さて、彼氏いないくせに書いちゃってる小説ももうすぐ最終章を迎えます。



そろ②私も本気で彼氏作ろうかと思いまして、これが終わったらしばらくまたお休みを頂きます。




次の小説を書くころには彼氏いるといいね。



そうだね。



頑張るよ。。。。。。。( ̄ー ̄;













『世界の終わりを、キミと…』



20.



カナと別れて、俺はサチと二人きりになった。


サチと二人になることは今では珍しいことではない。



帰り道や、部屋ではいつも二人きりだったし、二人でいることはむしろ多いほうだったと思う。



しかし、今日に限っては初めて二人なったような緊張感が漂う。



と、いうのも、サチがさっきから何も話さないからだ。



『どうしたんだ?サチ』


俺は心配になったのと、気まずさが限界に達したのでサチに聞いた。


『まだ足が痛むのか?』



痛むわけが無い。


もう完治している。


サチは俺が顔を見れないような角度で俯いている。



『サチ。俺はサチと話したいよ』


すると、サチは足を止めた。


必然と俺も足を止める。



「優しい言葉をかけないで。別れが辛くなるわ」


サチの目にはすでに涙が溢れている。


さっきから我慢していたんだな。



今日でサチは退院だ。


と、いうことは俺もこの世から去る。



俺はもともと自殺した身だ。


この世から居なくなりたくてあのビルから飛んだんだ。



居なくなることに何の未練なんて無いと思っていた。



だが、サチと出会っていろんなことに悩み、怒り、悲しみ、葛藤して様々な経験をしたせいで、すっかり名残惜しくなってしまった。



それサチも同じだった。


俺はきっとサチが初めて心を開いた相手だろう。


俺には何でも打ち明けてくれた。



俺はサチがどんな言葉を言っても、どんなことをしても、全て受け止めてきたし、サチも俺の事を信頼してくれたからこそ、色んな話をしてくれた。



この短い時間は俺たちにとってかけがえのない大切な日々となった。



こんなことおもしろい話だと思う。


生きている人間と、もう死んでしまった人間が同じ時間を過ごしているなんて。


滑稽な光景だろう。



でも、サチにとっても、俺にとっても現実の話だ。



『サチ。手を貸して』


俺は今ならサチの手を借りて字が書ける気がした。


俺はサチの手を借り、サチのギブスにエリ達のようにメッセージを書いた。



メッセージを書くサチの手に一粒の雫が落ちた。


「行かないで。哲郎、私、まだ哲朗から勇気をもらえてないわ」


サチは泣いていた。



その大きな瞳から涙が流れている。


俺はサチの手から離れ、笑顔でいた。



サチを少しでも安心させたかった。


俺だって辛い。


離れたくは無い。



おかしなことだが、きっと昔の俺ならそんなことすら思わなかっただろう。


不思議だな。



『そうだな。まだまだサチには勇気が必要かもな。でも、これからは俺から勇気をもらうんじゃなくてエリちゃんたちからもらうんだ。彼女たちは生きている。それは俺にないものだ。サチだっていつか自分も人に与えられるようにならなきゃな』



サチは泣いていたが、黙って俺の話を聞いている。


いつだってサチは俺の話を黙って聞いてくれる。


初めてサチと会った時だってそうだった。



『サチ。今まで楽しかったよ』


俺は今までのことを振り返りながら言った。


過去の記憶があまり無い俺にとって一番新しい思い出となったサチとの時間を。



最後に俺はサチにナイショにしていたことを話すことにした。



『サチ。あのな、俺は自殺した日サチがあの廃屋で呼び出した天使と会ったんだ。今俺がここでサチと一緒に居るのはあの天使のおかげなんだ。最初は突然言われて、なんで死んでまで人の面倒見ないといけないんだと。って思ってたけど、こうしてサチと一緒にいて、話しているうちにサチのことがだんだん可愛く思えてきて、本当に守ってやりたいと思うようになった。カナとこうして最後に思いが伝えられたのはサチのおかげだよ。ありがとう』



