記憶を呼び覚ますメロディ
そう弾くようにと書かれた譜面
はじめて聞いた時
悲しいのに
とても美しい旋律
動かない波のようで
ぐっと堪えてるような
そんな曲だって思った

私の弾くピアノ
唄ってるように
物語のように聞こえると
ピアノの先生は言ってくれた
独特の感性と
それを表現するのは
生まれ持った才能だって
でも才能だとか
そんな大それたものじゃなくて
私は感じたままに
自分が表現したいように
弾いてただけ


でも今は弾いても
何の気持ちも込められず
ただ一音ずつ適当に弾いてるただの雑音
気持ちは音に表れて
自分でも気持ち悪くなって
投げ出す
でもまた弾きたいと向かい合う
けれどもう譜面通りにしか弾けなくって
譜面と感情が葛藤することもなく
それが楽しかったのに
大好きなピアノすら
決して好きとは言えなくなった
なんだかマニュアル人間になったみたいで
もっと気持ち悪い

それでも向かい合うのは
そう在りたくはないからだ
消えちゃうよ

消えそうだよ

ずっと想って積み重ねた記憶

時間がとても長くて

新しい記憶が大切な記憶消してゆく

消えないと
無くならないと
思ってた

ずうっと好きで
何年も何十年も最後まで想っていたかった

わたしに生きる意味くれたから

返せないまま移りゆくのは

嫌だよ

気がつけば一人じゃ

月を探さなくなった

気がつけば
あなた想うと強くなれたのに

そうじゃなくなった

手のひらぐっぱして

次から次へとくる波に

逆らおうとしてない

新しい記憶受け入れるかわりに

ぜんぶ注いでた
「わたしが想うすべて」

消えてく

時間が動くの嫌なのに

自分からひとつ踏み出せば

どうして時間は進んでいくの?

変わりたくないのに

変わっていくの

それすら

受け入れることは

素敵なことなのにね
鈴虫が鳴く

秋のはじまり

切なくって

こころ少しずつ冷えてく合図

月もより一層高くなって

届かなくって泣きそうになる

届いても月に寄り添えば

きっととても冷たい荒野のような

そんな事しか浮かばない

大きな手のひらだってはじめて意識して

私の手のひらは包まれていた

離れては寄り添うように

一日だけ隣に居る

その繰り返しをあと何度?

体温が移って私まで暖かくなったけれど

それは本当に望んだ手のひらじゃなかった

そしてまた彼は遠くに行く

望んだ手のひらでなかったから

きっと冬の寒さに負けてしまう

渇いてるこころまで

暖まる気配はないもの

いつまでそれを繰り返せば

わたしが望むひとと

手とこころ繋げるんだろう

ひんやりひんやり

冬が迫ってくるの

こころ削ぎ落としながら

さらさらと

雪のように

いつも気付くのが遅くって


あの夜はとても恥ずかしかったんだ


例えそれが過去だとしても


とても嬉しかったんだ


彼は私の事好き“だった”


私も彼が好き“だった”


ドラマのように


偶然会ったから


お互い惹かれる



なんて事も無く


昔の思い出に惹かれていたんだ


甘くとろけそうでもなくて


もっと澄んでぼやけた宝物


そんなかたちしてる


お互いに引きずってるモノは一緒で


彼は前の恋人を


私は好きだった人を


もう何年も繰り返していきそうなくらい


想い続けるのかもしれない


それはそれで


いいんじゃないかな


流れる時間と


止まった心


それを動かす鍵はきっと


お互い別々の誰かのような気がするから


それでも恥ずかしいと思ったのは


寂しいと思ったのは


たぶんどこか好きだから


でもきっと


愛じゃない

夢みてるみたいに
夜中から明け方まで
歩いてた

小学校見に行こうよと
真っ暗な中
ほんの少しの街灯と
ほんの少し手が触れた

私は子供みたいに
頭撫でられて
彼は上向かないと見えなくって
彼からは私の頭のてっぺん見えてるかな


触れた手は掴まれて
指交差して繋がれて
時折ぎゅって強く握られた

小学生だとか中学生だとか
懐かしい話しながら空仰いだ
朧月でずっと綺麗に照らされて
夢みてるみたいだった

帰りはもう明け方で
朧月は隠れて
うっすらオレンジだった

もうその時には手繋いでなくて
私はちょっと寂しかった
淡い淡い初恋の続きでしょうか?

不思議なことに
私と彼はお友達

帰り際
帰りたくないとごねていたのは
いつも私
「友達と割り切った二人」
になったのに
今度は彼がごねていた
いつも言いたいこと言えずにいるの
何となく解る


でも頭撫でなくても
手を繋がなくても
私は離れないで友達で居るよ
寂しがりの彼はきっと
そうやって友達と繋ぎ止めてるのかな
不器用はお互いさまかも