台湾旧型客車の旅 (3672次 台東→枋寮) | URAROUTEブログ

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地理的にマニアックな場所を訪ねるページです。鉄道・酷道・険道・県境・飛地・果て・日本一(初・唯一)、無くなる前訪問など。時事ネタが理想的ですが、過去に訪れた所を記録的に残すことで精一杯であること、ご了承ください。

3月から旅行をしないまま2020年が終わろうとしています汗あの時のドキドキワクワクが早く戻ってきてほしいです。

 

さて、去る2019年は自身の中で中華圏ブームが起こっていまして、GWの四川に続き、4日間の夏休みも海外へ、台湾を走る旧型客車に乗りに行きました。この列車、残念なことに2020年12月をもって定期運転を終了します。
 

夏真っ盛りの航空券、取れたのは中部発着のLCC。ということで東京から中部国際空港に向け普通列車で、途中金山で名鉄乗り換え、さらに飛行機が3時間も遅れ1日目は現地で何もせずに終了汗

 

2日目はいよいよ旧型客車に乗るため、まずは特急列車で台東へ向かいます。人口が多く新幹線も走る西部とは反対の、東部は在来線しかなく、台東まで362km(東京~名古屋間に相当)を特急で最速3時間半。列車は高鐵チョイ乗りに新竹からの帰りに乗った同じ動力集中方式"プッシュプル自強号"。

 

使ったきっぷTR-PASSは台鉄(在来線)の特急(自強号)を含む3日間乗り放題で1800元(約6600円)。高鐵(台湾新幹線)には乗れません。日程が短くあまり得していませんが、日本の乗り放題きっぷと比べたらはるかに格安。

 

自強号はほぼ満席。日本人に人気の観光地"十分"への乗換駅である瑞芳駅を過ぎてしばらく渓谷沿いを、福隆を過ぎトンネルを抜ければ亀山島を望む美しい海岸線が見えてきます。

 

ほぼ中間地点の花蓮駅で券面どおり座席移動して、ちょうどお昼時になり車内販売でホカホカの台鉄弁当を購入。車窓を眺めながらほおばる駅弁は最高!

 

台東手前ののどかな田んぼが広がる池上付近は"金城武の木"で有名な台湾人がよく訪れる人気の観光地。

 

台湾東部は思ったほどトンネルもなく変化に富む車窓を楽しみ、この自強号はナント4時間43分もかかりましたが、長い乗車も飽きることなく台東に到着。

 

乗り換えに時間があるので台東の中心に行ってみました。台東駅と市街地は約6kmほど離れています。適当にバス乗って市街地に一旦近づくも離れそうな手前で降りたところは廃線跡。

 

かつては市街地近くにどん詰まり(延伸不可)の旧台東駅がありましたが、南廻線開通で廃止。廃線跡と旧駅舎は観光スポットになっています。

 

この日は35度の猛暑日。人が全然歩いていません。台東は高層ビルもなく静かな田舎町といった雰囲気。駅へ向かおうとバスを20分待っても一向にやって来ないので仕方なくタクシーに乗りました。地元の人なら早く簡単に行ける方法を知っているのかもしれません。

 

いよいよ旧型客車"普快車"に乗ります。普快とは列車の等級(車種)で最も下の位。

 

自強 特急 (優等列車により割増料金) (※太魯閣号・普悠瑪号も種別は自強)

莒光 急行 (優等列車により割増料金)

復興 準急? (区間列車と同じ料金で指定席あり。運行区間・本数僅少)

區間 普通 (山手線のような通勤列車と同レベル)

普快 普通 (区間列車より割安)

 

区間と普快の違いはサービスの質で主に冷房の有無のようです。冷房がない蒸し暑い"不快"と等級を示す"普快"が、中国語ではアクセントは異なるものの日本語と共に読み方が同じなのが面白いです。

 

中国のバスも冷房・非冷房によって値段が違うなど中華圏は冷房の有無がサービスの指標になっているようです。一目でわかる乗客の中に日本人、自分と同じ趣味を持つ御一行も乗車。

 

客車なので機関車を前方・後方に付け替える"機回し"の人的労力が加わっています。かっこいいオレンジ色の機関車がけん引する旧型客車に乗っていざ出発。乗り放題なので必要ないですが、記念にとこの区間のきっぷを買っています。約380円。

 

ルート図。台東から東海岸を走行したのち台湾の背骨"中央山脈"を越え台湾西部の沿岸、枋寮まで約98kmの道のりを2時間7分かけて走行します。

 

知本→太麻里

35度の猛暑日に冷房無しということでさぞ蒸し風呂状態の車内かと思いきや…窓全開にカラッとした南国のいい風が入ってきてとても気持ちいい。最近の電車は冷やし過ぎなんですよプンプン

 

太麻里駅

知本駅から非電化の南廻線は現在電化工事により、沿線は架線柱を立てていたり、それと並行してホームもリニューアルしていますが、鮮やかな屋根は旧型客車とミスマッチ…。

 

多良駅付近
多良駅を通過するところを撮ってみました。利用客減少で廃止された台湾で最も美しい駅、その先に建設中の新ルートも見られます。
 

大武→(古荘)

大武を過ぎ東海岸から離れて山岳区間へ。

 

古荘信号場

利用客が少なく2017年に廃止された古莊駅を通過。中華圏は人が多いイメージがありますが、地方の人口減は台湾も日本と同じようです。

 

中央信号場付近

菩安隧道(5000m)に中央隧道(8070m)と台湾の背骨を越え、人煙まれな地域を抜けていきます。

 

枋野信号場

ここは信号場を兼ねた駅のようですがホームは無く。ディーゼル自強号と列車交換。周囲は人家もない秘境。

 

枋山→内獅

台湾の西海岸が見えてきたら終着駅はもうすぐ。

 

こんなに窓全開で入る風が心地いいとは…。全然不快ではない旧型客車に揺られ2時間かけて枋寮に到着。

 

枋寮から高雄方面へは台東方面から追いかけてきた自強号とすぐに接続できますが、ホテルはこの駅の近くで取りました。架線のない枋寮駅ホームと旧型客車を。

 

おなかが空いたので駅近くの食堂へ。かなりボリューミーな海鮮あんかけ焼きそば。

 

枋寮の夜の街並み。

 

何故かわかりませんが、海外に行くと普通の街並みもただの駅前も美しく見えてほっこりしてしまいます。もっと散策したいところですが、夜になってもかなり暑めあせる

 

時期的に…2019年に泊まった中で一番高額だった一泊8千円のホテル叫び 贅沢過ぎる空間で旧型客車を回想しながらアーモンドフィッシュを肴に台湾ビールとでリッチなひとときドキドキ

 

(2019年8月11日)