再見~10万年後の安全
先日ご紹介した 「10万年後の安全」
ラストのシーンが気になって
もう一度 観に行った
ラストシーンの台詞
オンカロ(地下処分施設の名前)の 最深部と思われる場所
10万年後の 未来へ 語り掛ける
・・・・・・
こんな 奥深いところまで 来てしまったね
五感は 頼りにならないよ
何も 感じないし
何も 匂わない
君を 透明な光が 突き刺すだろう
それは 宇宙の力を集めて 作られた
私達の 文明が
放つ
最後の 光だ
↓ INTO ETERNITY (10万年後の安全 原題) OFFICIAL TRAILER
↓ ONKALO の建設、運営にあたる企業側の資料動画 (POSIVA社)
※先行記事の、Youtube リンクも、劇中内使用の物に変更しました。
サナトリウム
空のない窓が夏美のなかにあり小鳥のごとくわれを飛ばしむ
わが寝台樫の木よりもたかくとべ夏美のなかにわが帰る夜を
青空より破片あつめてきしごとき愛語を言えりわれに抱かれて
遅れてくる夏美の月日待ちており木の寝台に星あふれしめ
麦藁帽子を野に忘れきし夏美ゆえ平らに胸に手をのせ眠る
( 寺山修司 夏美の歌 )
・・・・・・
夏美は 十八歳の 画家志望
二歳年上の 詩人の 初恋の人 であった
難病に侵され 入院生活の 寺山を
毎週 水曜日 と 土曜日
詩人さん と 彼を呼んで 少女は 見舞っていたという
・・・・・・
いまだかつて 「 入 院 」 というものを
経験したことがありません
けれど
なんとなく
「 あこがれ 」 のようなものが あるのです
・・・・・・
高原の 木立の中の サナトリウム
窓辺から 薄手のカーテンを揺らす 風
日が廻ると 物憂げに ブラインドを下ろして
あんまり痛いのや
点滴とか よくわからない管を付けるのは よろしくない
三日に一度 夜 微熱を出すくらいで
窓辺の 寝台で 読書をする日々
ふと 気づく
朝と夕 決まった時間
窓の外を 自転車で 通り過ぎる 少女
ある日 悪戯な風に 運ばれた ハンカチが 彼女の元に
それを機に 本の貸し借りが 始まって
返ってきた 本には 野の花の 押し花が 挿んであったり・・・
・・・・・・
月初や 長い週の始まりを
こういった 妄想で 乗り切ることも 一つの知恵
と言っても 実際 いま 入院するとしたら
可能性のありそうな 病名を 考えても
入院した 知り合いを 思い浮かべても
ガンや脳卒中 じゃ それどころじゃないし
高血圧 糖尿病 というのも・・・
いずれにしても あんまり 恋の 芽生えそうな 病気にはならなそう
身体は元気で 妄想に留めて置くのが いいのかもしれません
森田童子 「サナトリウム」
黄金町~10万年後の安全
朝から 日差しの強い 土曜日
黄金町の映画館 ジャック&ベティにて 「100000年後の安全」を観た
これは フィンランドに 世界で初めて作られる 高レベル放射性廃棄物の 永久処分場
その問題について 関係者へのインタビュー形式で まとめた ドキュメンタリーだ
18億年安定しているとされる フィンランドの地下500メートルに
堅い岩盤を抉り 地下巨大施設を作る
放射性廃棄物が 人や生き物に無害となる
最低限の 10万年 保管できるよう 設計されていると言う

この施設に 携わる人々への インタビューは SF的であり 哲学的だ
10万年と言う 時間の 途方も無さを 思い知らされる
例えば 10万年後の 未来の人々に この施設の危険性を どのように伝えるか?
多国語で 注意を促すか 文明が途絶えた時の為 絵や記号で示すか
それよりも 何も残さず 忘却された方が 掘り起こされずにすむのか?
そのようなことまでも 議論が 交わされている
そして 地下深い その施設は 人の手に依存しない 自己完結型であらねばならないという
なぜなら 地上は 人間の振舞い(Human Behaviour) による 不安定な世界だからだ
過去 100年のうちにさえ 2度の大戦を起こした 戦争も 経済不況もある
そんな 地上の 影響を受けない 施設
言語が 国家が 文明がどうなっているかさえ イメージしなくてはならない 途方も無い時間
現代人・ホモサピエンスが 現れたのが 10万年前
ピラミッドで 5000年前
6万年後には 氷河期と 想定されている
ツンドラに埋もれた施設 まだまだ 道程は長く
1000年に一度 といっていた災害なら 100回・・・
10万年は 人の秤には あまりにも 長い
しかし ウランが 掘り尽くされるまでは あと100年だ
昔 「猿の惑星」 という映画がありましたね
猿に支配された 地球 言葉を失う 人間
文明も損ない 砂浜に 半身を埋もれさせた 自由の女神像
ふと 頭に思い浮かんだけれど
それに 近い想像を 現実の問題として しなくちゃいけない なんてね

この映画の もう一つの 見どころは
お堅いタイトル テーマ とは裏腹な
ゆるやかな 音楽と キレのいい カット 構図 美しい 映像だ
「・・圧倒的な映像美はまるで SF映画のように、荒廃し人類が去った後の地球、
機械だけが永遠に動き続ける地球の姿を映しているようだ。」 (チラシより)
美しさに 目を奪われると
その毒が 眼に見えず 五感には感じられない事を 忘れてしまいそうだ
・・・・・・
原子力に 賛成 反対 関わらず 廃棄物処理問題は 既に 厳然としてある
もう パンドラの箱は 開けられてしまった
数十億年前に 造山活動を終えた 安定陸塊の フィンランドとは違って
不安定な地殻の上に 多数の原発を持ち 未だ最終処分場の 当ても無い国に住む者として
一度ご覧になると よろしいかと思います
その哀しい映像美に 10万年という時間を イメージするだけでも・・・
自分たちが 産み出してしまった 消せない火の 長く長く続く 後始末
映画のラストは 関係者の 10万年後へのメッセージで終わる
「未来の皆さんへ
ここは21世紀に処分された放射性廃棄物の埋蔵場所です。
決して入らないでください。
あなたを守るため、地中奥深くに埋めました。
放射性物質は大変危険です。透明で、においもありません。
絶対に触れないで下さい。
地上に戻って、我々より良い世界を作ってほしい。
幸運を。」
ジャック&ベティでは6月10日まで 公式サイトに 全国の上映館の情報も
映画でも使われている Kraftwerk の Radioactivity