沈み始めた夕日の赤でサチの顔も赤く染まっていた。


もうすぐ夜が始る。



『あのさ、サチ。最後なんだから俺も、サチから何か聞きたいんだけど…』



「わ…」


すると、サチは涙声だったが俺に話してくれた。


「私も、哲朗に逢えて良かったわ。本当よ。ほんの短い時間だったけれど、哲朗は私にたくさんのモノをくれたわ。全て私の宝物よ。哲朗は私がどんな辛い時だっていつも側にいてくれたし、優しい言葉をかけてくれた。その度に私は救われたの。私の方こそ言い尽くせないくらいのありがとうを言いたいわ」



『もう充分だよ。サチ』


俺はサチの涙を手で拭った。


拭えないことは分かっていても、自然と手がそう伸びた。



サチはまだ若い。


これからサチはたくさん恋をするだろう。


大切な人と出会うだろう。



サチは言った。


「哲朗。最後のひとつだけ…」



そう言ったサチは顔を赤くしていた。


『なに?』


俺もそんなサチを見て、年甲斐もなく照れてしまった。


「最後にキスをしてください」


サチに急にそう言われ、俺は何を言っていいのか分からなくなってしまった。


頭が真っ白になってしまった。


しかし、サチを見ると、すごく勇気を出して言ったのだと思い、俺も誠実に対応する事にした。


『じゃあ、サチ。目を閉じて』


俺がそう言うと、サチはキュッと目を閉じた。



俺はサチの方に手を置いた。


実際には置くフリをした。


サチの心臓がすごい速さで鼓動しているのを感じる。



俺はそんなサチの唇にキスをした。



『哲朗』


天使の声がする。


『じゃあな。サチ』


唇を離し、俺はサチに手を振った。



『アナタの罪は許されたわ』


天使が言う。


俺は天使について行った。




天使に連れられ、俺の体は中を舞い、やがて雲の中に入って行った。


雲の中はキラキラしていて暖かかった。



『(ここが天国か?あったけ~)』



ふと下を見た。


下ではサチが崩れるようにして泣いていた。


俺はすごく心配になったが、今のサチは一人じゃない。


たくさんの友達も家族もいる。



だから安心する事にした。



急に辺りが光った。


俺はそれが眩しくて、目を閉じた。










はい。



次回とう②感動のラスト。



お楽しみ下さい。



バイバInBan。








“縁”っていいですね。



昨日の飲み会で改めてそう思いましたよ。



昨日は知り合いの子の送別会で二次会まで行ってしまいました。



楽しかったですよ。



感動しましたし。



そこは“縁”の繋がりで集まった人たちばかりで、基本私は人見知りなのですが、かまわず初めての人たちとも話したり、番号交換したりと、いやぁ~InBan頑張ったね。










『世界の終わりを、キミと…』


19.



俺は今、カナと一緒にいる。


でも、カナには当然ながら俺が見えないから、俺は今あの天使の力を借りてサチの体を通してカナと話をする。



俺はあの時、カナを失ってしまった現実に耐えられなくて自殺した。


だが、あの時言えなかった言葉はまだカナに伝えていない。



だから、サチの体を借りて今、ここに居るのだ。



たった、一言。


「愛してる」と言うために。





暖かな風に吹かれて、カナは長い髪を揺らした。


「話って何?サチちゃん」


カナはくるりとサチのほうに向きなって言った。



一面海を見渡せる丘は夕日がとてもキレイだ。


その夕日を見るためだけにここへ来た事もあった。


耳を澄まさなくても聞こえる波の音や、海鳥の声を聞いていると穏やかな気持ちになれた。


今もそういう気持ちだった。


サチの鼓動を聞いていると、生きていることを証明している。



「あ…あのカナさん結婚するんですか?」


俺はカナの指の指輪を見て、結婚するのかと思い、質問した。


「え?」


カナは驚いて聞いた。


「だって指輪してましたから」


「ああ。これね。そうなの。今年の冬に式を挙げるわ。でも…」


と、カナはなんと車のダッシュボードからもうひとつの指輪を取り出した。


「そ…」



と、俺はそこで声を大きくしてしまったが、冷静に戻った。


「それはなんですか?」



その指輪は俺がこの丘でカナにあげたものだったからだ



「アタシいつもこの指輪を持ち歩いてるの。サチちゃんに見せたくて。これはね、哲朗がこの丘でアタシにくれたのもなの。本当は、この海に捨てようと思っているんだけど、勇気が無くて…」



