俺は慌てて止めた。


「なんで止んだよアツヤ」


「太一の女好きの菌が美保ちゃんに伝染って、美保ちゃんが遊び人になったら大変だから」



俺は冷や冷やしていた。


それは美保ちゃんが明らかに嫌そうな顔をしていたからだ。


ただでさえ、美保ちゃんは男の人にいい印象を持っていないのだから。



「太一君だって全然食べてないじゃん」


「ああ。こいつはもともとあんま食べないんだよ。こいつは酒さえあればいいの」


「違うよアツヤ。緊張し・て・る・の」


「太一言っていい?」


「なに?」



「ウザい」


「はい…」



太一は静かにジュースを飲んだ。


「美保ちゃんイルカショー好きなの?見る?」


俺はイルカショーをちらちら見ている美保ちゃんに気付き話しかけた。


俺たちはそれぞれ向かい合って座っているので、美保ちゃんの様子が良く見えるのだ。



「イルカって頭いいよね」


美保ちゃんはイルカショーから目を離さないで言った。


「行ってみようか」


美保ちゃんの喜ぶ顔が見たい俺はまだ食べたりないような顔をしている綾ちゃんを説得して、イルカショーのやっている会場へ向かった。



しかし、イルカショーは終ってしまっていた。


「終っちゃったね」


次の公演までまだ時間がある。


なので、俺たちはまだ見学していないエリアを見ることにした。



歩いて行くと大きな全面に大きな水槽のある場所に着いた。


そこにはたくさんの魚が泳いでいて、まるで海の中にいるようだった。



ふと、隣の春姫を見ると、魚に夢中で思わず笑ってしまった。


春姫のこういう子供らしい一面はあまり見れないので、嬉しかった。


『何がおかしい?アツヤ』


「(別にぃ。あっ!あの魚は鯛だよ)」


『ほう。あれは食べたらおいしいのか?』


「(お刺身にして食べると美味いね)」


俺は春姫に話し掛けた。



「なあなあ。観覧車乗らない?」


「は?」


また太一が変なことを言い出した。


そして、こんな提案も。



「せっかくだし、二人ずつ乗ろうよ」


と、俺にウインクして見せた。


俺が感謝するとでも思っているのか?こいつは。



『お主、良かったではないか。これで美保と好きなだけ話ができるぞ。観覧車は密室なのじゃろ?』


春姫は含み笑いをして言った。


子供のする顔じゃないだろう…。


「(でも…春姫)」


『言葉はわしに任せろ』


「(そんなことじゃなくて…)」


『美保なら大丈夫じゃ』


そう春姫が言うので美保ちゃんを見ると、彼女は嬉しそうだった。


え?嬉しそう?


「私も観覧車乗りたかった!乗ろう。綾」


「え?」



綾ちゃんと俺の「え?」はほぼ同時だったはず。


美保ちゃんは女の子と男の子に分かれて観覧車に乗るのだと思っているようだ。


もちろん綾ちゃんはそう思っていない。


「美保…あのね」


と、綾ちゃんが美保ちゃんに説明してやっと美保ちゃんは理解したようだ。



しかし、やはり不安そうな顔だった。


「やめようか」


少々もったいないとは思ったが、美保ちゃんがいやなら仕方がない。



今日は美保ちゃんに嫌な思いをさせるために来たのではないのだから。


『アツヤいいのか?』


春姫は言う。本当は良くない。



「いいわよ。一緒に乗りましょう」


と、美保ちゃんはなんと、俺に向かってそう言ってくれた。



まだ、俺と美保ちゃんが一緒に乗ると決まったわけではないのに。



超嬉しかった。






はい。



疲れましたでしょう?



今日はスペシャルなんで、普段の戯言は削除してお届けしました。



しかし、また次回からはいつものように始りますので御覚悟を( ̄▽+ ̄*)




それでは良い夢を。。。。。。



バイバInBan。