YAHyahこんにちは。
それでは早速前回の予告どおりアツヤ君と美保ちゃんのクリスマスの物語をお送り致します。
みなさんはどんなクリスマスを過ごしましたか?
InBanさんのクリスマスはもう同情を引く結果となりましたね![]()
アツヤ君はどんなクリスマスを考えたんでしょうか。
『23. 路地裏クリスマス・キャロル』 ①
『すっかり冬じゃな』
ポツリと春姫が外の景色を見ながら呟いた。
『冬といったらクリスマスじゃな。アツヤ』
企みを秘めた笑顔浮かべた春姫が俺のほうを見て言った。
「そうだな。去年は俺ずっとバイトだったな」
俺のバイトしている店は、目立たない場所にあるとはいえ季節の行事なるとどこから情報が入ってくるのか、店は満員御礼の状態になる。
そのせいで彼女のいない人は強制的にシフトインしなければならないのだ。
『今年は美保と過ごすのだろう?』
ここまで春姫が言えば、おのずと言わんとしていることは分かる。
「春姫…子供クセに」
春姫のこのオマセな考えはいつからなのだろう…。
街は一ヶ月前くらいからクリスマス一色だった。
あちらこちらでクリスマスのイルミネーションやサンタクロースの人形は飾られている。
俺はというと、本屋でクリスマスの特集の載っている本を探しているところだった。
クリスマスはこの季節では欠かせない大イベントなので、どの雑誌にも特集として大きく取り上げられている。
探すのは簡単だった。
でも、美保ちゃん俺もあまり人ごみが好きではない。
しかし、クリスマスに外へ出るとどこへ行っても人ごみは必至だ。
クリスマスまであと一週間あまりなのに、俺はまだどこへ行くか、なにをするかも決めていなかった。
とりあえずクリスマスの特集の載っている雑誌を二冊買ってそのままバイト先に向かった。
「アツヤ。お前クリスマスは美保と過ごすんだろ?」
隼人さんがハンバーグにデミグラスソースをかけ、隣ににんじんといんげんのソテーを添えながら言った。
「はい。あっ!もしかして家族で過ごそうとしてました?」
「いやいや。そうじゃないんだ。あのさ、ひとつ頼みがあるんだけど」
隼人さんは持っていたトングを置いて言った。
「もうデートプラン決めちゃってる?」
お昼と三時のおやつの時間以外はあまり混まないこの店はこうして雑談できる余裕すらあるのだ。
「いえ…まだ何も決めてなくて。今日クリスマス特集の本を買って参考にするつもりです」
「じゃあ、良かった。まだ何も決めてないんだったらディナーはこの店でしないか?美保にさ、俺の料理食べさせたくて」
隼人さんはそう言って、まだ試作品のチキンのソテーと香草のサラダをくれた。
「うまいです。いつ作ってたんですか?」
「暇なときに作ったりしてたんだよ。マスターがさ、クリスマスのメニュー考えてって言われてたから」
「てゆーか、美保ちゃんこの店来たことないんですか?」
「実はな。今まで恥ずかしくて連れて来てなかったんだ。でもさ、やっぱ一回くらいは食べさせたいじゃん?」
隼人さんは恥ずかしそうに笑った。
「分かりました。そういうことなら」
「サンキュー。じゃあさ、七時くらいに来てくれよ」
「了解しました」
隼人さんはそれからまた今夜に備えて料理の支度に取り掛かった。
マスターが最初に考案したクリスマス料理が大好評だったみたいで、去年は予約いっぱいだったので、きっと今年も忙しくなるだろう。
だから隼人さんは出勤しなくてはならない。
しかも、今年は隼人さんが考案した料理も出るらしいし。
「アツヤは初めてだよな」
不意に下ごしらえをしていた隼人さんが質問をした。
「彼女とクリスマス過ごすの」
「え…ええ」
と、答えた俺はその調子でクリスマスのプランの相談をしようかと考えた。
「俺、それで隼人さんに相談しようと思ってまして。隼人さんはどんなクリスマスを過ごしてるんですか?彼女と」
俺がそう質問すると、隼人さんは作業している手を再開して考え込んだ。
「アツヤ」
「はい」
「正直俺もあんまり経験無いんだ。この仕事してるとあまり彼女のために時間取れなくてさ。だから偉そうなことは言えないんだ」
笑いながら隼人さんは言った。
「でもな」
隼人さんは真剣な顔になって言った。
「美保はかなりお前のことを気に入ってるみたいだから何をしても喜んでくれると思うぞ。ちなみに俺の最近のクリスマスは家でDVD鑑賞だったな。南極物語」
「ハハ。それ彼女喜びました?」
「ああ。喜んだ、喜んだ」
いくらなんでも大好きな美保ちゃんと家で南極物語を見るのももったいない気がする。
だが、俺の頭には何も浮かんで来ない。
家に帰っても同じだった。
『DVD見ればよいではないか』
春姫がそんな俺を見て言った。
「そんな…恥ずかしいじゃんか。春姫いるんだし」
『安心しろ。わしは空気の読める幽霊だぞ』
「春姫っておもしろいよな」
俺はと言うと、さっきから春姫と話しながら、クリスマス特集の本をめくっている。
春姫の一緒にその雑誌を見ているが、その雑誌についてのコメントは無かった。
俺がしていることについていつも興味津々な春姫にしては珍しいとは思った。
「なあ。春姫」
『なんじゃ?』
俺は春姫に「何かアドバイスは無いか?」と、聞きたかったが、その気持ちを押し殺した。
俺にだって一応プライドというものがあるからだ。
そりゃあ、春姫には今までたくさん助けてもらったし、いいアドバイスももらっている。
でも、春姫は子供で、俺は大人だ。
いつまでも子供のお世話になっては面目が立たないという気持ちが強かった。
「なんでもないや」
と、その言葉を飲み込んだ。
そして、その気持ちをごまかすためにタバコを吸うことにした。
『……』
春姫は何も言わなかった。
はい。
誰もが一度は経験しているような話で始まりました。
InBanさんはこういう経験している人すら羨ましいですけどね。
ほっとけっ!!!!
(`Δ´)
気になる続きはまた次回。
次の章で会いましょう。
バイバInBan。