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9月某日、私は兵庫県たつの市を流れる揖保川にいた。

 

揖保川を最初に訪れたのははるか昔の90年代の頃で、男はつらいよ第17作「寅次郎夕焼け小焼け」のロケ地としての龍野を訪れた時だった。

 

その時に橋の上から川を覗くと、橋桁の下流側に大きなニゴイが数尾おり、それが今思えばコウライニゴイを初めて見た瞬間だった。そんなこともあって、コウライニゴイを釣るならここへ来ればいいと思っていた。

 

そこで今回、その橋を再訪し周辺のスポットも周っていった。ところが、魚影もなくブラインドでルアーやエサを通しても釣れなかった。アユの食害対策としてニゴイの買取が行われたせいか、以前と比べて数が減っているようだった。

 

ならばと、未成魚を支流や水路の細流でエサで釣ることに専念することにし、マップでよさそうな流れを探した。

 

すると一箇所よさそうなスポットがあったので行ってみた。

 

堰があり、上流側は底が見えない深さで、流れもそこそこあった。まずは流れが巻いているところで底釣りをしてみた。

 

使ったのはホリデー小継18尺全長で、1.5号の竿の半分ほどの道糸にスイベルを介して丸せいご10号ハリス2号を結び、スイベルの上に2グラムほどのガン玉を打った。エサはキヂの太虫を一匹縫い刺しにして使った。

 

入れてすぐに強烈なアタリがあったが、上がってきたのは良型のウグイだった。次は良型のアブラハヤで、以後、型は小さくなったが釣れてくるのはアブラハヤばかりだった。

 

こりゃダメかなと思いながら、少しでも違うことをするために流心に入れてみた。すると強いアタリがあり、一呼吸おいてアワセるとなかなかの引き。

 

ごぼう抜きにすると、短い道糸のせいで頭の上で舞っている魚影は今までのものとは違う気がし、ひょっとしてと思った。

 

竿をたたみながら近づけてくると、確かにニゴイ顔で、ついに釣れたーと思った。皮弁を見ると確かに厚く、コウライニゴイだった。まだ幼魚斑が残っていた。

 

初めて釣ったコウライニゴイ

 

初コウライニゴイの下顎下の皮弁。

 

初コウライニゴイ俯瞰

 

初コウライニゴイの腹側

 

初コウライニゴイの近影

 

初コウライニゴイ別影。幼魚斑が残っている。

 

初コウライニゴイの別影

 

すぐに同じスポットから続いて釣れたこの日二尾目のコウライニゴイ。少しサイズアップした。

 

二尾目のコウライニゴイの皮弁。ポテトチップスのPringlesの初期のキャラクターのひげのような形をしている。

 

日本のニゴイは以前は一種類だとされていたが、90年代に入ってニゴイの他に、朝鮮半島や中国大陸などに分布するコウライニゴイも日本に分布することが分かった。コウライニゴイは日本では本州西部と四国に分布している。両者の一番の違いは下顎の下の皮弁で、コウライニゴイの方が明らかに発達している。両者は日本国内では分布の重なっている地域があり、そこでは交雑が行われていると考えられているが、兵庫県に分布するものはコウライニゴイだとされている。

 

ニゴイ(左)との皮弁の比較。確かにコウライニゴイの皮弁はよく発達している。

 

揖保川本流で見かけた大きなコウライニゴイ

 

コウライニゴイのハビタット