【 「 イソップ物語 」 キリシタン版 】 | 高山右近研究室のブログ

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監修 右近研究家・久保田典彦
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Q. 「 イソップ物語 」 と キリスト教は、何か関係があるのですか。

 

A. 日本人には なじみの深い 「 イソップ物語 」 ですが、

 最初に 日本に紹介されましたのは、1593年のことです。

 髙山右近が、前田利家に招かれて 金沢に向かったのが、1588年のことでしたよネ。

 

 1593年、天草の イエズス会の コレジョ ( 学院 ) において、ローマ字書きのものが、「 平家物語 」 「 金句集 」 と共に 合冊の形で出版

されました。

 

 原名は、  [ ESOPO NO FABVLAS ] 

         ( エソポ の ファブラス )  “ イソップ寓話集 ”

 

 ※ 当時の日本人には、 ESOPO の E のアクセントが弱いので、

イソポ に聞こえ、FABVLAS の FA は ハ に聞こえたようです。

 

  Latin uo  vaxite  Nippon  no  cuchi to  nasu  mono  nari.

 

  ラチン ( ラテン語 ) を 和して ( 翻訳して )

  日本の口 ( 言葉 ) と 為すものなり。

 

● 当時の 口語の言葉に翻訳したものを、ローマ字書きにしていますので、当時の言葉づかいや 発音の仕方がよくわかり、貴重な史料となっています。

 

 イソップ ( エソポ ) は、紀元前 6世紀の人で、ギリシャにおいて、

イアドモン という人の奴隷でしたが、寓話を考えたり ・ 話したりする

ことで、有名だったようです。

 

 キリスト教徒ではありませんし ( 紀元前 6世紀の人ですし )、話の

内容も 聖書に関係のあるものではありませんが、

 

 宣教師や コレジョ などの教育機関で学ぶ 学生たちの、日本語の

学習のため、併せて、倫理的教訓を含んだ たとえ話として、

 「 平家物語 」 「 金句集 」 と共に、日本語の教科書として用いられ

ました。

 

● 内容は、「 エソポが生涯 の物語 略 」 と、

 70 の 「 エソポが作り物語 の 抜き書 」 で構成されています。

 

※ 有名な話を一つ、紹介しましょう。

 是非、当時の言葉なのだと思って、声に出して、読まれることを

おすすめします。

 

       童 ( わらんべ ) の 羊を飼うた事

 

 ある童 羊に草を飼うていたが、

 ややもすれば 口ずさみに、「 狼 ( おほかめ ) の来るぞ 」 と叫ぶ

ほどに、人々 集まれば、さも無うて 帰ること 度々に及うだ。

 また ある時、まことに狼が来て、羊を食らふによって、

声をはかりに をめき叫べども、

 例の そらごとよ と心得、出で合 ( や ) ふ人 無うて、

 ことごとく 食らひ果たされた。

 

     下心

 つねに 虚言 ( きょごん ) を言ふ者は、

 たとひ まことを言ふ時も、人が信ぜぬものぢゃ。

 

 

 

 ※ コメント  貴重なコメントをいただきました。 感謝!

 

      当時のハ行


 キリシタン時代、「 ハ行 」の音は 「 ファ・フィ・フ・フェ・フォ 」 と発音されていました。当時の日本の音韻には現代の 「 ハ行 」 に相当する音はなかったのですが、ポルトガル語では現代のハ行音に相当する音はきちんと 「 ha 」 と表記されています。

 したがって、ポルトガル人が 「 ファブラス 」 と発音していたものを 「 はぶらす 」 と記述し、日本人も 「 ふぁぶらす 」 と発音していた ことになります。

 

 

      当時のハ行 のこと

 
 貴重なコメントを、ありがとうございます。
 発音のしかた・記述のしかたにまで、目を向けることが出来、右近さん当時の姿を知ることが出来るのは、ありがたいです。
「 ハ行の音 」 は、上古には p音で、奈良時代頃から f音で、桃山から江戸時代にかけて h音に変わっていったようですネ。

 

 

 

     ※ 今日 ( 7/5 ) の 逸品  【 紫蘇ジュース 】

 

 

      食後の ひととき に、 【 紫蘇ジュース 】 も 仲間入り

 

 

 

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