待望の新しい朝ドラ「あんぱん」が始まりました。前作「おむすび」が酷評すさまじかったので、「今作はやなせたかしさん夫婦がモデルだからいけるんじゃね?」という期待を背負っての発進です。
やなせたかしは言わずと知れた「アンパンマン」の作者であり、「手のひらを太陽に」の作詞家としても知られるなど、マルチな才能を持った方ですが、「アンパンマン」でブレイクするまでの下積み?期間も長く、遅咲きの作家としても有名です。
有名なマンガ(アニメ)作品の作者であり、遅咲きの作家、そしてその伴侶である妻の女性を主役としている、と言えば当然朝ドラの名作「ゲゲゲの女房」が思い浮かぶ。また水木しげる、やなせたかしのふたりとも徴兵され戦争を体験している事がその後の作品作りに大きな影響を与えた事は間違いなく、そこも共通点と言える。
「ゲゲゲの女房」の場合、妻である布美枝が茂と出会うまでは布美枝中心のストーリーが展開し、当然だが茂側は殆ど登場しない。やなせたかしも事実としては妻・暢とは就職した新聞社で出会っているが、史実通りにすると、またふたりが出会うまでの期間が長くなり、ドラマ的に作りづらい。そのためふたりは子供の頃出会った幼なじみというオリジナルの設定にする事により、ふたりの歩みを同時進行で描く事が出来る。これはとても上手い作劇だと思うし、「ゲゲゲの女房」との差別化も図れる。素晴らしいアイデアだと思います。
阿部サダヲ演じる「ヤムおじさん」は当然「ジャムおじさん」にインスパイアされたキャラクターであり、現実世界と「アンパンマン」の世界を繋ぐ役割を果たしていくだろう。「ゲゲゲの女房」でもネズミ男にインスパイアされた「イタチ」が登場していたが、両作ともにこのへんの作りも見事だなあ。
のぶを演じる今田美桜、たかしを演じる北村匠海も好きな俳優さんなので、楽しみでしかないです。他の脇役さんたちもみんな好きな俳優さんだし!今日水曜日第3回まで見た限りではホント面白い!この調子で最後まで頑張って欲しい!
ネットの評価も概ね好評のようだが、唯一賛否分かれているのが、RADWIMPSの主題歌「賜物」とオープニング映像だろうか。
明らかに「朝ドラの主題歌」らしくない「賜物」なので、「合わない」と感じる人が多いのも当然だろう。RADWIMPSの野田洋次郎はこういう「言葉の洪水」みたいなロックも作るし、しっとりとしたバラードも作れる人。そこは敢えて攻めた「朝ドラらしくない」曲を持ってきたんだろう。この曲が半年後には「ああ、これが「あんぱん」の主題歌で良かった!」となるのでは、と期待しています。「ウルトラマンティガ」がそれまでの「ウルトラマン」の主題歌とは明らかに異質の主演の長野博所属のグループ・V6の曲「TAKE ME HIGHER」になった時、ファンはみな「ついにタイアップきちゃったよ・・・」と失望したものだが、最後にはドラマの内容と見事にシンクロした「主題歌」に昇華した。あの感動をまた味あわせて欲しい。(歌詞自体は既に「あんぱん」の世界観を表していますが)
それよりオープニング映像が「のぶ」としてではなく、まるで「今田美桜」のPVにしか見えないのがびっくり。きっとこれはたかしの創作の「イマジネーション」の世界を表しているのでしょうが、主題歌ともどもかなり「攻めた」印象です。この映像も今後隠されたイメージやメッセージが明らかになる日があるのかも知れません。