カナは困ったように笑った。



「ごめんな。サチちゃんの話ってなに?」


カナはサチに言った。


そうだ。


ここに来るために俺はカナに話があると言っていたのだ。


「はい。でも、私はカナさんの話を聞きたいです」


俺はカナが何を言うのか気になり、俺の話は後にした。


「そうね…ここまで話したから聞いてもらおうかな…」



カナは笑った。


「アタシね、哲朗が死んだって聞かされたとき、自分のせいだと思った。アタシが馬鹿だったから。アタシがもっと強く親を説得していれば、事故にあって哲朗を忘れる事もなかった。あんなに楽しかった事を忘れる事も…」


カナの目から涙が出てきた。


「アタシ、あんなに好きだった哲朗を忘れた自分が嫌い。許せない!!」



カナは俺の事を思い出してくれていた。


そして、それからずっと自分を責めていたのだ。



「ごめんなさいね。サチちゃんには何を言っているのか分からないわよね。なんでサチちゃんにこんな話…」


カナは涙を拭いて海の方へ向きを変えた。


大きく伸びをした。



俺は知っている。



カナは泣いている。


カナのクセは自分の泣き顔を相手に見せないようにして泣くこと。


俺は生きていた時、カナが落ち着くまでずっと髪を撫でてあげていた。



俺はもうサチのフリをするのをやめた。



ここまで来たのだ。


今、思いを伝えるときだと思った。



「カナ…」


「え?」



カナは驚いている。



しかし、俺は続ける。


「いいんだ。そのままで聞いて欲しい」


カナはサチを背にして俺の言葉を聞いている。


「俺はずっとカナは俺のことを忘れているのだと思っていた。でも、ちゃんと思い出してくれていたんだな。俺はそれだけで嬉しかったよ。なにも自分を責める事はないんだ。安心して自分の道を進んで欲しい」



