日本で一番最後に冬期閉鎖が解除となる国道が、新潟と福島の県境にある。毎年6月下旬から11月上旬までが通行可能期間。夏と秋しか走行ができない、まさに閉ざされた国道である。そんな国道352号線を新潟県魚沼市から福島県檜枝岐村まで走ってみた。2023年7月走行(曇り時々雨)
国道352号線は東日本屈指の酷道であり、酷道352号線と呼ばれている。1~1.5車線の道幅、急カーブ、見通しの悪さ、離合の不便さなどから、運転に自信がない者の走行はお勧めできない。いわゆる観光道路ではなく、新潟県魚沼市から奥只見湖への観光には奥只見シルバーラインでの走行が無難。こちらは全長18kmにもおよぶトンネルでのアクセスが可能だ。
スタート地点
ここは最後に冬期閉鎖が解除される三叉路前。右へ進路を向ければ、秘湯の駒ノ湯温泉を楽しむことができる。酷道352号線で厄介なのが、冬期閉鎖解除が段階的に行われるので、新潟から福島への通り抜けは6月下旬にならないとできないことだ。
枝折峠に向けて急勾配の坂道を上がっていく、三叉路から枝折峠への標高差は734m。道の状態は良いが、部分的に見通しが悪いところがあり、運転に慎重さが求められる。
視界が開けると足がすくむ高低差が現れる。この日の空は厚い雲に覆われ、越後三山を拝むことはできなかった。
狭路は至るところに待ち構えている酷道352号線。離合スペースは設けられているが、このような場所での対向車との離合は困難。平日の走行が望ましい。
枝折峠頂上にて
枝折峠からは駒ヶ岳への登山口となるため、休日は登山客が多いことで知られている。駐車場とトイレがある。
酷道352号線は道への落石や堆積物が少なく、二輪車での走行は可能。その為、二輪車でのツーリングが多い。カーブミラーが設置されていないカーブでの二輪車との離合に注意が必要。
酷道らしくなっていく
新緑の季節は草木が目隠しとなっており、視野が狭く走行の難易度が各段に上がる。こういう場所での離合はしたくないものだ。この時点で対向車とは1台すれ違った。
総貯水量は日本で2番目
秘境の奥只見ダム湖が姿を現すことには、ダム湖畔に沿ったグネグネ道があらわれる。奥只見湖は広く、全貌をつかむことは困難。
この辺りは、グネグネ、ジグザグ、行ったり来たり。前進している気はせず、時間だけが過ぎて行く。幾つもの沢を通過する道が続く。
ダム湖畔では沢からの沢水にも注意しないといけない。二輪車は特に段差に注意が必要だ。スピードにのっていると転倒の可能性あり。
路面が濡れているため見えづらいが、道路上に洗い越しがある。洗い越しの数は岐阜県の国道157号線よりも多い。全国で有数の洗い越し地帯であろう。
グネグネ道後半は、険しい山肌に作られた酷道352号線を眺めながらの走行となる。
走行開始から約2時間、対向車は5台のみ。
酷道352号線の深淵部より
深い沢の奥から奥只見湖を撮影する。建造物はなく、秘境の中にいることを実感させられる酷道352号線。冬期閉鎖があるため、1年でわずか4ヵ月弱しか通れない。夏と秋の顔しか知ることができない。
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【全国の酷道シリーズ】
◆ 酷道157号線 【岐阜県本巣市~福井県大野市】
◆ 酷道471号線 【富山県砺波市~岐阜県飛騨市】
◆ 酷道193号線 【徳島県海陽町~吉野川市】
◆ 酷道488号線 【広島県廿日市市~島根県益田市】
◆ 酷道265号線 【宮崎県椎葉村~宮崎県小林市】