『台所用洗剤で衣類は洗えますか、?』
『食器洗いの洗剤を使う功罪が知りたいのですが、』 というお問い合わせを頂きました。
(ここでは、台所用洗剤=食器洗いの洗剤 同じ物と推測して説明します。)
「油汚れに強い」がうたい文句の台所用洗剤ですので、
私も、油溶性シミ汚れ落とし用のシミ抜き剤(油性処理剤)として使えないものか、? と思って、以前色々試したことがあります。
試した理由は簡単で、通常は油性処理したものはドライクリーニング溶剤ですすぎ、その後で水性処理をします(二段階処理)。
しかし、台所用洗剤で油汚れが完全に落ちるとなれば、水ですすぐと同時に水性処理ができるのですから、一石二鳥なのです。 こんな楽ちんなことはありません。
一回の処理で油性処理と水性処理ができるのですから、、、
しかし、ココには大きな問題がありました。
詳しく説明します。
そこで、まずは台所用洗剤と衣類用の液体洗剤と比較したいと思います。
含まれる成分や配合量に違いがあります。
◆pH(水素イオン濃度)
・台所用洗剤は一般的に中性です。 pHは6~8です。(近年弱酸性物もあります。)
・衣料用洗剤はpHは9~10です。
台所洗剤は、主に食器に使われるものですから、人体に入っても害のない物、毒性の少ない物でできています。
それと手あれの問題があるためどうしても台所用の場合、弱酸性~中性です。
(ただし、食洗機用の洗剤は、強アルカリ性です。)
一方、衣類の汚れは汗・食べこぼし・古い汚れ・皮脂汚れと汚れ落としの幅が広いため、弱アルカリ性です。
◆洗剤の濃度
界面活性剤の濃度ですが、調べて見ました。
(CHARMY 泡のチカラ:界面活性剤40%配合) と (P&G JOY W除菌:界面活性剤34%)
台所用洗剤は衣料用洗剤と比べて約2倍の濃度です。
(衣料洗剤の成分表示については(2014.12.21のブログ 「洗剤の成分」をご覧ください。 )
この界面活性剤の濃度が油汚れに大きく影響してくるのですが、
台所用洗剤は食器の表面洗浄なので濃度が高くても濯ぎ落とせるのですが、衣類は繊維の奥深くに浸水するために、濃度が濃すぎると濯ぎ出せないのです。
(界面活性剤とは、水と油を混ぜることのできる物質で、油汚れを落とすのに効果的な性質をもっています。)
◆蛍光増白剤(白く見せるためのもの)
通常、衣料用の場合白いものを白く見せるために配合されていますが、台所用洗剤には不必要なため入っていません。
◆漂白剤、水軟化剤、再付着防止剤
衣類用洗剤には、漂白剤、水道水の硬水を軟水にするための水軟化剤、洗濯中に分解した汚れが再度衣服に付着するのを防ぐために再付着防止剤が配合されています。
これは、繊維には吸湿性があるために、どうしても必要な助剤です。
しかし、食器類には吸湿性が無いために無用な助剤です。
そこで、
※台所用洗剤が衣料用の洗濯用洗剤の代わりになるかと尋ねられたら、
十分になります。
確かに汚れ落ちは家庭用剤のほうが落ちるのですが、着た衣類をすぐに洗うとなれば、台所用洗剤でも十分に役割ははたせます。
それにウール洗いは普通の衣料用よりも台所用洗剤で十分かもしれません(PH値が弱酸性~中性なので)。
ただ、台所用洗剤の界面活性剤の配合比率は約40%(洗濯洗剤は20%たらずです)ですので、泡立ちが大変良い反面、衣類のような吸湿性のある素材は濯ぎに時間がかかります(泡切れが悪く、濯ぎ回数も増えます)。
場合によっては、濯ぎきれないこともあります。
お客様からお預かりした大事な衣類です。 シミ汚れが落ちたとしても充分に濯ぎきれてなかったら、間違いなく、後々衣類に悪影響を及ぼします。
これが理由で、私は使ってません。
なので、エリや袖口などのしつこい皮脂汚れは台所用洗剤でブラッシングしてから、衣類用洗剤で洗濯する方法は、有りかな、?と思います。
それと、もう一つ付け加えるなら、ニオイ(香り)の問題があります。
衣料用は花の香りが多いのですが、台所用は虫がつきにくいようにと柑橘系のニオイ(香り)が使われています。
それが気にならなければの話ですね、、、。
逆に、洗濯洗剤で食器を洗うことは危険です。
手荒れの問題だけで無く、人体にとって有害物質の漂白剤・蛍光増白剤等が配合されてるので、使うべきではありません。
絶対にしないでください。
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