昨日の帰りに寄った首都圏近辺の中古CDチェーン店の新宿にある中古CD店に、今日も取り置きした中古CDを取りに行き、今日はかねてから欲しかったCDを探してもらい、結局数万単位でCDを買ってしまた。
人気のあるレーベルのなかなか入手しづらい演奏家のシリーズ物のCDが、全11巻のうち、1、2巻を除いてすべて店内にあることが、昨日の晩に在庫のネット検索でわかり、早朝4時ころ在庫を見つけてもらうようにリストをメールで送ったら、寝て起きた正午ごろ、その件について問い合わせると、熟練店員が「すべて(在庫が)見つかりましたよ!」というなかば驚きに満ちた返答が電話の受話器から聞こえてきた。これがきっかけとなって、日ごろの我慢の堤防が決壊したのが原因だ。
一万円買うごとにもらえる、手帳よりひとまわり大きいサイズのハードカバーのノート型カレンダーをぼくと親戚の叔父さん叔母さんにすべて送っても一冊あまるくらいもらてしまた。
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昨日の帰りに西武新宿駅に向かう途中の歌舞伎町の手前大通りに沿った歩道で、なれなれしい黒人のポン引きにつかまり、カネがないと言って断ったのに、「3千円あればいいから、銀行からカネを降ろしなよ」と迫られ、「CDを買ったおかげで銀行の預金もからっぽだ」と答えたら、やっとのところで15分近いしつこい勧誘から解放された。
それで、今日の帰りは中古CD屋の入居しているビルから直接出られる地下道を通って西武新宿の駅の改札を抜けた。
ラッキーなことに、次に出発する電車がたまたま急行拝島行きで、前の方にホームを歩いていったら角の隣の席が空いていたのですわれた。
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電車が高田馬場に着いたとき扉が開くと大勢の客が入ってきて、平日のラッシュアワー並みの超満員になった。ふと横を見ると角の席から天井まで伸びている手すりに、真っ赤な服を着た長身の白髪の白人の老人がつかまっていた。電車はすしづめ状態だたので、走っている最中、その老人が押されたはずみでガクッとなりながらしゃがみこみそうになた。
「これは危ない」と思ったが、その老人のすぐそばのとなりに座っていた40代くらいにみえるスーツを着ていた男は、祝日の今日も仕事で不機嫌だたのか、外に漏れるくらい大きな音でヘッドフォンステレオを鳴らし、からだを斜めにくずして座りながら、マンガの雑誌のページを素早くめくって夢中になているようで気にもとめなかた。
なんだか老人のことが心配になてきて、思い切ってカタコトの英語で、「困ったことがあったら、ぼくに声をかけてくれ」てなことを言った。すると、彼は「ぼくはじょうぶ(ストロング)だから大丈夫だ」なんて英語で強気なことを言った。
なのでしばらく、それとなく彼の様子を眺めていたのだが、ついに見ていられなくて上石神井(かみしゃくじい)あたりで、「ぼくの荷物をここ(足もと)に置いてくれるなら、きみがぼくの席にすわりなよ」てなことを彼に言った。
しかし、それでも彼は「大丈夫」てなことを言って、ぼくの申し出を断った。
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電車が花小金井あたりに着たとき、ぼくの隣の席が空いたので彼に「座りなよ」と声をかけたら、やっと座ってくれた。空いた席の前には若い女の子が立っていたので、手ですみませんと合図をしたら、ムッとしたのか、連れのもうひとりの女の子と反対側の席の前に行ってしまた。自分が立って席をゆずればよかたかなぁと、ちょっと反省したりもした。
となりどうしになたので少しはなしをした。
彼は東大和まで電車に乗るというので、きっとそこに住んでいる在日のひとかと思って、「どれくらい住んでるんですか?」てなことを聞いたら、4日だと言った。訪問客だった。
「お国はどこですか?」、と聞くとオーストリアだと言ったので、「毎日モーツァルトを聴いている。彼はすばらしい。」と調子を合わせた。
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すると、「シューマンは好きか?」と彼が言った。「好きです。」と答えると、彼が急に立ち上がって荷物棚に乗っているビニール袋からCDを取り出し、ぼくの方に差し出して、また「シューマンは好きか?」と聞いた。ぼくはまた「好きだけど」と答えると、ぼくに差し出したCDをくれると言った。それはシューマンのピアノ曲のCDだった。実は彼とはなしをしている最中、中古CD屋でもらったノート型カレンダーを彼にあげたら喜ばれたのだった。たぶん、そのお返しのつもりだったのだろう。
でも、せっかく彼が日本で買い物をして手に入れたCDをもらうのも気がひける。それで、「そのCDは持ってます。」とうそを言って断った。
すると彼は、演奏家が写っているジャケットを指さして、「これはぼくだよ。」と言った。そのジャケットの写真を見たあと、彼の顔を観て思わず、「サプライズド(驚いた)」言ってしまた。
ちょうどそのとき、電車が東大和の駅に着いた。おどろいて、あわてているぼくを観ながら、彼は「バイバイ」と言って電車から降りていった。電車から降りる彼のうしろ姿を見送ったあとも、しばしボー然となった。
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電車に揺れながら、ひとりになったぼくは、この偶然の出会いに驚きながらも、困っている彼に声をかけてよかたと思った。
彼とはなしている最中、電車が止まり、彼が「東大和?」と聞いてきたので、キョロキョロしながらあたりを見回していると、「萩原」と答えて、笑顔で電車を降りていった30代くらいにみえる親切な女性もいた。
「ドイツ・シャルプラッテン」や「ベルリン・クラシックス」など、数々のレーベルに録音を残しているオーストリア在住のこのピアニストが、今回の日本訪問で多少の礼儀はわきまえている日本人もいることを理解して帰国してくれるといいな、とも思っている。
今度中古CD屋に言ったら、彼の録音したCDがあるか注意して探してみようかとも思っている。どんなシューマンか聴いてみたい。
11/3
