Ultimate ONE ~第二十四話~【アルマ】
~トノトとノランを乗せたライドランナーは施設に戻ってきた~
ドイル 「あれ?トノトさんじゃないっすか?」
レヴナント 「何か様子が変ですね。」
~研究施設から出てきたリサ~
リサ 「どうしたの?」
ビューーーーーン
リサ 「トノトさん!すごい怪我してるじゃない!大丈夫ですか?」
ノラン 「くぴーーー!」
レヴナント 「ノランがいるのにこの怪我は…一体?」
トノト 「さ…酒…酒を…。」
リサ 「あ!酒!酒人は酒を飲むと回復すんだわ!きっと!」
レヴナント 「バーレーワインを持ってきました!」
リサ 「早いわね!レヴナントさん!ありがとう!」
レヴナント 「さ、早く飲んでください!バーレーワインを!」
トノト 「す…すまない…。」
グビ…グピ
~バーレーワインを飲むトノト~
トノト 「さ…最後に…酒を飲めて…よか…った…。」
パタ
リサ 「あれ?回復しないの?」
ドイル 「言おうと思ったんですが…酒人は酒を飲んでも回復はしないっす。」
バウンサー 「気を失っただけだろう…いつものことだ。」
リサ 「あ?バウンサーさん!いたの? というか冷たいわよ!」
バウンサー 「俺はこいつがタフなのを知っているだけだ。」
ドイル 「そうっすね!しばらく寝かせてあげましょう!最近寝てないみたいですから。」
リサ 「でも、治療しなきゃ…レヴナントさん、研究室へ運んでくれます?応急処置くらいしかできませんけど。」
レヴナント 「分かりました!」
~トノトを研究施設へ運ぶレヴナント~
リサ 「これは…なにかの爪にやられた痕ね…縫うわ!」
リサ 「あ?レヴナントさん、ちょっと外にいてもらえるかしら。」
レヴナント 「あ、すまない。」
~レヴナントが外に出てしばらくの時間がたった~
ガチャ
~研究室から人が出てくる~
トノト 「ああああ~。 よく寝た!」
バウンサー 「ほらな。」
リサ 「トノトさん!安静にしてください!」
トノト 「そうもいかんのだよ。もう少しでセクシーアルマジロを。」
バウンサー 「やっと見つけたのか?」
トノト 「ああ…間違えない、セクシーアルマジロだ。しかし、情報と少し生態系が違うようだ。」
ピピピピピ
トノト 「音声感知器が鳴っているな…こっちに近づいてきている。」
リサ 「ひょっとして、狙われちゃったかしら?」
トノト 「いや、私を攻撃したとき、かなり手加減をしていたようだ。本気であれば私はとっくに死んでいるはずだ。」
バウンサー 「生かして…追ってくる…なぜだ。」
レヴナント 「巣を狙っているのでしょうか。」
バウンサー 「とすれば、かなり知恵が働く魔獣のようだな。」
トノト 「もう少しで来るぞ!ドイル君、ルピオのケーキがあったな。出してくれないか。」
ドイル 「あ、はい。でも、こんな時にコーヒーブレイクですか?」
トノト 「ま~、見てなさい。」
リサ 「やはりなにか来る!」
グララララオ…
レヴナント 「あれが、セクシーアルマジロか。」
ドイル 「いかにもってヤツですね!」
リサ 「何かを探しているみたい。」
バウンサー 「向こうからはこちらが見えないからな。」
クンクンクン
~座り込むセクシーアルマジロ~
ドイル 「居座る気っすかね! あ、トノトさんケーキをどうぞ。」
トノト 「ありがとう。」
~ケーキの皿を持ってシールドの外へ出ようとするトノト~
リサ 「ちょ、ちょっと!トノトさん!」
トノト 「他の者は来ないでくれ。」
バウンサー 「何かあったらヤツを一瞬で斬るぞ。」
~立ち上がるセクシーアルマジロ~
トノト 「さっきはすまなかった。君の嫌いなものを与えてしまったようだね。」
セクシーアルマジロ 「グラララララララ…」
トノト 「君…私と初めて会ったとき、ノランが食べていたナババの実を見ていたね。」
セクシーアルマジロ 「グラッ!」
トノト 「つまり、君は甘党だろう?」
セクシーアルマジロ 「グララッ!」
トノト 「そうか…やっぱりな。君は木に登ることもできないので果物を食べることができなかった…だから痩せている、腹ペコなんだろう?」
セクシーアルマジロ 「グルラララ…」
トノト 「これは、ナババの実をたくさん使用して作った高級スイーツだ。これなら君のお口に合うかい?」
~トノトはケーキを皿ごと置き、そっと後ずさる~
セクシーアルマジロ 「グラル。」
ペロペロペロ
~ケーキを食べだすセクシーアルマジロ~
トノト 「よしっ!」
~セクシーアルマジロにゆっくり近づき頭を撫でるトノト~
