先日は「天と地と」と「SEIMEI」の相違点について、海外のM様のご考察を記事にさせていただきました。
とくれば今度は、「羽生結弦の流麗な滑り」を美しい日本語の調べに変換した文章…そんな考察を読んでみたくなりませんか?
そして「流麗典雅な」とくれば、決まって私が脳裏に思い浮かべるのは、コラムニスト・太田龍子さまの文章なのです。
今日は、太田龍子さまの「天と地と」コラムを紹介させていただきます。(全日本のFSに感銘を受けられ年明け早々の1月5日にnotoに発表されました)↓
遥かに上がるや雲の羽風 羽生結弦の「天と地と」
以下に、冒頭と最後の部分のみ抜粋させていただきますm(_ _)m↓
2020年12月26日フィギュアスケート全日本選手権男子シングルフリー最終滑走。
勇壮な金管の調べとともにきりりと頭を挙げ、出陣した羽生結弦。曲は上杉謙信を主人公とした海音寺潮五郎原作の大河ドラマ「天と地と」のテーマだ。8の字を描くように滑らかに周回し、すいっと離氷するや細い軸を作ってくるくると4回転ループを回り、ふわりと氷上に降り立った。荘重な琵琶の響きが場面転換を告げるが、羽生のスケーティングは途切れない。左右の腕の流れるような所作で天地を鎮めつつ、入り組んだトランジッションを経て飛び立つようなサルコウジャンプ。4回転のはずだがまるで3回転ジャンプのように軽やかだ。
まったくミスしそうな気配がない、何かが乗り移ったような安定感。
燦ざめく陽光を思わせる琴の爪音よりもさらに華やかなトリプルアクセル&両手を挙げたダブルトウループのコンボを見せ、ひと呼吸したかどうかいうほどのわずかな間の後に跳ぶのは3回転ループ。どのジャンプも複雑な調べにピタリと揃っている。そしてフライングから繊細な変化が目を奪う足替えコンボスピン。本当にどうやって呼吸しているのか。
大きく上体をしならせ、旋回し、風を操るかのように舞いながら、片足だけの煌びやかなターンとステップが続く。そよぐ前髪までが振付の一部ではないかと思うほどに情景を際立たせる。翻る衣装の手元、なびく裾が羽衣のよう。軍神にしては甘すぎる彩りだがおそらく「天」を象徴しているのだろう。霞たなびくような空色を背景に少しエキゾチックな曲線をなして金糸で縫い取られた枝、ふっくらと淡く彩られた花々は室町末期に武将たちが好んだという辻が花染めの沙羅双樹に似て、背に遊ぶ二羽の鳥が愛らしい。
揺蕩(たゆた)うようなしなやかさは飛天を思わせるけれど、微塵の隙もなく空間を制圧し続ける鋭い表情とオーラは天軍を率いる毘沙門天、それとも冷徹にして美麗なヴァルキューレか。
後半に入ってもまったく揺らがない見事な運びで4回転+3回転の連続トウループ、さらには破壊的な4回転トウループ&オイラー&3回転サルコウを披露し、叫ぶことを許されていない観衆を翻弄する。高らかに突き上げた左手は勝利を宣言するかのようだ。ジャンプの理想を体現するようなトリプルアクセルからツイズルへ、そして羽生結弦を象徴するイナバウアー、ハイドロブレーディングで作品にくっきりと署名を残し、荘厳な琵琶の響きに乗って素晴らしい制御力を見せつつ留めの2つのスピンへと入って行く。
繊細な手の動きに装飾され、撥音とともにポジションチェンジする典雅な回転。まるで弾き手がこの場で羽生の動き追って弾じているかのようにシンクロしている。
回りながらするすると姿勢を伸ばし、花弁がほどける様に上体を反らせた羽生は両腕を高く差し伸べ、天を仰いで舞納めた。
まさに
神は上がらせ給いけり
の姿だった。
(中略)
春の花見、花の宴の始まりは、鎮花祭、すなわち花鎮めだという説がある。春先から疫病が流行ることが多かった古代から中世にかけ、春の終わり、散る花とともに悪疫が広がると考えた人々は「やすらえ花よ」、すなわち「花よ 散るな」と祈り、歌い、舞った。紆余曲折を経てこれまでとは様々に異なる形で、苦難の2020年の最後に開催された今大会。沙羅双樹の花を背負って舞った羽生もまた時代の祈りに共鳴・共振しているように思える。苛烈な戦に生きつつ平穏と魂の救済を求めたという上杉謙信の物語として始まる羽生結弦の「天と地と」だが、その終わりは、まるで災厄が鎮まることを願って神楽を舞納めたかのように見えた。