カナは肩を震わせている。


俺はサチの声を通してしかカナに思いを伝えられない。



歯がゆい気持ちと、伝えたいという気持ちは同じくらい大きかった。



「俺は忘れない。だからカナも一年の間に一回でもいいから俺の事を思い出して欲しい。俺とここに居たこと。俺と話してたってこと」



俺は言いながら声が震えていた。



きっと泣きそうになっているのだ。



この後の言葉が言えない。


言ってしまったら俺は認めてしまう。



死んでしまったことを。



なんであの時、あのビルから俺は…飛び降りてしまったのだろう。



「俺は…」


『哲朗』



天使が俺の方を押した。



「俺はもう、この世に居ないから…もう、カナと一緒に居られないから」



「てつ…ろう」



「でも、生まれ変わってカナに会いに行く。だから、カナは幸せになっていて欲しい」


生まれ変わると言った。



天使が言った言葉を。



「哲朗!!!」



カナが振り向いた。


俺はサチの体を通してカナを抱きしめた。



「カナ…」



「なに?」


「俺があげたあの指輪。貸してもらっていい?」



俺はカナが握り締めている手から指輪を受け取った。


「これは俺が持って行く。カナはその新しい指輪を大事にして」



俺はカナの新しい指輪を一回撫でた。



「今の彼は良いやつ?」


カナは俺の胸に顔を預けたまま答える。


「哲朗なんかよりも、ブサイクだし…背だって低いし…」


「それで?」



俺はかなからこの後の言葉が聞きたかった。



「良いやつよ。哲朗なんかよりもずっと…」


「良かった。これで安心して逝ける」



「哲朗…」


震えた声でカナが俺の名前を呼ぶ。


俺は伝えたかった言葉をカナに伝える。



「最後にカナの声が聞けて良かった。あの時のことはカナ、お前が悪いんじゃない。誰も悪くないんだ。だから自分を責めないで欲しい」



カナの髪に指を入れると、するりと指が髪から抜けていく。


「あと、最後にひとつ」


俺はあの時に質問をした。


丘の上でカナが俺にした質問だ。



「明日世界が終るとしたら、カナは誰と居たい?」


ああ。


もう日が沈もうとしている。


俺の体も消えようとしている。



残酷だな。


この手の届くところにカナが居るのに。



「当たり前じゃん。哲朗とだよ」


「カナ…」



カナを抱きしめる手に力が入ってしまう。


「照れるね」


「ばか…」



「じゃあな。カナ、幸せに」



カナの目を見た。



カナもサチの目を見た。


静かに頷く。



カナはサチの体を通して、俺は感じてくれたに違いない。


「カナ。愛している。どうか幸せでいて」


俺は言えなかった言葉をカナに伝えた。




今まで向き合えなかったこと。


苦しくて、切なくて、忘れたいと思っていた過去は、現実となって消化できただろうか。



自分の墓の前で、貴志と会ったとき、貴志の話を聞いたとき、そのときからきっと俺の時間は動いていたのかもしれない。



俺は生きている時、自分とあまり向き合えていなかった。



ああ。


いいもんだな、向き合うっていうのも。



「哲朗。アタシはまだ哲朗に言い足りない事がたくさんあるの。ありがとうって…」



「カナさん」


「サ…チちゃん」


俺はサチの体から抜け、カナを見ている。



カナはサチに戻ったのを見て、きょとんとした。


俺がサチの体を使えていた時間は終った。



サチはカナに言った。



「哲郎さんはイジメられていた私にもたくさんの勇気をくれました。私は言っても言っても言い足りないくらいの、たくさんありがとうって言いたいです。そんな哲郎さんに愛されたカナさんは幸せ者です」



カナは照れ笑いをした。


「哲朗はまだそこに居るかしら?」


「居るわよ。聞いて自慢しているわ。俺の彼女いいやつだろって」



サチに言われ、カナは俺を探しているようにキョロキョロしていた。


俺はそんなカナをサチの隣で見ている。



「居たらこう伝えて。アタシ哲朗の分も幸せになるって。だから、生まれ変わったら会いに来てって」


「ええ。伝えるわ。っていうか、聞いているわ」


「あはは。そうね」


サチは笑った。


暖かな風が吹く。



「サチちゃん」



カナが車のドアを開けて待っている。


「カナさん。実は私今日退院の日なんです」



「え!そうなの?おめでとう。ごめんなさい、アタシ知らないで…」


「いいえ。いいんです。病院母に連絡して荷物を全部持って帰ってもらい、私はここから帰ります」



サチは母親にカナと出かけてから帰ると言った。


母親はカナが一緒ならいいかと、荷物を持って帰ってくれると言った。



「アタシはまたリハビリに励むわ。サチちゃん元気で。最初は哲朗が居るって信じられなかったけど、哲朗はいつもサチちゃんと居たのね。夢みたいだったわ」


二人は握手をして別れた。



サチはカナの車が見えなくなるまで見送った。



そろそろ夏を迎えようとしている草花が暖かな風に吹かれて揺れているこの丘を、サチの目にも焼きついたらいいと思った。







はい。



次回はとうとう最終章です。




バイバInBan。






































今日の衝撃的な出来事!!!!




それは私がお昼ごはんを食べていた時のことでした。


私は今日マクドナルドでのランチでした。ちなみに大好きなチキンフィレオです。



そのとき隣の席から大変興味深い会話が。



♂① 「お前、ノリコのことどう思ってんだよ」


♂② 「は?別にまあちょっといいかなって…」


♂① 「お前だったらいけると思うけどな」


♂③ 「お前は少し遊んでる女のほうがいいじゃないか?」



こんな会話が聞こえてたらどんなイイメンズか気になるものじゃない。



隣の会話はさらにヒートUPする。



♂② 「でもさ、実際俺が付き合うじゃん。リエがどう思うかな?」


リエという女もキープしてんのか?こいつ。


ノリコにしとけよ。



♂① 「いや、お前はノリコだろう」



この①はノリコをやけに推す。



♂③ 「リエじゃ弱いかな」



③よ。何様だ。




しかし、この①はさぞかしイイMENなのだろうな。



私は、なんの躊躇も無く振り返った。



イイMENだったら声かけよう。


仕事中でも気にするな。


お客様と待ち合わせしてるけど気にするな。



私はかなり堂々と振り向いた。


拝んでやる。



「?怒」


なんだこいつら。



私の隣はまさに秋葉原だった。


秋葉原からやって来た戦士たちが、なにを血迷ったか女の話をしていた。



何がいけない?って思うかもしれない。


が、そもそもそこがいけないでしょ。



なにがノリコだよ。



リエじゃ弱いだよっ!



誰の話をしてるんだ。


私の時間を返せーーーーーーーーー!!!!!











『世界の終わりを、キミと…』


19.


