富山と岐阜を結ぶ数ある国道の中で、「開かずの酷道471号線」をご存知だろうか?

 

道の状態が酷く狭隘の山岳路であるため、冬季に除雪されず、11月初旬から6月初旬までの1年の約半分が積雪による通行止めとなるっている。また、土砂崩れによる災害通行止めも頻発しているという酷な道である。さらに路面中央に草が生えているらしい...

 

 

 

今回、富山県砺波市から楢峠を越え、岐阜県飛騨市まで走ってみることとした。

2020年秋 酷道471号線走行記

 

 

栃折峠にて

 

早速、酷道471号線の洗礼を受ける。通行止めは難所「楢峠」のみではない。序盤の栃折峠での全面通行止めに出くわす(迂回路なし)。仕方なくスタート地点まで戻り、国道472号線へ向かう。この栃折峠を越えた場所で国道471号線と国道472号線が合流し、そのまま重複する。

 

 

富山側の冬季通行止め地点

 

人の気配がなくなり、冬季閉鎖のバリケードがこの先にお目見えする。富山側から楢峠へ上りはなだらか。ただ、少しずつ道の状態が悪くなる。

 

 

 

越中の深い山の中、峠へ向けて酷道が伸びる。道幅は狭く、対向車が来たら離合できるか不安がつきまとう。後退しないといけない場合もあるだろう、覚悟が必要だ。

 

 

中盤の開けた渓流沿いの道

 

長大谷川を横目に狭い断崖路を走る。落石が容赦なく生産されていて、走行の邪魔をする。ガードレールの設置率が低い危険な道が続くが、次第に慣れていく。

 

 

 

いや、慣れ過ぎてはいけない。ここは開かずの酷道。富山・岐阜県境では傾いたおにぎり達が待ち構えていた。このおにぎりを境に空気が変わる。

 

 

 

明らかに酷道のレベルが違う。岐阜側は路面の堆積物が多く、落ち葉の絨毯がお目見えする。スリップに注意しないといけない。

 

 

 

信じられない光景が現れる。積雪の重みで曲がってしまったのか?温度差によって膨張・収縮を繰り返し変形したのか?謎だ。

 

 

 

酷道471号線は想像を遥かに越える。路面中央に草が生えているのだ。ここはれっきとした国道である。一年の半分は閉ざされた場所である為、徐々に自然に戻りつつあるのか。

 

 

楢峠より岐阜側を望む

 

楢峠頂上は標高1220m。展望は山と雲のみ。ここまで来るには時間と忍耐力、そして情報収集(交通情報)が必要だ。富山県南砺市利賀地区と楢峠を結ぶ県道34号線は、全面通行止めが続いているという状態だ。国道もいつ通行止めになってもおかしくはない。

 

 

角度のきついヘアピンカーブ

 

岐阜側の楢峠の下りは急勾配。幾つものヘアピンカーブを曲がり、一気に高度をおとすこととなる。ただし、道は狭路の為、スピードは20~30kmしか出せない。

 

 

 

アスファルト路面が荒い箇所が多く、悪路の下りが続くこととなる。オフロードの車・バイクの走行なら問題とないと思われるが、それ以外であえば正直きつい。

 

 

 

ガードレールの設置率は相変わらず低く、思い出したかのように反射鏡がポツンポツンと設置されている。頼りないが、あった方がまだマシである。常に崖が大きな口を開けて待っている。

 

 

 

岐阜側は旧河合村の二ツ屋谷沿いを走行することとなる。ただし、谷が深い(急勾配)のでその存在に気付くのは終盤となる。

 

 

 

草が生える道があたり前だと感じできた。ここには草、落ち葉、木の枝、落石、荒い路面、狭路がある。酷道のあらゆる要素が組み込まれていて、頭がオカシクなりそうである。これはあたり前ではない、国道としては異常であろうと考え、気を取り直した。こんな時こそ慎重に走行しないといけない。

 

 

 

下りの狭路・悪路は、最後の最後まで続く。緊張を解くことは終始できないと考えておいた方がよい。冬季通行止め地点から走ること約2時間、対向車は2台のみ。

 

 

 

精魂尽き果てたころ、飛騨市の国道360号線との合流地点へと到達する。振り返ってみると、大型車への警告が掲げられているのを確認できる。

 

今回、開かずの国道に誘われて楢峠を越えてみたが、想像以上に酷い道であった。個人的にベスト3に入る酷さだ。閉ざされた期間が長いので、国道は自然環境からの浸食を受け、年々酷道レベルが上がっているのではないかと感じた。

 

 

この記事がアップされている頃は、既に冬季通行止めが実施されている。

 

【国道471号線冬季通行止め】

 令和2年11月6日~令和3年5月31日

 

 


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