しばらく、彼女からは、
連絡がありませんでした。
私自身も、忙しくしていましたので、
すっかり、忘れていました。

彼女からの電話で、
その「コスト意識の高い」男性と
結婚することになったと、報告を受けました。

「これから、エクセルでさぁ、
 家計簿をつけて、(ご主人になる人に)見せなきゃいけないから、
 ○○さん(私)に、エクセル、教えてもらわなくっちゃ。」
コンピュータエンジニアである私に、
タダで教えてほしいらしいのです。

私なら、そんな人とは、
結婚できません。
窮屈な毎日が待っているのです。

いずれにしても、彼女は結婚をして、
「トラ年」の子供を産みました。
ここで、いったんは、めでたし、めでたし、です。


もちろん、後日談は、あります。
いまだに、二人は、離婚することもなく、
子供を大事に育てています。

けれど、彼女にとって、
非常に残念なことは、
彼女の「セックス」の勉強は、
ほとんど無意味だったということです。
目的は、果たせたので、いいと言えば、
それまでですが、
彼女にとっては、満足いく生活ではありません。

独身時代は、経済的にひっ迫していたせいもあり、
結婚を焦っていました。
現在は、「コスト意識が高い」ながらも、
年収何千万のご主人がいるわけです。

人間は、現状になかなか満足できません。
これは、仕方がありません。
また、それが、向上するための動機づけにつながったりするので、
一概に悪いとは言えないのです。

彼女とご主人は、子供ができたこともあり、
夫婦関係は、なくなりました。
やれやれ。

彼女は、私に電話をかけてきて、
愚痴を話します。

彼女の周りでは、不幸が続きました。
彼女自身も大病を患い、
彼女の母親が癌になり、亡くなりました。
その時に、ご主人にお金を貸してほしい、と頼んだそうです。
すると、ご主人は、
一応、100万円を出してくれて、
「贈与税は、かからないから。」と言いました。


私が、「いいところ、あるじゃん。」と話すと、
「普通、そんなこと、言わないよ。
 すっと、お金、出すよ。」
と彼女は、ご主人の一言にこだわっています。
彼女の子供の同級生のご主人は、
同じようなことがあったときは、

何も言わないで、全部のお金を負担してくれたそうです。


続きは、別の日に。




せっかくの彼女の「セックス」の勉強も、
現時点では、まったく、役に立っていない状態です。

ある日、いつものように、
二人は公園を散歩していました。

彼の話は、ほとんど経済に関する話です。
それは、だいたい、ミクロ的な問題でした。
要するに、彼女にでも理解できるように、
身近な話題から、始めたそうです。

近所にスーパーが何軒かあり、
それぞれのチラシから、
特価商品をすべて表計算ソフトのエクセルで
管理しているらしいのです。
彼は、そこから見えてくる何らかの規則性を
見出そうとしているのでしょう、たぶん

彼は、バツイチでした。
原因は、彼のこの「コスト意識」に
あるのが、簡単に推測できます。
私は、彼女に尋ねました。
「子供は?」
「スルドーイ。いるのよね。
 毎月、養育費は、送ってる。」

多くの女性は、そんな彼とは付き合うことは、
できないでしょう。
彼女だからこそ、付き合えるのです。
「トラ年」の子供をほしがり、
男性は、浮気をしそうにない人と言うのが
彼女の条件でした。
浮気は、お金がかかるので、
この彼は、しないでしょう。

毎週、公園を歩きまわっていても、
何の進展もありません。
それに彼は、一度、結婚に失敗していますから、
次に踏み出す勇気が必要でしょう。
彼女は、考えました。
もう、待てる状況ではありません。

そこで、夜、二人で歩いているときに、
自分から彼にキスをしに行きました。
「高校生のキスじゃないんだからさぁ。」
彼女は、初めての二人のキスに対して、
私にこう話しました。
キスが終わった後で
彼は、一目散に、彼女を残して、
走り去ったそうです。

