熊本県阿蘇市から宮崎県小林市までの九州山地の縦断道として、国道265号線がある。 特に、椎葉村〜西米良村〜小林市の山岳区間は、あまりの道の酷さから、酷道と呼ばれているのをご存じだろうか。九州最強と言われる酷道を、今回走ってみた。

 

 

 

 

国道を指し示す標識(おにぎり)は、きちんと整備されているのが一般的だが、酷道区間は、写真のように酷い状態の物がお目見えする。本当に国道なのか?疑いたくなる。

 

 

 

山岳地帯の峠を越える酷道265号線は、狭小、急勾配、急カーブが多い。路肩は軟弱どころか危険と表示されている看板が目立った。酷道265号線を代表する飯干峠、尾股峠、輝嶺峠の三大峠の走行には最大限の注意が必要となる。

 

 

飯干峠にて


至る場所に設置されている落石注意の看板。峠道の落石の多さには辟易させられる。車で回避できないような大きな落石もあり、車を降りて移動させないといけない場合もあった。

 

 

 

輝嶺峠にて


道幅は1~1.5車線の区間が大半を占めており、離合不可の場所が多い。対向車が来た場合は、どちらかが離合可能な場所まで後退し道を譲らないと通り抜けられない狭さだ。常に片側が山肌に面しているので、圧迫感があり運転し辛い。

 

 

 

山岳地帯を走行するため、展望が開けるのはごく僅か。薄暗く物寂しい風景が延々と続き、心細い気持ちになる。山の麓に降りてきたら、幾つかの集落が点在している。集落を見ると心が安らぐ。

 

 

 

酷道区間は携帯電波の圏外。隔離された感がある。もし、事故を起こしても連絡は取れないだろう。しかも、対向車とすれ違うこともほとんどない山深い場所だ。不測の事態が起きた場合に備えて、食料は余分に準備しておいた方がよい。

 

 

尾股峠にて


ガードレールの設置率は高い酷道265号線。しかしながら安心はできない。路肩が軟弱化し、崩落している箇所があり、ロープとコーンで警告してある。ただ、復旧の目処はいつなのかは分からない。

 

 

 

木々と一体化し、見分けがつかない国道の標識(おにぎり)があった。ガードレールも緑一色である。誰かが故意に塗った訳ではない。酷道は苔生し化が著しく進んでいる。尾股峠付近に見られる光景だった。

 

 

 

道の中央部分は苔生している。足で踏んで擦ってみたら、つるつると滑った。轍の部分でも滑る箇所もあり危険。2輪車での走行には注意が必要だ。

 

 

 

尾股峠から輝嶺峠にかけては、支線(あっても、支線自体が通行止めの場合あり)がほとんどなく、一度に足を踏み入れたら抜け出しようがない区間となる。道路への堆積物(落ち葉、木の枝、落石)に神経を擦り減らしながらの走行を、覚悟しないといけない。

 

 

 

酷道走行中の癒しとなるのが、たまにお目見えする放置されている看板。人工物を見ると安心できる。

 

 

 

椎葉村から西米良村にかけては、山、山、山の風景が続き、山深い場所に来たことを実感させられる。視界が開けるとご覧のような景色が広がる。このような場所を酷道が走っているため、想像以上に時間を要し、体力と気力を消耗する。自然災害も多い場所なので、通行止め、災害復旧工事のための時間帯通行止、を想定しておかないといけない。事前の道路交通情報の確認が必要と実感した。決してお勧めはできない「山岳酷道」である。

 

 

 

九州酷道シリーズ

◆ 酷道388号線 【大分県佐伯市~熊本県湯前町】

◆ 酷道445号線 【熊本県美里町~熊本県人吉市】

◆ 酷道385号線 【佐賀県吉野ヶ里町~福岡県那珂川市】

 

 

 


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