そんな日には

悲しみは一つの果実てのひらの上に熟れつつ手渡しもせず
寺山修司
取り立てて なにか 悲しいというわけでもなく
ただ 佇んでいる
そんな日には 夕陽を追うのも 止めにして
一人 目の前の 海を眺めて
なにごともなく・・・
かざした手に 傾いた日は あかく
伸びた影は 連れ立つ 友のようで

熟れすぎた果実を 空に 放れば
ひろがる 波紋は 悲しみなるか
暗い 海の底に沈む 船のように
気付かないふりで 過ごした時間も
淋しく やさしい 色に 浮かびあがり
ひとり 淋しく ひとり かなしい
処分できない 古い写真のような
やっかいな 気持ちを ここに 抱いて
世の中は 全て
記憶喪失と 歴史修正 自己弁護と 開き直れば
冷ややかなる けものの 眼