一人、残された彼女は、
あわてて走っていく彼の後姿を見つめていました。

続きは、あらためて。






その後も、彼女は、何人かの男性と
お見合いのようなことをしましたが、
うまくいきませんでした。

また、しばらくして、連絡があり、
「付き合っている人がいる。」と言うのです。
私は、非常に興味を持ちました。

その彼は、彼女いわく、
「コスト意識が高い」と言うのです。
平たく言えば、「ケチ」、「シブチン」と呼ばれる人種です。

彼は、日本でも有数の経済研究所に勤めていて、
年収は何千万クラスです。

二人のデートの場所は、常に公園です。
公園であれば、タダだからです。
毎週、二人は東京中にある公園を歩き続けたわけです。
ある公園の横に高層マンションが建てられていました。
そのマンションを見て、彼が言ったそうです。
「この公園を自分の庭だと考えたら、○○千万だったら、安いよね。」

彼女は、私に、ある公園に行くことを勧めてくれました。
当時、私には、一緒に食事を誘ってくれる男性がいました。
ある大学病院の医師でした。
彼女もその医師に会ったことが、あったのです。
「二人で行ってきなよ。いいよぉ、あの公園。
 ○○さん(私)と先生が歩いているところ、想像しちゃったよ。」
この二人は、どうも、心を通わせ合って、
毎週、デートしているようではないようです。
何せ、他人のデートしている姿を、

想像しているくらいです。



二人は、夕食にマクドナルドに行くことになりました。
「夕食に、マクドナルド?」と思ってしまいますが、
彼にとっては、ごく、普通のことだそうです。
マクドナルドでお得なセットが販売されたので、
それを食べに行ったというのです。

ところが、それだけではおなかが満腹にならずに、
別の店で軽食を食べることになり、結局のところ、
二重にお金がかかります。
「マクドナルドでいくら、この店でいくら。
 結局、高くついてしまったなぁ。」
彼は、しみじみと話しました。
コスト意識にこだわる彼にとっては、それは、許せないことでした。


そんな風にして、三か月近くの日が流れていきました。
彼女は、あせります。
何せ、「トラ年」の子供を産まなければいけないわけです。
「まいったよ。手もつないでこないんだからさぁ。」
二人は、延々と、公園を歩き続けているだけでした。

