ヨコハマ、たそがれ・・・て

遅めのランチ・・・だけの積もりで
けど
折角だし
少しだけ遠回りをして
駅まで
潮風に吹かれてゆこう
海を隔てて眺める 見慣れたスカイラインも
深まる秋に 輪郭を際立たせ
いつの間にか
切り取られた空は うっすらと
黄昏の色に染まりゆく

少しずつ
少しずつ
増してゆくその色彩は
弾かれた弦の美しき音楽にも似て
気がつけば
辺りを
私を
包み込むようにして
流れ出す旋律と 止まった時間
*
曲が終わるまで
歩き出すには まだ 間があるから

暮れても 胸に残る
駅へと続く道
ぽつり ぽつりと 明かりが灯る
家路を急ぐ人々と 路地へとこぼれてゆく人と
*
手書きのボードには 本日のおススメ
裏口には忙しそうなギャルソンエプロンで
担ぎ上げたボトルは甲高く鳴る

そう言えば
しばらく行ってないな
とか
そろそろボトルが
なんて
言い訳を踏み締めながら迷う街路樹の下
そんな風に
いつも通りに
黄昏てゆく ヨコハマの夜なのでした・・・
「 Soul Roots 」 Edward's World
東京駅・完結編(笑)

東へと向かう寝台列車の夜は
エンドレスな酒盛りへと突入も
心地よい規則的な揺れと音にいつしか夢の中
目が覚める頃には東京・・・
の
はずだったのに
「お客さん、お客さん、起きて下さい」
車掌らしき人に起こされて外を見るとまだ暗い
けれど 列車は停車しているようだ
状況が飲み込めないでいると
「大雪の為、運行停止となります」
名古屋の手前 愛知県内に入ったところで列車はストップ
ここから在来線で名古屋まで出れば新幹線は動いていると言う
半分寝ぼけたまま身支度を整えホームに降りると
真っ暗な中に駅名の表示のみが輝いていた
(やっぱり、夢なのか・・・)
そんな思いが過ぎった
なぜなら
見上げた看板の文字 特急の停まらぬはずのその駅名は
子供の頃 親の仕事の都合で ずっと住んでいた街の名前だったから
何年振りかで思いがけず降り立った懐かしい駅
辺りを見回すと駅前に灯るビルのネオンにも微かな記憶が・・・

ただ
感慨に耽っているような時間も無く
駅員に促されながら用意された臨時列車へと乗り込んだ
いつの間にか乗り合せた三人組とも離れ離れで
冬の明け方の冷気に目も覚めて
更に乗り換えた新幹線の車内は
壁の質感も照明の色も周りの乗客も
現実へと引き戻すに十分で
夜行列車のノスタルジックな甘さは消えた
そして
いよいよ 東京が近づくにつれ
現実が重く圧し掛かってくるようだった
散々 身勝手を繰り返して
許された受験も一校のみ
(落っこちたら、どうするんだろ)
どこか他人事のように
けれど
頭の隅からいつも消えずに
繰り返し浮かぶ
訳も無く
頭を振ってみたり
「あー」 なんて叫んでみたり
それでも
まさしく 列車で運ばれていくように
一見 物事は進んでゆくのだ
積荷は 希望よりも 不安や臆病で一杯だとしても
そして とうとう
東京へ 着いてしまった
春も近いと言うのに 季節はずれの大雪で
見渡す東京の風景は 予想通り真っ白だった
*
改札を出ると
交通マヒで大混乱の車の列と
人々の覚束ない足元を しばらく眺めていた
なんだか
いつもよりスピードを落とした東京が
少しだけやさしく迎えてくれているような気がして
こうして 慌しくも
ぼくの東京暮しは始まったのでした・・・
「 SUGAR TOWN はさよならの町 」 松任谷由実
※ ねえ 電話をかけてもいい? あと 一度だけ着いたかどうか・・・
東京駅

田舎育ちの私にとって「東京駅」は
終着駅であり 目的地であり
そして
故郷へとつながる始発駅でもある
大きな荷物で迷う姿も絵になって・・・
改装された駅舎を収めようとカメラを構える
駅前はみんなが「おのぼりさん」状態
もう 大昔ですが
大学受験を機に 上京した日を思い出す・・・
*
郷里の九州から東京ならば 飛行機で羽田というのが
当時も時間などを考えれば当たり前だったのだけれど
やはり!
夜行列車 軋むレールの音 窓に映る自分の影・・・
すっかり そんなイメージで 迷うことも無く寝台列車を選択
いわゆる ブルートレインというやつで
夕方に乗車 翌朝に東京着 当然 かなり時間も要する
座席は昼間は二人掛けが向かい合せのボックス席になっていて
夜は二段ベッドがふたつ 四人席と言う訳だ
アンダーラインを引きまくった赤本(!)と単語帳を手に (これは演出)
悲壮な面持ちで (これも演出) 乗り込んだ夜行列車のイメージは
しかし・・・
このボックスシートに乗り合せた三人組に もろくも崩された
いきなり焼酎を勧めてきた 人懐こそうな三人は
ほぼ同年代で 就職のため上京すると言う
乗車するなり車内販売が通過する毎に酒を買っていたのだが
「めんどくさい!」 と
車両の連結作業で わずか10分程停車した駅で 駅の表まで走り出て
一升瓶を仕入れて来た

「どんな仕事をするのだ?」 と尋ねると
「よくわからない」 と言う
「これなんだけど」 と 小さなカバンから取り出した一枚の紙には
『 採用通知書 』 と書かれており
『 職種 板金工 』 と記されてあった
ふと それを 私が声に出して読むと
「へ~、バンキンコウって読むんだ~」
「鉄を曲げたり叩いたりするらしいんだ」 と あっけらかんと言う
そんな風に ランチのメニューを決めるように(その時はそう思えた)
仕事を選択し 人生を決めていくことに 衝撃を受けたのを憶えている
多分に 違和感と 距離感を 感じつつ
しかし
彼らに あの時 他の選択肢はあったのだろうか・・・と
思い返すようになったのは
自身にもままならぬことを いくつか経験した後 いつ頃だったか
いい加減 それなりの時間を経て
決め切れないままに過ごして来てしまった自分と
線路が交差するように 反対に過ぎて行く影
過ぎた時間の中では 本当に ほんの一刹那
擦れ違った彼らは 今はどうしているんだろう
仕事にも自信と誇りが加わって 後輩にウンチクなど垂れているだろうか
それとも
懐かしい故郷に もう 帰っちゃったかな
そんなことを 思ったり・・・
懐かしの東京駅
*
巷では風邪が流行っているようです
私もさっそく・・・
今度のは ハナから来るようです
みなさま
ご自愛下さいませ
「 髪をほどいて 」 bird
※ あとでまたねと手を振った ガジュマルの木の下・・・