春宵感懐

雨が、あがつて、風が吹く。
雲が、流れる、月かくす。
みなさん、今夜は、春の宵。
なまあつたかい、風が吹く。
なんだか、深い、溜息が、
なんだかはるかな、幻想が、
湧くけど、それは、掴めない。
誰にも、それは、語れない。
誰にも、それは、語れない
ことだけれども、それこそが、
いのちだらうぢやないですか、
けれども、それは、示かせない……
かくて、人間、ひとりびとり、
こころで感じて、顔見合せれば
につこり笑ふといふほどの
ことして、一生、過ぎるんですねえ
雨が、あがつて、風が吹く。
雲が、流れる、月かくす。
みなさん、今夜は、春の宵。
なまあつたかい、風が吹く。
( 中原中也 「春宵感懐」 )

川を渡れば いつもの 横浜・野毛の街
店を 変える度
この川を 行ったり 来たり
酔いさまし というにも 川面を渡る風は まだ冷たい
けれども それすら
何度か 往復するうちに 構わなくなり
水面に揺れる ネオンを ぼうっと 眺めては また 次の店へ
お通しの 菜の花に 春を感じ
さくら色の 提灯に 春を感じ
通りを横切る 猫を見ても 春を感じ
「 春なんだねえ 」 と つい 呟く
もう そんな風に 春だと 感じてしまうと いろんな事が 許されてあるようで
キレイな お姉さんが 前を過ぎれば
そのまま うしろを ついていきたくなるけれど
そこは
ぐっと 堪えて
せめて その代わり
あと 一軒 立ち寄ってみよう
そんな うららかな 春の宵 なのです

「 無造作紳士 L'aquoiboniste 」 Jane Birkin
オペラ座の怪人 25周年記念公演 in LONDON

アンドリュー・ロイド=ウェバー 作曲のミュージカル 「オペラ座の怪人 The Phantom of the Opera 」
この作品については 何度か 取り上げていますが
昨年10月 その25周年を祝して ロンドン・ロイヤル・アルバート・ホールにて
ただ 2回のみ 記念公演が 行われました
通常の公演とは 演出 舞台装置も 異なり 出演者数も 舞台ながら 200人!
元々 その華やかさも 魅力の オペラ座~ だけに 期待してしまいます
特に 個人的には 2幕冒頭の仮面舞踏会 「マスカレード」のシーン
通常の演出では 人形を置いて 数を揃えるところも 全て生身
このシーンは 作中でも 最も 賑々しく
お正月は いつも これを観て 迎えられたらと 思っているくらい(笑)
実際 洩れ伝わる 評判も 上々のようです
*
こちらの作品が 有料放送( WOWOW )ですが 3月20日に オンエアされます
視聴可能な方は ぜひ ご覧下さいね
→ WOWOW 作品サイト 大胆に日付が間違っていますが(笑) 3月20日(火)
→ 25周年記念公演サイト
そしてまた 楽しみなのが カーテン・コール
作曲の ウェバーが登場し 更に オリジナル・キャスト 含む 歴代5人のファントム
そして オリジナルの クリスティーヌ役をつとめた ウェバーの元妻でもある(泣)
サラ・ブライトマンによる メドレーを聴くことができるようです 楽しみです^^
「 Masquerade 」 映画版 仮面舞踏会のシーン
25周年記念公演 カーテン・コール ウェバー そして、サラと5人のファントム
それにしても これを ナマで観られた人は うらやましすぎます
↓ ご覧になれない方は ディスクも発売されているようです 買ってしまうかも(笑)
オペラ座の怪人 25周年記念公演 in ロンドン [DVD]/ラミン・カリムルー,シエラ・ボーゲス,ハドリー・フレイザー