今回はコロナ禍によって歓声やプーシャワーが許されなかったためか、演技終了後の緊張感も少し違っていた。羽生は表情を引き締めたまま四方に深く礼をし、一瞬、初期の「SEIMEI」でしていたバッククロスロールを見せてからリンクを去った。その足取りが邪気を祓わんとする反閇に見えたのは私だけだろうか。
振り付けがリモートだったこともあり、ショート、フリーの2曲とも羽生自身が大きく携わったと聞いた。対面と違い微妙なやり取りができにくい状態で、羽生自身が動きやすくしっくりと収まるタイミングを図り、曲と振り付けの双方を自らの呼吸に合わせて調整していったのかもしれないと想像した。大変な鍛錬を経て仕上げているのだろうけれど、まるで曲も振り付けも掌の上で自在に転がしているかに見える。細かい動きなどはこれからさらに洗練されていくことだろう。音楽にもスケート技術にも傑出していればこそで、当面の間これを超えるものを見せられるのは羽生本人を置いていないに違いない。アスリートだけにもアーティストだけにも、ほかのどんな枠にも収まりきらない、稀有なる発信力を備えた大きな才能。この苦難の時代にあっても輝き続けてくれることが何より嬉しい。
![照れ](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/007.png)
まさに、「神は上がらせ給ひけり」の瞬間です。
体操の内村さんも気にかけて見守ってくださっているお一人。
![爆笑](https://stat100.ameba.jp/blog/ucs/img/char/char3/001.png)
P.S.
それにしても、キス&クライでのWINNIE THE POOHとの寸劇はとんでもなかった。POOHが滑り落ち、羽生が「あ…」とそれを見下ろした瞬間からの絶妙な間。彼がどうするのかと数億の目が吸い寄せられたことだろう。インタビューに答えるときとは全然違うスイートな声音でPOOHをいたわり、「ソーシャルディスタンス!」とアクリル板を隔てたコーチ席に座らせてツンと無邪気に頭をつついた姿に、世界中で「萌え」が炸裂する音が聞こえるようだった。彼が人類を骨抜きにするためにほかの星から送り込まれたハニートラップだとしたら、すべてはもう手遅れかもしれない。
「羽生結弦ハニートラップ説」⁉️
太田さま、最高です!全文同意です!
プーさんとソーシャルディスタンス
この時の羽生くんの仕草の可愛らしいこと❣️国宝級です。
太田さまのお言葉をお借りするならば、まさに「『萌え』が炸裂する」瞬間でしたね
プーコーチ!今シーズンも羽生くんを宜しくお願いしますm(_ _)m
↓My way of life(みか)さま、感謝してお借りします。
My way of life☺︎(みか)ロステレ断念😖@Mywayoflife12
羽生結弦にとって人生の同士プーさんと僕久しぶりに作りましたhttps://t.co/L1BQj82zZe https://t.co/UzqLdrIGb2
2021年09月20日 16:36
NHK杯プログラムの申し込み期限が17日まで延長されました。
NHK Trophy / NHK杯フィギュア@NHKTrophyFigure
大会公式プログラムのオンライン予約に多くのお申し込みをいただきありがとうございます。ご好評につき、受付期間を10月17日(日)23:59まで延長いたします。https://t.co/MH924Feccq #フィギュアスケート #NHK杯フィギュア #GPFigure
2021年10月12日 18:20
画像や動画や記事やTwitterは感謝してお借りしました。