珠めぐみさん(1950~2013)は1960年代から80年代に主に活躍された女優さんである。ダウンタウンの浜田雅功の妻・小川菜摘の叔母である事でも知られる。我々特撮マニアに最も印象深い役は「ウルトラQ」(1966)の第20話「海底原人ラゴン」の石井博士の妹・文子役だろう。可憐な容貌でありながら多少偏屈なところのある博士である兄にしっかりと直言し、島の人たちと共存しようとするしっかりした妹を好演している。クライマックスでは子供を取り返しにきた海底原人ラゴンに恐怖を感じながらも子供を引き渡し、直後に気絶する難しい芝居もこなしている。珠めぐみ、当時16歳。すごいなあ。

ちなみにこのエピソードはストーリーの流れ、怪獣のカッコよさ、怪奇演出、ゲストキャラクターの魅力、ラストの一平の活躍など非常に完成度の高い作品で、私は「ウルトラQ」の中でも1,2を争う好きなエピソードである。

1968年には「お嫁さん」というドラマの第5シリーズで主演し、清純派女優として人気を博した。

「ウルトラQ」からわずか3年後、19歳の時に出演した「恐怖劇場アンバランス」(製作は1969年。放送は1973年)第5話「死骸(しかばね)を呼ぶ女」では親友の男ふたりの間で愛情か将来かで揺れる超絶大人っぽい女性・惠子を演じている。ハッキリ言って酷い女だが、幽体離脱して死骸を操る女というとてつもなく怖い話だ。たった3年で可憐な妹役から愛憎ドロドロの大人の女性を演じるようになるのだから、女優さんってホントに凄い!

その後珠めぐみは着物の似合う女優さんとして舞台や時代劇などで活躍、「水戸黄門」「銭形平次」「必殺シリーズ」などに出演していた。

晩年は闘病生活を送っていたようだが、2013年に姪の小川菜摘のブログによって亡くなられた事が発表された。

今回のブログの最後に珠めぐみさんが表紙を飾った「週刊現代」をネットで発見したので貼っておきます。

たくさんの役の中で「海底原人ラゴン」を挙げたら怒られてしまうかも知れませんが、あの文子の可憐ながらも凛とした強さを演じられた珠さんの事はずっと忘れません。