¥4,480
Amazon.co.jp
幸せな活字

先日 偶々通りかかった 古本屋の硝子
「閉店特売」 の 墨書に誘われた店内は 数人の客
「ご免なさい」 「すいません」 と
擦れ違う度に 声が掛る程 天井は低く 奥に細長い造り
ストーブで 焼かれた芋の 香ばしい匂いと 古書の匂い
かなり ご高齢と思われる ご夫婦で 営まれている
*
目に留まり 求めたのは ずっしりと重い 「国歌大観」 全二冊
謂わば 和歌の辞書 1901年に纏められた 国文学史上の労作
これから 数軒 飲みに行くという タイミングに 持ち歩くのを 躊躇しながら・・・
購入したものは 昭和6年の版であるから これでも およそ80年前の本
日に焼け 表紙には黴が生え・・・ 戦渦をくぐり抜けた 時間の重みも 加わっているよう

裏表紙をめくれば 「定価 貳拾八圓也」
80年の歳月に およそ 20倍の プレミアを付けて 購入(笑)
売れそうも無い 本が売れてか ちょっと目を大きくした 店番の おばあさんは
「おとうさん、おとうさん」 と ご主人を呼んで 売値を確認
全品半額 ということもあり 金額を告げる おばあさんの顔が 少し 悲しげで・・・

元の持ち主の 書き込みや 傍線が かなり多い
使ってナンボの辞書 これだけ使い込まれていれば 辞書もしあわせ
小説の決め台詞に 赤線 なんてのは 嫌だけど 使いこまれた辞書は 嫌いではない
思いがけない囲みに 持ち主の趣味や思い 学んだ跡が うかがわれたりして
本書も 後年 続編 新編 が出され デジタル化もされていて
辞書としては そろそろ 現役は引退かもしれないけれど・・・
*
いまでは インターネットが 大きな辞書 という人も少なく無いだろう
ネットを駆使して 必要な情報を得ることは 今の時代 必要なスキル
素早く 簡単に 「答え」を得るには よいのだろうけれど
じっくり ものを考えるには どうだろうかと 思ったりもする
写真や動画の 直接的に訴えかける力には 麻薬的なものがあるが
めんどくさく まどろっこしく じっくり モノについて考えることも 必要だと思う
辞書を引きながら 長文を読み 自分の頭で 考えて 答えを見つける
便利さに つい そういう作業を 怠りがちな気がする
情報が氾濫する 今だからこそ 自分の頭で考え 咀嚼し 選択し 判断する必要も
自分で考える 考えを深めるには 本や辞書は とても有効だと思います
安易に 解答を得るよりも その過程が大事であることは 数式を解くのと同じ
と 数学の苦手だった 私が言ってみました(笑)
*
昔から 本や活字は 大好きで 本屋の書棚を 眺めると 気持ちが落ち着きます(笑)
けれど 最近では 本屋を訪ねることも 少なくなりました
なぜなら 大抵の本屋は 並べられる本は どれも同じで
その品揃えは 「無残」 としか言いようが 無いからです
個性も無く 賞味期間の短い ベストセラー本 雑誌 漫画 ばかり
ホッと 気の抜ける本や 漫画も好きですが そればかりでもね
ベストセラーも 「○○する7つの法則」 「××しない生き方」 といった
下品なタイトルの あたかもそこに 答えがあるような 安易に答えが得られそうな
ビジネス書 自己啓発書 経済書 ハウツー 要約本 の類が多く
本屋の書棚からは 救われたがっている 依存したがっている 人々の
本に 安直な答えを求める 姿や 思いが 湧いてきてしまいます
・・・ま、ほんとは 私も できることなら 助けてもらいたいんですけどね(笑)
*
けれど 文学とは カッコいいもの カッコつけるもの ちょっと背伸びするもの
大好きな本に そんな 下衆な 役回りをさせる訳には いきません
本を買うだけなら アマゾンで済みます
けれど 本屋の棚を前に その背表紙を 眺めるひと時は また 別物なのです
知にあふれ 理がならぶ・・・
カッコ悪い 本屋の書棚を眺めては 悲しい気持ちになるのです
「 Moves Like Jagger 」 Maroon 5 ft. Christina Aguilera