5月19日続き。

顔面が膨らんだままではいかんと熱い湯船に沈み込み一汗かいたところで、すぐに家事にとりかかった。

掃除機、鉢植えに水やり、飯。

ulosukeと自動水洗浄機的マシーンを掃除し終え時刻は11:00。

ずっと気付いていない振りをしてきたアイツが、気になりだした。

タイヤ交換・・・。ええーいと声を出さんばかりに気合を入れ、軍手を取り出し、いざ合戦に。

 

タイヤ交換なのに5月も中旬になっていた。恥も外聞もある。平日の昼前ということで、近所の主婦や小姑たちも、テレビジョンのワイドショウに煎餅で一服してやがるだろうと、腹を決めた。

 

物置からタイヤを取り出す。ええーい汚い物置め。昨年使ったっきり放り込んでおいた物が、逆に持ち主である私に嫌がらせをするように崩れ落ちてくる。くそ小生意気な。ブンブンと粗雑に積まれた下々の物達を周囲にばらまきながらタイヤを出した。ばらまいた者共には「あとで片してやるからな」という目を向けてやった。ついでに近所を代表する主婦やその他の皆様にも、私は、これから片付ける物を物置の周りに放り投げておくが、「今からタイヤ交換をするのにタイヤを取り出したら、乱雑にしまわれていた物たちが溢れてしまったのね。それでタイヤ交換を先に終わらせてから物置の中も整理するのね。それじゃあ、物置のまわりは散らばっていても仕方ないわね。」ぐらいの気概も持ってもらわな。

 

と車の周りにタイヤをセットし、工具をトランクから取り出したがジャッキがない。んーんーと悩んでいると、一つ車売りとの会話を思い出した。「この車ジャッキがついてなくて・・・」と言われたが、私は腰も悪く年に2度程ぎっくりするので、どうせタイヤ交換も車屋に頼むだろうから構わん。と言い放ったのだ。

これでは散々やる気になっていたのにもったいないと、ツレのpun子が仕事から帰ってくるのを待つことにした。pun子が昼前には帰るはずである。そしてpun子の車にはジャッキが入っているはずである。

そうして、アルミホイールとやらを磨きながら待っていたが。私はこのとき愚かなミスに気付いていなかった。

pun子が到着し、pun子の軽自動車からジャッキを取り出し、さっそく作業に入った。

それにしても暑い。汗がにじむ中ジャッキをくるくるしているが、どうしてなかなか車が持ち上がらない。ジャッキはすでに綺麗なひし形からピンピンに空に向かって伸びきってしまっている。

もしや、軽自動車用のジャッキでは私の普通サイズの自動車は持ち上がらんのかとの疑惑を持ち始めていたが、途中でやめる気にもなれず、無理に決行。地面すれすれに浮き上がったタイヤを抜いた瞬間。車体全体がスンッとした。そうスンッとなったのである。

それは予想外。一回スンッとなったタイヤの連結部分に交換用のタイヤが入ることはない。

・・・暑い。とりあえず暑い。

静かな札幌の住宅街。町はずれの駐車場。少し早い初夏の風。私は憤りを一度経由して‘無’になった。あー静かな町だなぁ。タイヤ交換をするには遅すぎたなぁ。むこう山の頂上付近の雪も溶けてるなぁ。なんか恥ずかしいなぁ。誰も私がタイヤ交換をしていることなど知らずに午後に突入して欲しいなぁ。喉かわいたなぁ。タイヤ・・・どうしよっかなぁ。

カランコロンカランと工具がコンクリートに落ちる音が一つ。だれが聞いてもわかる、季節外れのタイヤ交換の風情ある音が響き渡り、一人恥ずかしくってもう。