こんにちはー。
ブログのフォロワーの方が聴覚障害者をめぐる映像表現についてこんな記事をお書きになってます。
で、思ったんです。くるみさんは「サザン・ホスピタル 本編」で混血児や身体障害者を、「わたまわ(わたしの周りの人々)」ではLGBTな人物や外国人を描いています。そういった方々は実際に周囲にいらっしゃったりはするんですが、モデルというわけではない。ほとんどくるみさんが頭の中で作り出した人物たちなんですよ。ことに「わたまわ」リャオ君は一見LGBTにとれるアセクシュアルな帰化中国人という難解なキャラクターで、まず実在するかどうか。探してもみつからないんじゃないかな、と思えるくらいです。
そういったキャラクターを小説作品へ登場させて、実際に問題を抱えた人々がお読みになったときに共感をえられるかどうか。YUKIさんがブログ記事にお書きになったように「利用しているだけ」になってしまっていないか。ここのところは重要な論点になってくるでしょう。今回、きちんとした回答になっているかどうかはわかりませんが、目次行ってみます。
目次 1.LGBTの人物を小説に書く、ということ 2.「わたまわ」で沖縄方言表記ができなかった理由 3.2022年2月&3月分スコアご報告 |
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1.LGBTの人物を小説に書く、ということ
さきほど冒頭で「そういった方々は実際に周囲にいらっしゃったりはする」と述べました。著名人のアセクシュアルとしてはチャーリー浜さんが生前から「僕、淡白なんです」と表明されてました。
でも、ご自身をLGBTだとかアセクシュアルだと明言する方にお会いしたことはくるみさん自身は皆無です(「僕は奥さんには全然触ってないから」とか、「恋愛感情というものが解らない」という方々は3~4名存じ上げてます)。那覇市がレインボー都市だとしても、カミングアウトするにはまだ壁が高いというのが実情でしょう。
リャオ君を描くことはかなりキツい作業でした。性的志向ほぼゼロで女装キャラで3か国語を操る頭脳明晰な副社長、って会えるものなら会ってみたい。いくつかの専門書を渡り歩いてようやく、それっぽく形になったというのが正直なところ。ただ、面白おかしく書くのはやめようと心に決めていました。MTFの方の体験談やアセクシュアルの専門書を紐解き、自分の小説が失礼な表現になっていないか何度もチェックを重ねたつもりです。「わたまわ」では最後にリャオ君は男性として家庭を築いて「普通な」家族像に落ち着かせましたが、一方で相手役のサーコには“あけみさん”が好きだと告白させてます。普通のラブコメではないメッセージを内にこめたつもりです。
2.「わたまわ」で沖縄方言表記ができなかった理由
くるみさんの小説ではどちらかというと「わたまわ」より「サザン・ホスピタル 本編」の方が人気高いです。たぶん、サザンの方がいかにも沖縄っぽいから。沖縄方言もバンバン出てくるしね。長編を読むのはちょっと、とお考えの皆様はカテゴリ「小説 サザン・ホスピタル関連」をクリックすればamebloでダイジェスト版エピソードを読むことができます。ぜひお試しください。
さて。「わたまわ」日・英・中・韓の4か国語でてきます。このうち英語・韓国語は翻訳会社さんできっちり翻訳してもらい、中国語は台湾人の方がチェック済みです。(まだ英語の置き換え作業が途中ですが、そのうち完結させます)
ここで不思議に感じる方も多いでしょう。「どうせなら沖縄方言も出せば?」って。
それが、できないんです。なぜか?
標準的沖縄方言(首里那覇方言)の場合、発話者が男性であるか女性であるか、厳密な区別がなされます。呼びかけの言葉や文末が、男性は「さい」「さり(丁寧語)」、女性は「たい」「たり(丁寧語)」になります。
記憶にある方も多いでしょう。NHK連続テレビ小説「あまちゃん」で沖縄出身の女の子を蔵下穂波さんが演じた際「はいさい!」というセリフだったので沖縄中がブーイングでした。それくらい違和感がありました。
現在、沖縄では方言教育が盛んになってきていますが、各地にお住いのLGBTの皆さん、特にトランスジェンダーの皆さんから「複雑な心境だ」との声が上がっているそうです。ご自分の立場を表明できる言葉ではないからです。体の性と心の性がかけ離れているのに、心の性に基づいて喋ると批判の視線にさらされる。沖縄方言を使用するとアイデンティティーの危機を感じると申し上げても過言ではありますまい。
「わたまわ」リャオ君の場合は中国人なので沖縄方言をあまり使用しない、という面もあったのですが、それ以上に「沖縄方言を使用することはLGBT差別につながりかねない」。その点をクリアできない限り、「わたまわ」では沖縄方言の使用は見合わせるしかありませんでした。いつかニュートラルな沖縄方言ができれば、別の表現を模索できるようになるかもしれません。
3.2022年2月&3月分スコアご報告
今回、アルファポリスにて2月分は16スコア、3月分は13スコアを獲得できました。読者の皆様へ御礼申し上げます。
第15回恋愛小説大賞はサザン・ホスピタル 本編 が51ptで1828位、東京の人 が50ptで1834位、マルディグラの朝 が19ptで2104位でした。アルファポリスはやはり壁が高いです。イベント開催している間は連載中でないとむつかしい。ですから、次回のライト文芸大賞の投票が始まってからサザン・ホスピタル 本編 の連載を再開させてください。といってもほとんど完結してて大した分量のこってないですけど……。
今回の記事は以上になります。いつもご愛読感謝です。
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青春小説「サザン・ホスピタル」などリンク先はこちらから。サザン・ホスピタル 本編 / サザン・ホスピタル 短編集 / ももたろう~the Peach Boy / 誕生日のプレゼント / マルディグラの朝 / 東京の人 ほか、ノベルアップ+にもいろいろあります。
小説「わたまわ(わたしの周りの人々)」を書いています。
ameblo版選抜バージョン 第一部目次 / 第二部目次 / 第三部目次&more / 2021夏休み狂想曲
「わたまわ」あらすじなどはこちらのリンクから:一部exblogへ飛ぶリンクもあります。
「わたまわ」ナナメ読みのススメ(1) ×LGBT(あらすじなど) /当小説ナナメ読みのススメ(2) ×the Rolling Stones, and more/当小説ナナメ読みのススメ(3)×キジムナー(?)/【ネタバレ】「わたまわ」ナナメ読みのススメ(4) +ameblo掲載450件おめでとうといわれた話