こんなにも広い世界だから


迷うこともあるはず


立ち止まってしまう事だって


諦めてしまう事だって あったはず



だけど


その間に暖め続けた 奇跡たちは


いつか 叶う日を待ってる


それは キレイな


眩しいほどに キレイな光になって







俺はサチの言葉に甘えて、今サチと一緒に居る。


そして、カナの病室へ向かった。


カナにもう一度話をするために。


(はぁ~緊張する)



「サチちゃん。話?」


カナはサチを見るなり聞いた。


もちろんカナは俺とサチが今、入れ替わっているのを知らない。



そう、それは数分前。


俺がサチの声を借りると言ったとき、天使は俺にこう言った。


『アタシはこれからアナタにひとつの奇跡を起こす。それはアナタが今までサチのために動いてくれたことに対してのお礼よ。アナタは今から神田倖として恋人のところへ行きなさい』


そのおかげで今俺はカナと話す機会をもらった。



「じ…実は、カナさんにもう一度あの丘に連れてってもらいたくて…」


俺は不自然じゃないように気をつけながらサチの口でカナを誘い出した。



「ええ。あの時、サチちゃん帰っちゃったから心配だったのよ。もしかしたら気分を害したんじゃないかって」


「いいえ!そんなこと無いです。あの場所いいですね」



俺は自分で言いながら恥ずかしかった。


なんたってあの場所を見つけて、カナに教えたのは俺だ。


あの場所を見つけたとき、あの場所でプロポーズをするって決めていたのだ。



カナはもう一度外出許可を取り、あの場所へ案内してくれた。


いつもなら俺が運転している車。


「カナさんはいつ免許取ったんですか?」


俺はこの話し方に慣れるようにカナに質問をした。



「高校三年生のときよ。大学がすぐに決まってしまって暇だったから」


車の中はカナの好きな曲が流れている。


カナはその曲に合わせて指を動かしている。



カナは決まってこの局を選ぶ。


「カナさん。この曲いいですね」



俺がそう言うと。カナは満足したような笑顔を見せた。


「ありがとう。これはアタシのお気に入りの曲なの。ドライブするときはいつもこれを一番にかけるわね」



カナのおかげで俺もドライブといえばこの曲だと思っている。



「カナさんは何か趣味とかあります?」


「趣味か。読書かしらね」


「好きな作家さんとかいます?」


「いないわね。ジャンルとかも特に気にしてないかな」



「お勧めとかあります?」


「フフ…」



突然カナが噴出した。


「どうしたんですか?」



俺が驚いて聞くと、カナは照れるように笑った。



「ごめんなさいね。なんかサチチャンが哲朗みたいだったから」



「え?」


俺は最初カナが何を言っているのか本当に分からなかったが、少しして、俺がいつもカナが寝ないように話しかけまくっていたことを思い出した。



知らないうちにそのクセが出ていたのだ。



「着いたわ」


思いのほか、道が空いていたので目的地にはすぐに着いた。



俺がカナにプロポーズをしたあの丘に。








はい。



感動のラストはじっくりとお届けします。



次回もお楽しみに。




バイバInBan。





「(哲朗。何であの時帰りたいって言ったの?)」


次の日も、サチは同じ質問ばかりを言う。



俺としては、せっかくの時間を有効に使いたいのに。



俺はこれ以上カナといると変な気が起きてしまうので、サチに病室に戻るように頼んだ。


昨日の話しだ。


サチは素直に俺の言うとおりに戻ってくれたが、それでも何か心に引っかかるところがあったのだろう。


それでこの質問をしたわけだ。



『も…もういいだろ。サチ。これ以上あの場にいると俺が辛いんだ』


俺は弱音を吐いた。



そうでもしないとサチは分かってくれなそうだったからだ。


でも、今回のサチは違った。


「(ダメよ。哲朗。私やっぱり思ったの。せっかくカナさんは全て思い出しているのよ。これはチャンスじゃない!)」 


『何がチャンスなんだよ…いいんだって』


俺は何とかサチに分かってもらいたかった。



いや…そりゃ、俺だってカナが全て思い出しているなんて思っても見なかったから驚いている。



これは奇跡なのかもしれないと。



でも、全て遅い。


カナが俺のことを思い出してくれていてももとのようにはならない。



それは俺が一番よく分かっている。


