一疋の青猫 -150ページ目

香りの風景


$一疋の青猫


「風薫る」 は 春の花の香りであり

新緑の梢を渡る 風の匂い



春は 出会いと旅立ち 変化の季節

さまざまな香りが そこここに



新しい部屋 薄手のコート 卸したての革靴 電車のシート

気持ちを新たに と これまでとは 違う香りを

身に纏う方も いらっしゃるでしょう



緊張と不安 希望とやすらぎ・・・

あなたのもとへ 届く香りは どんな表情をつくるのか







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環境省の選定した 「かおり風景100選」


ってあるのを ご存知でしょうか?

全国の かおりにまつわる風景が 選定されている

役所がわざわざ つくるものなのか とも思いつつ 眺めて見ると

各県頭割りの匂いもするが 割と面白い チョイスもある

例えば 震災からの 復興の途上にある 東北では


「宮城県・宮古市 浄土ヶ浜の潮のかおり」


などが 選ばれている

浄土ヶ浜も 震災の影響は甚大で その景観を 大きく変えているようだ

人の力と 自然とで また 見事な 眺めを・・・




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その100選から 個人的に お勧めするならば







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「熊本県・天草市 河浦崎津天主堂と海」

である



熊本・天草も ほぼ南端

訪れるには かなり 大変なところ

海辺の 細い 曲がりくねった道を 時間をかけてゆく

夕暮れになれば 心細くもなりそうな 景色



けれども


幾遍もの カーブを経て


ふっと 


広がった空間 視界の先に


慄然とする程の 存在感をもって


あらわれる 教会の尖塔


初めて目にすると その神々しさに 言葉を失う



教会は 狭いV字の湾に へばりつくように

木造の民家に 埋もれるように 建っている

尖塔のみが その頭を 突き出している



海風の洗う 木造家屋の軒先には ぶら下げられた 干物の籠

背後の 港路は 漁船が かすめるように 往来する

漁網に手を入れる漁師 魚の入ったカゴを牽く老婆


教会を  尖塔を 

囲むように 慈しむように 暮らしがある



「神 ともにいまして・・・」


信仰は無くとも 賛美歌の そんなフレーズが 思い浮かぶ



聖と俗が 不思議に 穏やかな 一体をみせて 景観を成す



・・・・・・



キリシタン弾圧の 歴史もあり

そもそも 教会の敷地は 元は庄屋宅で 踏絵が行われていたそうだ

それでも 小さな漁村に 信仰は生きる


正月には 湾を進む漁船より 新年の祈りを 捧げるのだそうだ







香りにいざなわれて どこか 旅をしたい 季節です




崎津天主堂を紹介されている Washimo さんのページはこちら













ウォーター・マッシュルーム


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ウォーター・マッシュルーム

セリ科の水生植物



にょきにょきと 伸びた その姿から キノコの名前が

冬場は室内に置き 一年を通して 明るいグリーンを楽しめます





夏の水辺が 似合うから



来週の連休には 浅めの睡蓮鉢へ 移してやろうか









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さて これはなんでしょう

一見 単なる 石ころのようにもみえますが



まさに 石ころ



昨日 郷里より 送られてきた 荷物の底に

こんな石が 無数に 入っていた




そう




二年前 久し振りの 帰郷で

訪れた 懐かしい浜辺

戯れに 拾い集めた 小石だった





これらを 輝かせた 透きとおる水は ここには無いけど


手のひらに 乗せ その重さを 感じてみる


庭先にでも 忘れ置いていたのだろうか


どうして いまごろ・・・そう思うと ちょっと可笑しい


けれど 母の性格を思うと らしいな とも おもう


竹の子や漬けもの それらの隙間に 詰めたであろう 母の手





石ころの いとおしき 滑らかな感触


睡蓮鉢の底に しづかに 沈めてみようか





$一疋の青猫

たゆたう



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職人の 仕事部屋は

北向きに 設けられることが多い

太陽の陽がまわらず

一日 穏やかな光を得られるからだ

障子なども 光を奥の間へと取り込む

伝統的な 工夫のひとつだ

陰影礼賛 などと 持ち出すまでも無く

少し 薄暗い 街の景色も

工夫し 楽しむ すべはありそうだ




・・・・・・




海の見える部屋で 過ごした 午後は

そんな 北向きの部屋に似て

空を覆う雲と 静かに たゆたう波の反射の

穏やかな光に 包まれていた


ゆるやかに 厳かに 流れる時間


僅かに漏れていた

空の 蒼や 茜も

とても とても ゆったりと 時間をかけて

モノトーンの 色合いに かわりゆく



そこからは さらに ゆっくりと

自然の 指先が 光のボリュームを 絞ってゆく



窓外を眺める 彼女は

切り取られた 光の容を 記憶に刻む


それを眺める 私には

伸びやかな肢体は かすかな逆光に

やわらかな 曲線の シルエットと 浮かび上がる



海 と 空 と 彼女


それも いずれは すべて


やさしい 闇に 溶ける


汐が 満ちる・・・