「偏差値」という用語が気になる時期ってありますね。
特に受験を控える学生やその親御さんにとってはストレスになる数値です。

偏差値は「(個人の得点-平均点)÷標準偏差×10+50」という式で計算できます。

これを Excelで計算してみましょう。

例題として、下図のような得点表データを使ってみます。

 

まず、科目別の偏差値を求めてみます。
先回「Excel 作業セル(計算セル)」記事のように、1ステップずつ作業セルを使って求めていきます。

C22セルに「=AVERAGE(C2:C21)」と入力して国語の平均点を求めます。
そして、C23セルに「=STDEV.P(C2:C21)」と入力して国語の標準偏差を求めます。(下図)

 

上記したように、偏差値を求める式にしたがって、J2セルに「=(C2-$C$22)/$C$23*10+50」と入力して「吉永はじめ」さんの国語の偏差値を求めます。
以下、J21セルまでその数式をコピーし、各人の国語の偏差値を求め、さらに小数点以下第1位までとします。(下図)

 

その他の科目についても同様にして求めますが、ここでは省略します。

それでは、次に 6科目全体で偏差値を求めてみます。
単に個々人の 6科目の得点合計を求め、この成績に基づいて先ほどと同様に偏差値を求めるだけなので、途中の図示は省略し、結果のみ示します。(下図)

 

これを「作業セル」なしに直接求めるなら、J2セルの数式は「=(I2-AVERAGE($I$2:$I$21))/STDEV.P($I$2:$I$21)*10+50」となります。

ところで、途中に出てくる「標準偏差」について少し補足しておきます。
標準偏差は、データの分布の広がり幅(ばらつき)をみる 1つの尺度です。
Excelでは互換性関数に分類される「STDEV」「STDEVP」関数が使われてきましたが、現在では「STDEV.P」「STDEV.S」関数が使われます。
「STDEV.P」関数の「P」は“population”(母集団)を意味し、この関数は母集団を対象とした標準偏差を求めるものです。
今回の例では、各人の得点すべてを計算対象としていますので、これらが母集団となります。
一方、「STDEV.S」関数の「S」は“sampled”(標本)を意味し、この関数は標本データを対象とした標準偏差を求めるものです。
標本は、母集団の中から一部を抽出したものです。

なお、偏差値を求める式のうち「(個人の得点-平均点)÷標準偏差」の部分は「標準化変量」と言い、「STANDARDIZE」関数で求めることができます。
つまり、偏差値は「=STANDARDIZE(個人の得点, 平均点, 標準偏差)*10+50」と書き換えることができます。