受け入れたくない。


このまま終わらせたいんだ。



「(私がイジメられているときに勇気をくれたのは哲朗よ。私だってそんな哲朗の力になりたいの)」


サチの意志は強かった。


『でも、サチの時と今は違うよ』



俺の言葉も力ないものだった。


カナに言わないほうがいいじゃないか。


言ったらカナだって悲しむ。


ただでさえ、自分のせいで俺が自殺したと責めているのに追い討ちをかけるようなことになる。



俺だって、カナと同じ思いをする。


俺は今、ギリギリのところにいた。


あと少しで感情が爆発しそうだった。



頼むよ、サチ。


このまま静かにさせてくれ。



しかし、サチは俺の言って欲しくない言葉を言ってしまった。



「(哲朗。後悔しているんでしょう。死んでしまったこと)」


俺はその言葉で爆発してしまった。



『ああ、そうだよ。サチには分からないよ。自殺したやつのことなんて。サチには相談する相手がいるだろう。力を貸してくれる相手だっていた。サチには俺の気持ちは分からない。キレイごとはうんざりなんだ。そんなこと言われたってこの現実が変わることは無いだろ。俺がいくら後悔したって、カナに謝ったって俺が生き返るわけじゃない。俺はもうこの世にはいないし、明日には完全に消えるんだ。だったら静かに逝かせてくれ!』



俺は幽霊なのに泣いた。


肉体なんか無いのに涙が止まらない。



溢れてくる。



俺がつい感情的になってしまいサチに言ってしまったので、サチはビックリした目で俺を見ている。


俺は冷静になって話し続けた。



『ああ…ごめん。サチ。でもな、カナはこれから幸せになる権利があるんだ。生きている以上、俺のことなんか忘れて、誰かを愛するはずだ。それでいい。サチもカナもそれでいいんだ』


俺は少し投げやりにそう言った。



「(いいえ。そんなの悲しいわ。なんで死んでしまった人に幸せは無いのよ?哲朗はあんなに私のために考えたりしてくれたのよ。充分幸せになる権利があるじゃない。それでも幸せになれないなんて神さまは残酷よ。そんな神さまだったらいなくていいわ)」



サチがそう言い放った。



『サチ…』



俺がサチの名前を呼んだ瞬間、辺りがまたゆっくりと動き始めた。



『哲朗。なぜアナタは自分を犠牲にしたがる?なぜ、幸せを望まない?自殺してしまったものに確かに安静は無いかもしれない。自己嫌悪と罪悪感を抱くことになる。だが、後悔して亡くなったのなら生まれ変わる時の光にすればいい』



天使が言う。


『アナタは自殺をした日、一度だけ躊躇しただろう?あの時何を望んだ?神なんて信じていなかったのだろう?なのに、あの時、神に“逢いたい”と望んだのだろう』



“神さま…もしも、この世に神がいて、願い事を叶えてくれるならひとつだけ。もう一回、あの人に会わせてくれないか…



俺はあの時、確かに願った。



『悔いて死んだものは誰もが後悔を抱えている。だからこそ、生まれ変われるんだ。思いを遂げるために生きるんだ。人とは贅沢なものだな。こうして、何度も彼らは生を受ける』



「哲朗」


サチの声に我に返った。


天使の姿はなくなっていた。



「(哲朗。私の声を使ってカナさんと話をして欲しいの)」


『え?』



「(私ね、いつも思っていたの。哲朗に助けてもらった日からずっと。私にも哲朗の力になれることがあるんじゃないかって。たとえ、哲郎がこの世にいなくてもこうして居られたじゃない。関係ないわ。生きていようと死んでいようと。足りないのならその分を補え合えばいいのよ)」



サチは強い目で俺を見ている。


迷いなんて無いのだろう。



「(だから哲朗が私の声を使ってエリたちに言ったように、カナさんにも思いを伝えて欲しいの)」


サチは以前からは想像もつかないくらい変わった。


こんなこと以前だったら言えなかっただろう。



サチは強くなった。



『哲朗。最後のチャンスだぞ』



天使が後押しする。




もしかしたら、俺は知っていたのかもしれない。


決めていたのかもしれない。


どうすればこんな俺でもカナに思いを伝えられるのかを。



だけど、それはサチを使ってしまうことになってしまう。



だから、目を瞑っていたんだ。



『…サチ。ありがとう。お前の声を少し借りるな』





明日、俺はこの世から去る。









はい。



次回はとうとう感動のラストです。



お見逃しなく!!!