つづきは、あらためて。






彼女から連絡があり、

二人でご飯を食べに行くことになりました。

「最近、無言電話がよくかかるのよねぇ。」と

彼女は、話はじめました。

「警察に電話した方が、いいんじゃない。」

と私は勧めました。

犯罪は、小さいうちに芽を摘むべきだと考えたからです。


「相手は、わかってんのよ。」

彼女は、サラリと言います。

同じ故郷の出身で、フリーライターのバツイチの男性と言うのです。


結婚にまっしぐらの彼女にとっては、

絶好の相手の一人でした。


彼女は、ある一定レベルの大学を卒業して、

東証上場一部の会社に勤めました。

現在は、アルバイトの身の上です。

特にこれと言った技術も持ち合わせていません。

コンピュータができるわけでもなく、

簿記がわかるわけでもなく、

美容師や看護師でもないという

中途半端な状態です。


容姿もいたって普通です。

よくもなく、悪くもなく、

年相応に見え、

中肉中背と言う目立たないタイプです。

しゃべり方に、特徴があり、

「アワアワ」と言った感じがします。

私個人としては、非常に話しかけやすいタイプに見えます。


その男性と彼女は、

同じ故郷の友人と県人会のような集まりに出て、

知り合ったということです。

ここでも、頑張っている彼女が、わかります。


そこで、二人は、深い関係になりました。

彼女は、サラリと私に言います。

「あれ、私、話さなかったけ?」

そこで、彼女は、早速、今までの努力を試したわけです。

相手の男性は、

「ケナゲ、だね。」と彼女の行為を褒めたそうです。

「(セックスの勉強を)頑張った甲斐が、あったよぉ。」

私は、大笑いです。

少なくとも、この時点では、彼女の努力は報われています。

彼女は、嬉しいそうに話しますが、

そこから、どうして、無言電話につながるのかが、

問題です。


相手の男性は、一度、結婚に失敗しているので、

もぉ二度と結婚はしたくないという考えでした。

要するに、彼女とは自由な立場で会いたい、と言うことらしいのです。

それは、彼女の本意ではありません。

彼女は、きっぱりと「結婚か別れか」と迫り、

結局、別れになったそうなのです。


けれど、彼女の妙技に魅せられた男性は、

彼女ともう一度、寝たい、

けれど、結婚はしたくない、

その迷いが、無言電話につながったのです。



まだまだ、彼女の婚活は、続きます。

続きは、別の日に。



主役は、小林薫。
無料動画で、観ました。

出だし、音楽、私好みです。
しかしながら、主役が小林薫でないと、
私は、観なかったという作品です。

話が、面白くないのです。
自画自賛で、申し訳ないのですが、
それであれば、私が書いた
【いつか読書する日】の女性の話の方が、
私は、好きです。

確かに、新宿ゴールデン街に
深夜に開店する食堂。
訳ありの人たちが集まりそうです、
興味がわく題材ですが、
たぶん、私の期待が大きすぎたのでしょう。

3話の30過ぎて、結婚を意識した3人組の話も、
「うーん、ありきたり。」というのが、
私の感想です。

そこで、私の友人の話を書きたいと思います。

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彼女は、「トラ年」生まれでした。
なぜか、彼女は、自分と同じ「トラ年」の子供がほしいと考えたのです。
理由は、わかりません。
そのためには、35歳までには、結婚しなければいけません。
34歳後半の彼女は、あせりました。
婚活を始めたわけです。

知り合いのあちこちに声をかけて、
「いい人がいたら、紹介して。」
と頼み込みました。
つまらない会合でも、進んで出席するように心がけました。
彼女は、私に言いました。
「30過ぎて結婚するのが、こんなに難しいとは思わなかったよ。」

そこで、彼女は、考えたわけです。
何か特技がないと、ダメだ、と。
彼女が選んだ特技は、「セックス」でした。
「だいたい、多くの人は、マグロよ、マグロ。」
彼女は、私に力説します。
彼女の周りの友人は、彼女を馬鹿にして、
話を聞いてくれません。
彼女いわく、
「話を聞いてくれるのは、○○さん(私)と
 新宿のキャバクラで働いて、男に苦労している人だけだよ。」

私は、いずれにしても、前向きに生きている人間が好きです。
それが、いびつな形であっても、
私は、認めます。

一口に、「セックス」を特技にすると言っても、
その方法が、問題です。
彼女が考えたのは、いわゆるAV、アダルトビデオを観ることでした。
けれど、それをレンタルするには、
さすがに、気が引けます。

私も、彼女に聞きました。
「どうしたの?」
「チバよ。」
「なるほど。」
また、後ほど、お話しますが、
このチバという男は、私たちの間では、便利屋のような立場にいた人です。

チバは、東京と埼玉の境目のようなところで、
暮らしていました。
そのチバの家に行って、
チバにアダルトビデオを借りに行かせて
チバの部屋で見るのです。
そして、チバに「どこをどうしたら、気持ちがいい」と
映像を見ながら、教授されるわけです。

彼女は、あるAV女優の名前をあげて、

「勉強になったわ。」とつくづく話しました。


またしても、私は、彼女に質問しました。
「チバと言えども、男でしょう。
 そんなの一緒に見てて、手、出してこないの?」
「もちろん、チバだって、男だからさぁ、
 そんなことをしてくるわけよ。
 けど、私はそれどころじゃないからね。
 チバの手を払いのけて、怒るのよ。
 『こっちは、真剣なんだからね。
  ゴジャゴジャ、するな。』ってさ。
 チバも、恐れをなして、それから、手をだしてこないよ。」

さすがに、彼女は、チバとは、

寝る気がないようです。

続きは、別の日に。