トノト 「よほどお腹を空かせていたんだな。警戒心も忘れるほどに。」
セクシーアルマジロ 「グララララ…」
~ケーキを食べ終わるとまた座りだすセクシーアルマジロ~
トノト 「わかった。また持ってくるよ。」
~シールド内へ戻るトノト~
リサ 「もう!ドキドキしたわ!」
ドイル 「俺もちびりそうだったっす!」
トノト 「どういうわけか、あいつは甘いものに目がない。」
バウンサー 「聞いた話では肉食だろう。」
トノト 「珍しい魔獣のため情報が間違えていたようだな。」
リサ 「で、どうするの?捕獲するんですか?」
トノト 「もう少し慣れさせてからだ。それに、あのセクシーアルマジロ…何かを話しているように鳴く。」
リサ 「え?じゃ~ちょうど今ノランちゃんと話せるように魔獣の翻訳機を作っているの!明日にはできると思います!」
トノト 「では、明日試してみるとするか。」
レヴナント 「あのセクシーアルマジロもあそこから動きそうもありませんね。」
トノト 「私たちも今日は休もう。」
~そして夜が明けるまで、それぞれ休息を取ることとなった~
~朝~
ドイル 「ふぁ~~~!一番の早起きは俺か。あのタイガーはまだいるのかな?」
~ドイルがセクシーアルマジロの方を見ると、寝ているセクシーアルマジロ…その横に横たわるトノトがいた~
ドイル 「げげげげげっ!い、いくら何でもヤバいっすよ!トノトさん!」
ドイル ≪セクシーアルマジロが起きる前に何とかしなきゃ≫
バウンサー 「どうした、ドイル。」
ドイル 「あ、あれ…」
~セクシーアルマジロの方を指さすドイル~
バウンサー 「あのバカ!」
~セクシーアルマジロが目を覚ます~
~刀に手をかけるバウンサー~
ペロ
バウンサー 「!?」
~トノトの顔を舐めだすセクシーアルマジロ~
トノト 「ん…ん? やぁ!起きたんだね。」
バウンサー 「慣れてやがる…」
トノト 「ちょっと待ってて。餌を持ってくるよ。」
~シールドの中に入るトノト~
バウンサー 「相変わらず、無鉄砲な奴だ。」
リサ 「みんな!騒がしいわね!どうしたの?」
バウンサー 「いや、なんでもない。」
トノト 「あ、リサさん!翻訳機はそろそろ出来そうですか?」
リサ 「昨日、朝までかけて作ってたから出来たところです!」
トノト 「仕事のできる人はやることが違うねぇ~。」
リサ 「今、必要ですか?」
トノト 「お願いします!」
~リサは翻訳機を取りに行き、トノトはケーキの用意をする~
リサ 「これになります。このスイッチを押すだけで翻訳ができ、他の人とも共有が可能です。」
トノト 「ありがたい!今度バーガーをおごるよ!」
リサ 「やった!」
~トノト翻訳機を起動させアルマに餌を持っていくトノト~
トノト 「ほら、昨日と同じケーキだ。」
セクシーアルマジロ 「…ありがとう。」
トノト ≪喋った!しかもこちらの言葉を理解している?≫
トノト 「君には名前があるのかい?」
アルマ 「アルマ…」
トノト 「アルマか…良い名前だ。」
アルマ 「父が名前を付けてくれたの。」
トノト 「両親は今いるのかい?仲間は?」
アルマ 「みんな…死んでしまった。」
トノト 「そうか…」
バウンサー 「俺の名前はバウンサーだ。よろしく。」
トノト 「バウンサー…いつの間に!」
バウンサー 「話が聞こえたからな。それに、アルマはおそらく獣人に近い種族だろう。」
トノト 「そういうことか!」
バウンサー 「おい…生き物に詳しいわりには鈍いな。」
アルマ 「あなたたち…ここからいなくなるの?」
トノト 「そうだな…そろそろワイバーンも到着するころだし、長くはいられないか…。」
アルマ 「私…餓死して死んじゃう。」
バウンサー 「なら、俺たちと一緒に来ればいいだろう。」
アルマ 「いいの?」
トノト 「もちろんだとも!そのために君を探していた。」
アルマ 「甘いものたくさんくれる?」
トノト 「ああ!」
バウンサー 「決まりだな。」
トノト 「では、みんなに挨拶をしに行こう。」
~見事アルマを仲間にしたトノトは彼女を連れシールドの中へ入る~
ドイル 「とうとう来ちゃいましたよ!セクシーアルマジロ!」
リサ 「苦労したけど、やっと成功したのね!すごいなぁ~!」
ノラン 「くぴっ!」
リサ 「あれ?翻訳機の共有範囲に入っているのに…くぴ?」
ドイル 「ノランは言葉を持っていないですかね。」
ノラン 「くぴぴ?」
リサ 「 ”くぴっ” て言っているんだわ!きっと!」
トノト 「みんなに新しい仲間を紹介したい。」