バイバInBan。







どうも~(*^▽^*)InBanです。



ちょっと今日は個人的にご機嫌です♪



なにがあったかはHIMITUです。←ウザい…



今日は大切な17章最後の回ですので、要Cheak!だぜ。









『世界の終わりを、キミと…』



17.


サチはカナを落ち着かせるために一旦車に戻った。


「ごめんね。サチちゃん。こんなつもりじゃなかったのに…」


カナは落ち込んでいた。



サチを喜ばせるためにこの丘に来たのに逆にサチを心配させてしまったのだから。


「私は気にしてないです。でも…」



「でも?」



カナはサチの続きが気になっていた。


「でも、なぜカナさんは泣いていたのか気になります」


サチはカナを見て言った。


「そうだね。気になるよね」



カナは苦笑した。


困ったような笑顔だった。



「あのね」


そう言って、カナはなぜ泣いていたのか話し始めた。



「アタシには、心に決めた人がいたの。結婚を誓ったのよ。その人を本気で好きだったわ。でもね、アタシには父が決めた結婚相手がいた。も、彼は必死に結婚を認めてもらうために父に話した。だけど、父は分かってくれなかった



それは遠い、俺の中には残る記憶だった。


たくさんの失われてしまった記憶の中で、唯一鮮明に残る記憶。



「だからアタシは駆け落ちをした。もちろん、彼は最後まで駆け落ちに反対だった。きちんと話をするって言ってくれた。彼は変に優しいところがあるの。すごくひどいことを言われても決して父を責めない。アタシは彼が父にそんなことを言われるのが耐えられなくて、駆け落ちをした」



サチはカナのほうに向きを変えて話を聞いている。


また、カナの目から涙が零れ落ちた。


俺は何もできない手を強く握っていた。



「駆け落ちの日、これでうまくいくと思っていた。でも、父に見つかってしまった」


俺の頭にはあの時の映像が今でも思い出すことができる。


俺はカナの父親に殴られ、車道に突き飛ばされた。



「彼は父に殴られて、車道に突き飛ばされてしまった。アタシは夢中だった。車に轢かれそうになった彼を助けようと必死だったの」



俺はカナに背をむけ、波の音を必死に聞こうと努めた。



遠くの景色だけを見ようと。



「気が付いたら病室だった」



「それで、その人は…?」


カナはサチの質問に少し間を空けて答えた。



「亡くなったの。それを知ったのはつい最近。悲しいことね。アタシはそれまでの記憶が無くて彼と一緒にいたのに、彼がなくなったことすら知らなかった。いえ、彼の存在を覚えていなかったの。悔しいわ」



カナは言葉を少し強くした。


「アタシがこうなってしまったのは自分のせいだって思ったのよ。自分を責めたんだわ。そんな…ことないのに。哲朗は悪くない!どうして、自分を責めてしまったのか。アタシこそ死んでいるべきだったわ」



カナは崩れて泣いた。


俺は言いたかった。



自分を責めたんじゃない。


逃げたかっただけだと。



楽になりたくて死を選んだんだと。


自分を責めて、苦しむくらいの強さは俺にはなかった。


「カナさん…」



『サチ』


サチと俺はほぼ同時に声をかけた。



サチは俺のほうを見る。



『頼む。早く帰ろうと言ってくれ』



俺はこれ以上、カナと一緒にいられない。


昔の俺だったらきっと、そうは思わなかった。



自分のことだけを考えていたと思う。



でも、今の俺はそれ以外の感情がある。


カナのために生きてやりたいと思ってしまう。



死んだことを後悔してしまう。



その感情につぶされてしまう。



怖かった。



その感情が大きくなると、俺はどうなってしまうのか。



サチとも一緒にいられなくなってしまう気がした。



だから、早くこの場を去りたかった。



カナと一緒にいてはいけない。



これ以上、カナの顔を見てはいけない。











はい。



17章はここで終わりです。



なんということか。



カナは哲朗とのことをしっかりと思い出していたのです。



しかし、時すでに遅し。


片方はもうこの世にはいません。


そんななか、サチの取った行動とは…



気になる最終話まであと少し。



それではバイバInBan。