身の丈にあったⅢ
ここで一軒の飲食店を発見。どこにでもあるチェーン店だけは避けたいとやけになって入った店。こーゆーときは無難を選ぶ勇気は必要であると学んだ。店内はノーゲスト。いたるところに古いサインが飾られており、何年前なのだろう懐かしいグルメ番組が来たことを表すサインや写真がいたるところにかざられている。ふーん。と人気なのだか何だかわからん店で席に着き、もういっそ卵料理にカレーのメニューとその店一押しのメニューを頼んでみた。店内を見渡すと、その昔、グルメ番組撮影のために訪れたタレントが食し、話題となったメニュー!(注文したもの)と全面的に押し出しているが、なにぶん古い。当時の栄華が寂しさよすらかもしだしている。写真はすでにおしゃれに撮影したかのように水色にくすんでいるではないか。そしてこの静かな店内。これは事件の香りが・・・。運ばれてきた食事に手をつけ、うん。まー、懐かしいっていうか。革新的でもなく。まー。なんか暑い。そういえば今日はニュースになる程記録的な暑さで5月の北海道で28度を記録していたのだった。まー。そうね。あー、いや、ごちそうさまでした。店を出てなんとも言えぬ味に私は思った。街全体がが身の丈に合わない装いをするのであれば、各々もそれに乗じて身の丈に合ったものを提供するべきである。まずくはない。ただ、街が理想の街を目指し、進化していくように、一押しメニューもかつての栄華ばかりを引きずらずに進化していくべきだろう。結果、あーだこーだと文句を垂れておいて、学んだことは、身の丈に合わなくても、高みを目指す。足元を見た観光客設定の値段であっても、まえに進んでいく姿勢が大事なのだ。私にはできないことだが、いずれあの店主がそこに気づいてくれることと、さらなるこの街の発展を願う。食事を終え、そんなことを一人ブツクサ語りながらの車内。ひとつの事件を思い出しトークは白熱した。さきほどの店で飯を注文する際、私は一押しメニュー。カレー料理の方をpun子が注文していた。そのホールスタッフが、理由はわからぬが発音が聞き取りにくい方であった。初めに水をもって来てくれた際にすぐに気付いたのだが、外国の方か、それ以外の理由か。まぁ福祉やら医療やらの仕事をお互いにしている上、必要以上に詮索する気もなく経過していた。しかしその時は来た。「ご注文は?」と聞かれ2つ頼んだのち、「カレーのご飯には‘チーズ’が入っていますが、よろしいですか?」という質問だったが、聞き取りにくいとはいえ、「はい、大丈夫です」と答えれば済むところ。が、pun子はキャンプの疲れが出ていたのか、彼女の問に耳をしっかり向けていなかったのだという。「カレーのご飯には‘チーズ’が入っていますが、よろしいですか?」と聞かれたpun子は、「きゅうり?」と瞬時に返事をしたのである。とっさに爆笑しそうになったが堪えた、そしてそのまま通り越して私は無になってしまった、いや固まった。お前さすがにそれはないだろうと。聞き取りにくい事は当然仕方のない事。別にその方の話し方がおかしいとかそれを笑うつもりなど毛頭なかった。だがpun子よ。聞き取りにくいから・油断していたからとは言え、「きゅうり?」はないだろう。我々世代の中一英語の教材「このペンはタバサのペンですか?いいえこれはあなたのペンです」と同レベルの会話。ファニエストジャパニーズである。母音も、チー(i)ズ(u)と、きゅー(u)り(i)と「ー」だけ似てるようではあるが弁解の余地なし。「チーズです。ち、チーズ」と繰り返す店員に、pun子も「あ、チーズ。いいです。」何事もなかったかのように過ぎた一瞬。しかしそう広くない店内。今の話題を出すわけにもいかず、私は宙を見ていた。そもそも、聞き取りにくいのであれば、ワンモアプリーズと詫びを入れるか入れないかは人格に任せるが、確認するだろう。「なんですか?」と。しかし、pun子の返事は早かった。即答で「きゅうり?」と。どの話の流れで卵とカレーの料理にきゅうりがご飯に混じるだろうか。きゅうりは意外と炒めると美味いとかそーゆーことではない。君が一度脳内で〘きゅうり?え、きゅうり?〙と変換さえしていれば、あの方も何度もチーズと言わずに済んだであろう。pun子には反論もされた即座に「いや、きゅうりなわけないしょ、チーズだって。ごめんなさいね。こいつ天然で。」みたいなフォローをしてくれればよかったのにと。確かに。それも一理ある。一理あるが、「チーズ」を「きゅうり」と聞き間違えた、その瞬間をともにしたものでなければ分からない状況下。彼女につっこめばこの方の滑舌にさえ触れることになるため、言うに言えない雰囲気。なにより「きゅうりって」とつっこみたくなる衝動。ひどいもんだった。とにかく笑った。運転中にも関わらず、涙をちょちょぎらせながら「きゅうりなわけねーべ」と、何度もツッコミを入れたのである。