言わずと知れた金魚のことである。もちろんカナダ固有種ではなく、飼っていた金魚を放流したために野生化したもの。せっかくなので、目 (もく) として追加しない手はなかった。釣友のケンによると、トロントの西にあるミシサガ市の公園の池でたくさん泳いでいるという。早速行ってみたが、一カ所目はあまりにも都会の真ん中にあったので竿を出すのが憚られ、二カ所目は週末で一般の入園者の車が多すぎて駐車できずあきらめた。

そうこうしているうちに、2005 年の8月上旬になり、私は半ばゴールドフィッシュのことは忘れかけていた。そしてその日はダンヴィルという町の郊外にある水路でファットヘッドミノーを狙っていた。タックルはホリデー白糸に自作コマウキ・タナゴバリ極小仕掛けで、エサはグランドリバー支流の河原で調達したガーデンワームを使っていた。

だが結局、狙いのファットヘッドミノーは釣れず、フナのような魚が一尾釣れた。それが自身初となるゴールドフィッシュだった。日本の金魚のイメージとはかなりかけ離れている、まさに金色の魚という名に違わぬ外観だった。

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初めて釣ったゴールドフィッシュ


ペットの放流が起源とされているが、そのわりには色の付いた個体よりも金色の個体の方が圧倒的に多いのが興味深い。これは自然淘汰により、すぐに金色の個体が優勢になるからだそうだ。やはり目立つ色や、ひれが長く泳ぎの遅い個体は外敵に襲われやすいということと、金色の方が遺伝的に優性だからだろう。

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同じ水路で後日釣った大きなゴールドフィッシュ


コイ目コイ科フナ属。オンタリオ州ではエリー湖とオンタリオ湖の西半分周辺に分布が集中している。雑食性。流れの緩い川の浅いプールやバックウォーター、および水生植物の密生した池や湖に棲む。41°C までの高水温や濁り、低酸素に耐性がある。オンタリオ州では釣りエサとしての使用が禁止されている。最大全長 58 センチ強。