一疋の青猫 -90ページ目

火を捨てるサル


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あれが阿多多羅山

あの光るのが阿武隈川




昨日 「千恵子抄」を 引いたので 少し気になって 調べてみると

やはり 安達太良山周辺も 最近では 当たり前になってきた

「 放射線量の測定結果 」 情報が

ここでも 告げられていた

山頂付近で やっと 事故前のレベルに 下がるようだ



千恵子の 「ほんとうの空」も 海も 山も 川も

汚されてしまった


*


ヒトを 道具を使うサル 火を使うサル と 例えるのは

間違いだそうだ 道具も火も 使えるサルが いるそうだ


*


最近 読んだ本から

原子力という 「 火 」 について 触れた一文を



*  *  *



人間が火を直接に手でつかんだり、身体と接触させたりすることは、自己破壊と死につながっている。火から距離を取り、それを対象化して性質と行動様式を認識し、制御することによってだけ、火と向きあい、火と親しむことができる。
(中略)
火という存在は、水や風とおなじく形なくつねに動いて止むことがない。それは宇宙の生成と共に生じ、生物一般に先き立って在ったものである。そうしたものとして、それは人間を超越している。その力は人間にとって両義性を持っている。生命と死、死と再生、生殖と殺戮、創造と破壊、加罰と浄化、愛と憎悪、希望と不安といった両義的象徴性を帯びている。

二〇世紀の中途までは、原子力エネルギーの利用は、人類の技術的達成の輝かしい成果として誇らかに語られた。原子物理学者は、現代のプロメテウスとして英雄視されさえした。
(中略)
しかし、火の両義性は、原子の火についても例外なくあらわれた。核兵器と原子力発電所事故が示したものは、そのとてつもない破壊力であった。だからこそ「平和利用」が大事だとして喧伝された原子力発電は、プルトニウム239やその同位体を副産物として生み出すものであった。それらは、恐るべき毒性をそなえ、放射能の半減期は、プルトニウム239の場合は二万四〇〇〇年という気の遠くなる時間である。この時間は、人間の歴史の時間を超越した時間である。プルトニウムの蓄積は、将来の世代に対して「わが亡き後に洪水よ来たれ」とばかりツケをまわす振舞である。

( 花崎 皋平 著 「個人/個人を超えるもの」 )



*  *  *




「 わが亡き後に 洪水よ来たれ 」



本書は およそ15年ほど前に 書かれており

まさか 比喩では無い 洪水(津波)が 来るとは 想像していなかっただろうが



私たちの使う「火」には いくつか種類があるが

およそ 使い方は 原子力と言え 大差はない

お湯を沸かして 蒸気を発生させる それだけだ

たかが そのために 核分裂反応を起こし 核分裂生成物を 生み出している

自らを 自ら食べる物を 自ら住む土地を 汚している

そんな やっかいで あぶない火は 要らない


いま


「火を捨てるサル」 こそ


ヒト であると


私は 言いたい






「 沈没船のモンキーガール 」 Dreams Come True

※ 一緒に沈んだ財宝は あなたと過ごした時間達・・・


とおい冬の日


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智恵子は東京に空が無いといふ

ほんとの空が見たいといふ



* * *



なんでも 揃っているはずの 東京に

ひとつ 足りないものが ふるさとだ



冷たい 冬の朝 記憶の空

あの頃の空は どんな色を していただろうか



仰げば 眼に飛び込む 白き稜線の連なりや

朝の光に 水面をきらめかす 滔々とした川の流れや


・・・


そして

また

ふるさとは いたる所に在る

古ぼけた商店街や 似たような建売の 窮屈そうな家並でも 構わない



眼に映る全てが ふるさとだった




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かつては ありふれて 見えた そんな風景が

心の深いところに 根を下ろしていることに いまさらながら 気づく

懐かしく 時に いとおしく 恨めしく また 胸苦しく



貧しい生まれも 豪奢な家の跡取も カドの商店の兄弟も 両親共に教師の娘も


人は その土地に 風景の中に 生まれるものでもある


慣れ親しんだ 土地の 空気を吸って 空を眺め 石を蹴って 風に吹かれる


その風は 今も・・・




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「 人間到る処青山有り 」


そんな 意気も なく 張った肩肘も 弛めて


身構えるでもない


私は よみがえる 風景の一部なのだから


とおく 今では


時折 吹き過ぎる 懐かしい匂いの風に


故郷の 面影を追って


酒に酔い 女に跪き(注) 旅を夢見て


いるのかも知れない



* * *



智恵子は遠くを見ながら言う

阿多多羅山の山の上に

毎日出ている青い空が

智恵子のほんとの空だという

あどけない空の話である。

( 高村光太郎 「あどけない話」 )



(注) 「跪き」は〈ひざまずき〉と読みます。間違え易いですが、決して「躓き」〈つまずき〉ではありませんよ(笑)





「 雪だより 」  松任谷由実

※ エッジのキズを息かけてみがく それは素敵な季節のはじまり・・・


なつかしの空


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まっ青な 空は

眩しすぎるから



やや 雲が多めの 空と

潮風に 洗われて 白く曇った



一枚の 硝子を

フィルターにして



玩具のヒコーキを

空に 飛ばした



一気に 上昇

反時計回りに 旋回して



子供の頃にみた

懐かしの空を 飛んだ










「 Manic Monday 」   Bangles