一疋の青猫 -60ページ目

垣間見る空


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椅子に座り

なにも考えず

シャッターを 切れば いつもの眺め


見上げる窓から

切り取られた空が いつもの空


偽善的で デリカシーに欠け 臆病でいて 傲慢な

外の世界を 遮断して 切り離す 窓


芳しく 美しく やさしく 清らかで 憧れに満ちた

外の世界へと つなぐ 窓


私は 都合よく ブラインドを 開け また 閉めて

その 向こう側を 垣間見る




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切り取られた空 わずかな欠片

私は 残されたピースを 想い描いては


唯一解を求める

ジグソーパズルのように


けれども


空は パラドックスとジレンマに 満たされ

盤面を埋めることは 叶わない


いつしか


夕闇に 最後の光 溢れて

今日と明日の 隙間を 垣間見る 夕暮れ




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そして


天と地の あわひは 閉じて

夜の領分


もう


眺めているだけは

やめにして・・・


光を 脱ぎ捨てた

あなたの


少し

汗ばんだ 背中に


そっと

触れてみる







「 夜の全裸 」   菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール







アザミの花~高原の夏の日


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高原の夏の日


ひんやりと 目覚める朝


山並みは遠く 朝靄は消えず


低い空に 呼応して 雨になった一日





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高原の夏の日は なぜだか淋しい


いつもの暮らしに溢れる


人と物が きしむ音を 聴かないせいだろうか


街の暮らしは 静寂を恐れている





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高原の夏の日は 別れの記憶に つながっている


畑の中をゆく 単線 二両編成の列車


白樺の樹皮は 書きかけて棄てた


破れた便箋のように 風に揺れている





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それでも 人は 愛するのでしょう


短く 儚い 夏と知っても


アザミの花が 夏の花であると 気付かれることも無く


時に 自分の棘で 傷つき 傷つけながら


光に 向かって その蕾を 開こうとするように




「 口をもて 霧吹くよりも こまかなる 雨に薊の 花はぬれけり 」  ※薊(アザミ)

長塚 節





「 あなたに届くように 」    松任谷由実

※ もう そちらでは夏のようですか また いつか訪ねてもいいですか・・・

紅萌 ~ くれなゐもゆる


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車を 端に 寄せて

自動販売機へと 百円玉を投じる


その

刹那

さえ


くれなゐは 見掛けよりも 大胆に

雲を染め 色を増す




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使い道も無さそうな 端切れのような 雲でさえ

律儀にも その 色に 染めて



坂道のよう 勢いは 緩むことなく



昼間は あれほど 頑なに

眩い光を 弾き返してみせた 海の面さえ

穏やかに その 色を

受け入れているように 見える



それは

空の 勝利なのか

それとも

海の 寛容なのか




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立ちすくむ

我が身すら 染められて

この 手のひらを

眺めて みれば



もう

考える必要は なにも無く

ただ

ただ

感じていればよい



空も 海も

私も



いずれ

程なく

闇へと

溶けてゆくのだから・・・









「 安里屋ユンタ 」   坂本龍一

※ 田草取るなら 十六夜月夜 二人で気兼ねも やれほに 水いらず・・・