事業再生に用いられる様々な手続について | 『売れプロ!』ブログ -「売れる」「稼げる」中小企業診断士に-

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はじめまして。売れプロ12期生の印南 威典(いんなみ たけのり)と申します。

 

 

今回、初投稿ですので、まずは簡単に自己紹介させて頂きます。

 

私は地方の国立大学を卒業後、地元の地方金融機関に勤める41歳で、妻と高校生になる息子、あと可愛い猫を2匹飼っており、充実した日々を過ごしております。

 

仕事は入社後ずっと営業店にて勤務しておりましたが、今年の7月に企業に対し業務改善支援を専門に行う部署に転勤となり、慣れない作業に悪戦苦闘する日々を過ごしております。

 

こんな私ですが、是非よろしくお願いいたします。

 

さて、テーマについてですが、中小企業再生についてシリーズ化してお送りしたいと思います。

(途中で変わったらすいません)

 

第1回は企業再生における様々な手続についてまとめてみました。

 

過剰債務等で資金繰りが圧迫され、不安になっている企業様に対し、どのような手続を利用して再生を図るかを理解いただく事は極めて重要なことですので、是非ご活用頂ければと思います。

 

≪企業再生に用いられる手続方法≫

1.法的整理手続:法律上の制度によって裁判所の関与の下に行われる手続

事業再生に用いられる法的整理手続は、現経営者がそのまま経営する民事再生手続とスポンサーを選定の上、運営する会社更生手続が一般的です。

その他、清算型は別会社へ事業譲渡・会社分割し、旧会社を清算する手法等があります。

【主な手続方法】

 再建型:会社更生手続、民事再生手続

 清算型:破産手続、特別清算手続

【法的整理手続のメリット】

  • 法律に基づいた手続の為、債権者に対し、手続参加や弁済禁止等の強制力がある。
  • 裁判所が関与する為、債務者に対して、債権者に対する善管注意義務や債権者平等の原則が課され、手続の透明性や公平性が高い。
  • 法廷多数の賛成により計画が成立し、成立後は反対した債権者にも効力を有する。

【法的整理手続きのデメリット】

  • 一般に公開される為、風評による事業価値の毀損につながる恐れがある。
  • 債権対象者を手続開始前に発生したすべての債権を対象としており、一般の商取引債権も弁済禁止の対象とする為、連鎖倒産や取引停止、取引条件の変更等で事業継続が困難となる可能性がある。

2.私的整理手続:裁判所の外で法律に基づかず債権者と債務者の合意で行われる手続

私的整理は本来、一定の方法やルールは存在しておりません。ただし、「私的整理ガイドライン」制定・公表以降、多数の準則化された私的整理手続が誕生しており、これを活用することが一般的となっております。

【主な手続方法】

 広義の私的整理手続:任意整理(債務者と債権者のみにより進められる純粋な私的整理)

 狭義の私的整理手続:私的整理ガイドライン制定・公表後、準則化された手続

  ① 私的整理に関するガイドライン

  ② RCC企業再生スキーム

  ③ 中小企業再生支援協議会スキーム

  ④ 事業再生ADR

  ⑤ 地域経済活性化支援機構(REVIC)

【私的整理手続きのメリット】

  • 原則非公開であり、秘密性が確保できる。
  • 対象債権者は金融機関のみであり、一般の商取引債権に公開した場合の弊害を避けることができる。

【私的整理手続のデメリット】

  •  法的拘束力がなく、裁判所も関与しない。
  •  法的拘束力を有する弁済禁止の効力は存在しない。
  •  計画成立は債権者全員の同意が必要であり、同意しない債権者に計画を強制できない。

 

中小企業者様にとって法的整理手続は自社の事業価値の毀損や商取引の変更による業況悪化となる可能性が高く、なかなか取りづらい手法ではないかと思われます。

 

一方、私的整理手続は第三者機関が手続を主宰することで手続の透明性、公共性の確保が図れる他、私的整理ガイドライン、RCC企業再生スキーム、事業再生ADRでは「一時停止の通知」、再生支援協議会スキームでは「返済猶予の要請」により事実上の弁済禁止効力を付与できることを踏まえると、私的整理手続を選択することが自然ではないかと思われます。

 

お忙しい中、最後までお読みいただきましてありがとうございました。

 

尚、参考文献として

藤原敬三(2023).『実践的中小企業再生論[第3版]』.一般財団法人 金融財政事情研究会 

を活用しております。興味のある方は是非お読みください。

 

 

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