リサ 「近くで見ると…かっこいいわね!」
トノト 「ああ~!このスレンダーなスパイニーアーマードタイガーはアルマという名前だ。」
ドイル 「スパイニーアーマードタイガーのスレンダーさがわからない。」
トノト 「スパイニーアーマードタイガーはアルテモンほどではないが、硬い鉄のような鱗で体を守られている。弾丸やバズーカ砲程度ではビクともしないぞ!そうだろ?アルマ。」
アルマ 「うん。何度かハンターに撃たれたことはあるけど痛かったことはないの。」
バウンサー 「すでに狙われていたか。」
レヴナント 「みんな!こんな朝早くにどうしたんですか?」
トノト 「ゲットだぜい!」
レヴナント 「おお!ひょっとしてセクシーアルマジロを懐かせたんですか!すごい!」
トノト 「アルマは肉食ではなく、甘いものが好きみたいだ!」
アルマ 「肉も好きなの!でも生でなんか食べないよ!」
トノト 「えっ?焼いて食べるのか?」
アルマ 「ゴールデンバッファローのタルタルステーキやジュエルダックのコンフィとかが好きなの。」
ドイル 「普通に人間が食うやつじゃないすか!」
トノト 「しかも、超高級食材だ…」
バウンサー 「やはり、獣人のお姫様って感じか。」
トノト 「なるほど!」
バウンサー 「お嬢様に熊の生肉を食わせようとすれば、そりゃ殴られるな。」
トノト 「す…すまん。私としたことが情報を鵜吞みにしすぎた。」
リサ 「で、アルマちゃんはこれからどうするの?」
アルマ 「トノトに付いていく、美味しいご飯が食べられそうだから。」
バウンサー 「正しい選択だ。」
リサ 「いいなぁ~!トノトさんは、いろいろな魔獣に囲まれて。」
レヴナント 「リサさんは魔獣が好きなんですか?」
リサ 「だって可愛いじゃない!ノランちゃんとか。」
~ノランがリサの肩に乗る~
ノラン 「くぴぴ!くぴぴぴ!」
トノト 「ははは!どうやら、ノランはリサに付いていきたいみたいですよ。」
リサ 「え?ほんと? でもノランはトノトさんのペットでは?」
トノト 「いや、ただの友達だよ。それにペットだとしても私にノランのやりたいことを止める権利はないよ。」
バウンサー 「トノトはそういうヤツだ。」
リサ 「いいの?」
ノラン 「くぴーーー!」
バウンサー 「ノラン…リサを頼んだぞ。これで俺は背後を気にせず最前線で戦える。」
トノト 「リサさんはペットを飼ったことがあるんですか?」
リサ 「それが…ないの。」
トノト 「では、ノランの世話を君に任せてみるので飼ってみるといい。飼い方は後で教えますよ。」
リサ 「ありがとうございます!」
~研究室から人が出てきた~
ウェブ 「あのう…ワープリングの複製が完成しましたが。」
リサ 「ウェブさん!グットジョブでしたね!」
トノト 「そろそろワイバーンも目的地へ着くころだが、どうする?ウエピナへ行くか、ファイトナにするか。」
リサ 「ワープリングも出来たことだし、ウエピナのことはウェブさんに任せて私はファイトナへ行きたいわ!」
トノト 「うむ。ウェブさんもいざとなれば頼もしいしな。それでよいと思うよ。」
バウンサー 「俺もファイトナへ行くことに賛成だ。賞金も稼げそうだしな。」
トノト 「レオンも仕事終わっているかな?一度秘密基地へ戻るか。」
アルマ 「秘密基地…美味しいものある?」
トノト 「ゴールデンバッファローのタルタルステーキだろ?持っていくよ。」
アルマ 「じゃ~。私も行きたい!」
レヴナント 「今日の秘密基地は一気に戦闘力が上がりそうですね!」
バウンサー 「あそこに敵が来ることはないけどな。」
トノト 「ところでリサさん、森のエネルギーについては研究できたのかい?」
リサ 「はい。情報は採取できましたが、これからそのデータをもとに調査をしなければいけませんね。」
ウェブ 「それなら、私が引き継ぎます。ウエピナと関わることですし。」
リサ 「いろいろとすみません。ウェブさん。」
トノト 「じゃ~今度こそ、モブさんを誘って宴だな。」
リサ 「ジャングラタウンにはまた行きたいけど。とりあえずここは調査を終了しますか。」
ドイル 「魔獣がいっぱいいてゆっくり寝られなかったっす!俺はトノパークに戻ります!」
バウンサー 「あそこの方が魔獣だらけだろう。」
ドイル 「施設内は快適なので!」
トノト 「ドイル君、それではピリカさんにもよろしく言っておいてください。」
ドイル 「分かりました!」
~そうしてアルマを仲間にしたトノトたちは施設を元に戻しこの場所をあとにしたのである~